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30th レグアのマテリアラーズ選抜試験

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「よう! いらっしゃい」
「父さん、先回りしてたんだね」
「いや? 今来たトコ。後処理が面倒になってぜーんぶ中佐に任せてきた」
「ひっでぇ。絶対釣り目になってるじゃん。あの人怖いから怒らせない方がいいって」
「それはそうなんだけどね。やらないと覚えないでしょ。こういうのってさ」
「そんなポンポン起こる事件じゃないから! 父さんだって経験ないでしょ!」
「あはは。ついつい部下が頑張る姿が見たくなってね。それより……似合ってるね二人とも。
ファッションピンクが実にいい」

 すっとエレットの後ろに隠れる二人。それを見て頭を掻くエレヴィン。

「あらー。なんか引かれてるなぁ。ととっ。それよりレグアちゃん。随分とパープラに
文句を言われたけど、これからマテリアラーズ選抜試験を開始する。登録名はここで
自由につけられるが、一度つけたら変更はできない。君は今の名前でいいのかい?」
「うん。エレットがつけてくれた名前。気に入ってる」
「そうか。コードネームに関しては別途つく可能性があるが、呼び名はレグアで登録しよう。
会場登録はあっちだ。エレット。登録よろしく。エレハもまたな」
「わかってるよ。父さんも見ていくのか?」
「そのつもりだ。随分と派手な大立ち回りを見ちゃったからね。今回の採用枠は二人だ。
エレットが連れてきた人物でも、不採用は十分あり得る。検討を祈るよ」
「あんなこと言って炊きつけてはいるけど、あんな父さんの目を見るのは久しぶりだな」
「怯えられているのかな」
「いいや違う。戦ってみたい……そんな感じの目だ。でも絶対そうは言わない」
「どうして」
「女性にはめっぽう弱いんだ、あの人。弱点といってもいいかな。対処はするけど攻撃は出来ない」
「そうなの」
「それじゃヘタレじゃない! とんでもない悪女だったらどうするのよ!」
「うーん。あの人なら攻撃せず縄で縛りあげるくらいの事はやってのけるからなぁ」

 自分の父親ながら、動きを想像するだけでも身震いする。
 しかし優しい人物であることは十分知っている。

「マスター。そろそろ登録しまセント」
「そうだった。レグア。ついてきて。フラーと姉ちゃんは先に観戦席に行ってていいよ」
「特製スイーツ、取り寄せで頼んじゃった。ちゃんとここまで来るかしら」
「どれどれー……うん。届くように調整してあげる。エレットも食べる?」
「緊張感全くないな。俺はいいよ。試験内容によっては胃もたれしそうだし」

 受付にレグアを連れて行き、登録手続きをする。
 生体認証と火力認証、ハプニング認証をまず行う。
 この三重認証が主流で、どれが欠けてもうまくいかない。
 生体認証は文字通り、身体的特徴で認証。火力認証は一撃の威力。そしてハプニング認証は
登録時の脳内で一番強い思念を登録する。
 レグアは何だったんだろう? 

「特製スィーツ。特製スィーツ……特製スィーツ……」
「特製スィーツってわかっちゃうやつだった……」

 全ての認証が終了すると、トースターのようにニョキっと一枚、カードのようなものが現れる。
 これは本人以外持つことを禁止されているカードだ。

「はいお嬢さん。それを手に取って、手の甲に乗せてね……そのまま。馴染んでくるから。
はい、いいよ」
「消えた」
「消えたんじゃなくて入力したんだよ。しばらくしたら番号も出るから。
今回がだめでも次回同じ番号で再選できるからね。頑張っておいで」
「ありがとう。私の番号、これかな。ALL零」
「それ、身体的特徴を強く表す番号になりやすいんだけど、文字通り零か。
俺が付き添えるのもここまで。ここからはレグアの頑張り次第だ。観客席で応援してるから。
がんばって!」
「うん。直ぐ終わらせて特製スィーツ食べに行くね」
「そんなに直ぐ終わるかな? 特製スィーツはまた用意できるから」
「大丈夫、直ぐ終わらせる」
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