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20th 遭遇、クルエルクラウド
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「レグア、大丈夫か?」
「問題ない。私もこの速さを手にしてみたい」
「試験を受ければ……今はそれどころじゃなくなってるけど」
「待ちなさいよー! 速すぎるわよ!」
「悪いがもっと飛ばすぞ! これに懲りたらちゃんとフラーもブレイクネック社製の素材を
ちゃんと買っておくんだな」
「こらーー、バカエレットーー!」
「聞こえていないみたい。距離が離れすぎてる」
「いいよ。フラーも中には入れないし、先に行って侵入者を倒していた方が安全だろう?」
「そうね。フラーが心配なのね」
「まぁ、同じマテリアラーズの仲間だしな」
「……そうね。私はまだ仲間じゃない。早く仲間になりたい」
「もうすぐだって……あれは!」
勢いよくヘッツ生産工場を目指していたエレットの視界に突如として大きく展開された半透明の壁が見える。
これがあるせいで内部を遮断されて、通信ができなかったのか。
「セイソー。破れると思うか?」
「マスターなら。アイシクルペインにジャミングを入れてくだサイ」
「わかった。コードを作る。ゼロを七十二、イチを六十八、ゼロ、イチ、イチ……」
「何をしているの」
「マスターは最高のハッカーであり、分子、粒子に情報をぶち込むことにおいての天才デス」
「……よくわからない」
「わかりやすく言いまスト、生物・無機物的二進法を用イテ、機械文明における圧倒的クラッシュ能力を
持つ存在と言えマス。つまり良い素材を持たせたマスターはその中に情報を注ぎこみ、自由に
操る天才なのデス」
「難しいけど、エレットが凄いという事だけは伝わった」
エレットが保有しているアイシクルベイン。氷のムチともいえるその剣は、所持している段階で冷気を
帯びた剣のようだったが、徐々に形を変えていく。刀身にびっしりとゼロ、イチの文字が刻まれていき
ぐにゃりと刀身が曲がり、ムチの形態となる。
「アイシクルベイン。こうか?」
ムチが正面の半透明障壁にぶつかると、障壁に無数の文字が刻まれ、ゼロとイチが混ざり合う。その部分が
崩壊するまで二秒とかからなかった。
「よし、先に進もう」
「お見事デス。マスター。アイシクルベインは初めてですノニ」
「要領は一緒だ。全てゼロとイチで解決してみせる」
「それが常人には理解できない領域なのデス。マスターは最高デスがセイソーにとっては怖い能力デス」
「お前に向けられる事なんて、天地がひっくり返ってもないから安心しなよ」
「そうだといいのデスガ……マスターが何者かに操られでもしたら、大変な事になりマス」
「そうならないために、お前がいるんだろ、相棒!」
「勿論デス!」
「セイソーとも仲が良くて心配してるのね。レグアの事も心配してほしい」
「何言ってるんだ。十分心配してるぞ。試験受かるかな? ってさ」
「まだ受けてないからその心配はよくわからない」
「おっと、おしゃべりはここまでのようだ……やっぱりこいつらか」
障壁の先をしばらく進むと、大きな乗り物があり、そこにはCの文字が二つ刻まれたロゴがあった。
クルエルクラウド……宇宙をまたにかけて自らの利益を追求する悪徳組織。
現政府はたびたび警告を発しているが、ここまでおおがかりな攻撃は初めてだ。
しかも連絡、通信手段を完全にシャットアウトして行動に移している。
十分計画的に動いていたのだろう。
「これは……まずいかもしれない。俺一人じゃ……」
その場にある乗り物は一機や二機じゃない。ゆうに五百機を超える規模の乗り物がそこへ終結していた。
「問題ない。私もこの速さを手にしてみたい」
「試験を受ければ……今はそれどころじゃなくなってるけど」
「待ちなさいよー! 速すぎるわよ!」
「悪いがもっと飛ばすぞ! これに懲りたらちゃんとフラーもブレイクネック社製の素材を
ちゃんと買っておくんだな」
「こらーー、バカエレットーー!」
「聞こえていないみたい。距離が離れすぎてる」
「いいよ。フラーも中には入れないし、先に行って侵入者を倒していた方が安全だろう?」
「そうね。フラーが心配なのね」
「まぁ、同じマテリアラーズの仲間だしな」
「……そうね。私はまだ仲間じゃない。早く仲間になりたい」
「もうすぐだって……あれは!」
勢いよくヘッツ生産工場を目指していたエレットの視界に突如として大きく展開された半透明の壁が見える。
これがあるせいで内部を遮断されて、通信ができなかったのか。
「セイソー。破れると思うか?」
「マスターなら。アイシクルペインにジャミングを入れてくだサイ」
「わかった。コードを作る。ゼロを七十二、イチを六十八、ゼロ、イチ、イチ……」
「何をしているの」
「マスターは最高のハッカーであり、分子、粒子に情報をぶち込むことにおいての天才デス」
「……よくわからない」
「わかりやすく言いまスト、生物・無機物的二進法を用イテ、機械文明における圧倒的クラッシュ能力を
持つ存在と言えマス。つまり良い素材を持たせたマスターはその中に情報を注ぎこみ、自由に
操る天才なのデス」
「難しいけど、エレットが凄いという事だけは伝わった」
エレットが保有しているアイシクルベイン。氷のムチともいえるその剣は、所持している段階で冷気を
帯びた剣のようだったが、徐々に形を変えていく。刀身にびっしりとゼロ、イチの文字が刻まれていき
ぐにゃりと刀身が曲がり、ムチの形態となる。
「アイシクルベイン。こうか?」
ムチが正面の半透明障壁にぶつかると、障壁に無数の文字が刻まれ、ゼロとイチが混ざり合う。その部分が
崩壊するまで二秒とかからなかった。
「よし、先に進もう」
「お見事デス。マスター。アイシクルベインは初めてですノニ」
「要領は一緒だ。全てゼロとイチで解決してみせる」
「それが常人には理解できない領域なのデス。マスターは最高デスがセイソーにとっては怖い能力デス」
「お前に向けられる事なんて、天地がひっくり返ってもないから安心しなよ」
「そうだといいのデスガ……マスターが何者かに操られでもしたら、大変な事になりマス」
「そうならないために、お前がいるんだろ、相棒!」
「勿論デス!」
「セイソーとも仲が良くて心配してるのね。レグアの事も心配してほしい」
「何言ってるんだ。十分心配してるぞ。試験受かるかな? ってさ」
「まだ受けてないからその心配はよくわからない」
「おっと、おしゃべりはここまでのようだ……やっぱりこいつらか」
障壁の先をしばらく進むと、大きな乗り物があり、そこにはCの文字が二つ刻まれたロゴがあった。
クルエルクラウド……宇宙をまたにかけて自らの利益を追求する悪徳組織。
現政府はたびたび警告を発しているが、ここまでおおがかりな攻撃は初めてだ。
しかも連絡、通信手段を完全にシャットアウトして行動に移している。
十分計画的に動いていたのだろう。
「これは……まずいかもしれない。俺一人じゃ……」
その場にある乗り物は一機や二機じゃない。ゆうに五百機を超える規模の乗り物がそこへ終結していた。
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