上 下
13 / 130

13th アクシスバリエーション、展開

しおりを挟む
「準備完了しまシタ。マスター。ご命令をお願いシマス」
「二人とも、準備はいいか?」
「どうやってその星までいくの」
「軸変動……その名も」
『アクシスバリエーション! 展開』
「アクシスバリエーションを展開シマス。衝撃にご注意くだサイ」
「これはどういうシステムなの」
「宇宙の軸を捻じ曲げるのさ。過去においては宇宙を速く移動することばかりに焦点をあててきた。
宇宙そのものをいじろうなんて発想がなかったのさ。このシステムによって宇宙域の移動は狭まった。
発想の転換ってやつだね」
「でもこの装置、ここからがあたしにはきついのよね。毎回……」
「アクシスバリエーション展開シマス。衝撃にご注意クダサイ」

 激しい揺れとともに七番シャトルがグルグルと回転する。これは何度体験してもまったくなれる気がしない。
 グルグルと周り続け、高い音を発するとともに……目の前の景色が一瞬にして一新される。
 自分たちの目の前に広がるのは……真っ青な美しい地球だった。

「うげー、気持ち悪い……」
「マスター、はかないでくだサイネ。おひざもとのレグアさんに最悪の印象を与えマス」
「綺麗。これが地球という星なのね。真っ青」
「あれは海の色だよ。地球は殆どが海で構成されているから青いんだ。昔はもっと大陸が
あったらしいんだけど、ほぼ全て無くなって。この地球を昔のような大地に戻すのが俺たち
マテリアラーズの目標なんだ」
「そうなの。エレットたち以外の人はどうしたの」
「大半は移住したよ。この辺りの惑星にね。火星や木星という比較的改良すれば住める地域があったから」
「お尻いたぁーい! なんでこんな狭いシャトルなのよ、もう!」
「月というのはどれなの」
「月はあちらデスヨ。レグア様」

 月があるという方向を見るレグア。そこには様々な建物が建設されている。
 多くの施設を兼ね備えた場所のように見えた。

「あれが月。月光パンが売っている所に行ってみたい」
「どちらにしても月に寄っていくつもりだったし、早速向かうとしようか。月への着陸許可申請を」
「既に受け入れ確認済みデス。ミシーハ博士も待っているデショウ」
「そーいやあんたの装備は大半がミシーハ製だったわね。あたしも作ってもらおうかな」
「フラーは難しいんじゃないかな。博士は女物を作るのがあまり好きじゃないし」
「それじゃ私のものも作ってくれないのね」
「レグアはまだ試験が終わってないから無理さ。試験評価によっては作ってくれるかもしれない
けど、ミシーハ博士は難しいかもしれない」
「頑張る」
「マスター、着陸準備を。エアーコントロールを行いマス」
「ボロ。フラー様も準備をしてください。お尻がつっかえて転ばないように」
「もうお尻の話は言わないでー!」

 月の着地地点へと到達してシャトルを停泊させる。ここに直接来るのは久しぶりだ。
 ふだんはバイオミメティックオーガニズムシステムを利用しているので、生身で来ることはまずない。

 シャトルを止めてようやくひと伸びすると、停泊した場所の奥から一人の女性が勢いよく飛んできた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

クビになったアイツ、幼女になったらしい

東山統星
ファンタジー
簡単説明→追放されたから飯に困って果物食ったら幼女になった。しかもかなり強くなったっぽい。 ひとりの不運なナイスガイがいた。彼はラークという名前で、つい最近賞金首狩り組織をクビになったのである。そしてなんの因果か、あしたの飯に困ったラークは美味しそうなりんごを口にして、なんと金髪緑目の幼女になってしまった。 しかしラークにとって、これは新たなるチャンスでもあった。幼女になったことで魔術の腕が爆発的に飛躍し、陰謀とチャンスが眠る都市国家にて、成り上がりを果たす機会を与えられたのだ。 これは、『魔術と技術の国』ロスト・エンジェルスにて、ラークとその仲間たち、そしてラークの恋人たちが生き残りと成り上がりを懸けて挑み続ける物語である。 *表紙はAI作成です。 *他サイトにも載ってるよ

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

後悔と快感の中で

なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私 快感に溺れてしまってる私 なつきの体験談かも知れないです もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう もっと後悔して もっと溺れてしまうかも ※感想を聞かせてもらえたらうれしいです

処理中です...