上 下
36 / 144

護衛の……ええー!? 

しおりを挟む
「お待たせしました! 連れてきましたよ!」
「……」
「……はい?」
「ちょっとだけ、口がきけないんですけど、すっごくいい方です!」
「……」
「それとちょっとだけ手とか足もないんですけど、すっごくいい方なんです!」
「……」
「それとそれと、色々吸収してはとかしたりするけど、すっごくいい方なんