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高級そうな馬車ですね!
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翌朝……食事は宿でとると告げ、早速出発です。
名残惜しそうにジェイフ卿がお見送りに来てくれました。
髭スリスリされぬよう、ご主人の後ろにサッと隠れましたけどね!
「まさか父上も行くことになるとは思わなかったが……父上、羽を伸ばし過ぎないよう」
「わかっておる。ちょっとした余興じゃよ。それで、まずはどうするんじゃ?」
「ひとまず宿に戻ります。昨日の晩御飯分を今日の朝ごはんにしてあるので」
「それと留守にしてる間分、食事を無しにしてもらわないとね。
その分割り引けるかしらぁ……」
「ふむ。そちらは依頼で向かうんじゃから、後でこちらで支払うように伝えておいてやろう。
その代わりといってはなんじゃが……」
「おじい様と共に、朝食を頂いてもいいでしょうか?」
「勿論! 昨日頂いた食事のお礼もあるしね!」
俺たちは直ぐ宿へ戻ると、大量の美味い食事にありつけました。
サルサさんの言ってた通り、ここの食事は確かに美味い。
それこそ辺境伯の家で食べたものより美味いです。
やっぱ太れない食事っていうのはどれだけ工夫しても下町の食事には
勝てないんですね……。
休憩を挟んだ俺たちは、身支度を整えいよいよシローネとクローネの
町へ出発します。
目的地は馬車で向かうようで、フィラデルフィアの町の北門へと
向かっています。
「結局チャーニィさんはどこに? 茶々丸も姿が見えないけど」
「あの二人、フィラデルフィアでお店を開くみたいよ。
あんたが歌ってた歌を聞いて急にその名前でお店を開く考えが浮かんだんだって」
「でもチャーニィさんは既にお店持ってますよね?」
「お友達にあっちは譲って二号店にするみたい」
「俺の歌って言うのは何だろう……」
「あんた、チャチャチャ玩具のチャッチャッチャとか歌ってたじゃない」
「あれ……まさかの玩具屋ですか?」
「そう。玩具……矢らしいわ。矢を玩具にしたものを沢山揃えて
売るらしいの」
「矢違いだった! 玩具の矢? 本物の矢じゃないんです? そうすると
玩具の矢矢矢になってしまう……」
「両方売るみたいね。子供に矢のすばらしさを教えるちゃ! とか
言ってたわ。こっちに戻って来るまではその作業をしてるんじゃないかしら」
「そうすると、シローネとクローネに向かうのは、俺とカエサルさんと
サルサさんとご主人と地雷フィーさんとダメ猫とお爺さんとヨナさん?」
「そうなるわね。馬車二台でいくけど、あんたはどっちに乗る?」
「うーん。召喚の事について聞きたいのでクラマさんの乗る方がいいかなぁ」
「それじゃ私とルビー、お爺さんの三人ね」
「サルサさんも気になるんですか?」
「ええ。というよりルビーがもう少し戦えるようになってくれないと、いつ
まで経っても面倒を見てあげないといけないでしょ?」
「だ、ダメですよサルサさんはパーティーから外せません! 外れたら
俺らは全滅確定ですから!」
「私もこう見えて、忙しいのよ。魔術ギルドでの依頼をこなさないと
首切られちゃうしねぇ。新しい魔術も覚えたいし、それに……」
「新しい魔術を覚える? そんなこともできるんですか?」
「ええ。魔族との契約を交わさないといかねいけど。
あんたハラペーニャのこと、ちゃんと覚えてる?」
「いたなそんなやつ……」
「遠い目をするんじゃないわよ。あいつとも多分契約できるはずなのよね。
あ、馬車が来たみたいよ……ってあんな高そうな馬車に乗るの?」
サルサさんとお喋りしている間に到着した馬車。黒い光沢を放ち
気品ある馬が二頭前にいます。
御者のおじさんは髭がピンと伸び、意気な帽子を被るダンディーな方。
こりゃ確かに高そうだ。
「クラマさんがお出かけと聞いて。特上の馬車をお持ちしました」
「ふうむ、あまり目立ちたくないんだがのう。乗り心地はよさそうじゃな」
「おじい様、これはちょっと目立ちますよ……」
「クラマさんが乗られるのに粗末な馬車などご用意できません。
大変お世話になっておりますから」
「あのお爺さん凄いわね……相当顔が利くみたい」
「おじい様はフィラデルフィアで知らない人がいない程有名だからね。
父上より有名なくらいだよ。さ、それじゃ行こうか。カエサルさん。
道中面白い話を聞かせてもらえると嬉しいな」
「任せるサ。ニャトルと一緒に面白い冒険の話を聞かせるサ」
「ニャトルは眠いんニャが……」
「うふふ。私が道中毛づくろいしてあげますねぇ……」
「ひっ。地雷娘の地雷攻撃が始まりそうだニャ……」
「そんなことしませんよぉ……」
「やれやれ。騒がしい旅になりそうだぜ」
「あんたが一番騒がしいでしょ!」
「出発進行ー」
「それは来週のお楽しみ!」
「馬車で冒険、楽しみですぅー!」
名残惜しそうにジェイフ卿がお見送りに来てくれました。
髭スリスリされぬよう、ご主人の後ろにサッと隠れましたけどね!
「まさか父上も行くことになるとは思わなかったが……父上、羽を伸ばし過ぎないよう」
「わかっておる。ちょっとした余興じゃよ。それで、まずはどうするんじゃ?」
「ひとまず宿に戻ります。昨日の晩御飯分を今日の朝ごはんにしてあるので」
「それと留守にしてる間分、食事を無しにしてもらわないとね。
その分割り引けるかしらぁ……」
「ふむ。そちらは依頼で向かうんじゃから、後でこちらで支払うように伝えておいてやろう。
その代わりといってはなんじゃが……」
「おじい様と共に、朝食を頂いてもいいでしょうか?」
「勿論! 昨日頂いた食事のお礼もあるしね!」
俺たちは直ぐ宿へ戻ると、大量の美味い食事にありつけました。
サルサさんの言ってた通り、ここの食事は確かに美味い。
それこそ辺境伯の家で食べたものより美味いです。
やっぱ太れない食事っていうのはどれだけ工夫しても下町の食事には
勝てないんですね……。
休憩を挟んだ俺たちは、身支度を整えいよいよシローネとクローネの
町へ出発します。
目的地は馬車で向かうようで、フィラデルフィアの町の北門へと
向かっています。
「結局チャーニィさんはどこに? 茶々丸も姿が見えないけど」
「あの二人、フィラデルフィアでお店を開くみたいよ。
あんたが歌ってた歌を聞いて急にその名前でお店を開く考えが浮かんだんだって」
「でもチャーニィさんは既にお店持ってますよね?」
「お友達にあっちは譲って二号店にするみたい」
「俺の歌って言うのは何だろう……」
「あんた、チャチャチャ玩具のチャッチャッチャとか歌ってたじゃない」
「あれ……まさかの玩具屋ですか?」
「そう。玩具……矢らしいわ。矢を玩具にしたものを沢山揃えて
売るらしいの」
「矢違いだった! 玩具の矢? 本物の矢じゃないんです? そうすると
玩具の矢矢矢になってしまう……」
「両方売るみたいね。子供に矢のすばらしさを教えるちゃ! とか
言ってたわ。こっちに戻って来るまではその作業をしてるんじゃないかしら」
「そうすると、シローネとクローネに向かうのは、俺とカエサルさんと
サルサさんとご主人と地雷フィーさんとダメ猫とお爺さんとヨナさん?」
「そうなるわね。馬車二台でいくけど、あんたはどっちに乗る?」
「うーん。召喚の事について聞きたいのでクラマさんの乗る方がいいかなぁ」
「それじゃ私とルビー、お爺さんの三人ね」
「サルサさんも気になるんですか?」
「ええ。というよりルビーがもう少し戦えるようになってくれないと、いつ
まで経っても面倒を見てあげないといけないでしょ?」
「だ、ダメですよサルサさんはパーティーから外せません! 外れたら
俺らは全滅確定ですから!」
「私もこう見えて、忙しいのよ。魔術ギルドでの依頼をこなさないと
首切られちゃうしねぇ。新しい魔術も覚えたいし、それに……」
「新しい魔術を覚える? そんなこともできるんですか?」
「ええ。魔族との契約を交わさないといかねいけど。
あんたハラペーニャのこと、ちゃんと覚えてる?」
「いたなそんなやつ……」
「遠い目をするんじゃないわよ。あいつとも多分契約できるはずなのよね。
あ、馬車が来たみたいよ……ってあんな高そうな馬車に乗るの?」
サルサさんとお喋りしている間に到着した馬車。黒い光沢を放ち
気品ある馬が二頭前にいます。
御者のおじさんは髭がピンと伸び、意気な帽子を被るダンディーな方。
こりゃ確かに高そうだ。
「クラマさんがお出かけと聞いて。特上の馬車をお持ちしました」
「ふうむ、あまり目立ちたくないんだがのう。乗り心地はよさそうじゃな」
「おじい様、これはちょっと目立ちますよ……」
「クラマさんが乗られるのに粗末な馬車などご用意できません。
大変お世話になっておりますから」
「あのお爺さん凄いわね……相当顔が利くみたい」
「おじい様はフィラデルフィアで知らない人がいない程有名だからね。
父上より有名なくらいだよ。さ、それじゃ行こうか。カエサルさん。
道中面白い話を聞かせてもらえると嬉しいな」
「任せるサ。ニャトルと一緒に面白い冒険の話を聞かせるサ」
「ニャトルは眠いんニャが……」
「うふふ。私が道中毛づくろいしてあげますねぇ……」
「ひっ。地雷娘の地雷攻撃が始まりそうだニャ……」
「そんなことしませんよぉ……」
「やれやれ。騒がしい旅になりそうだぜ」
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「出発進行ー」
「それは来週のお楽しみ!」
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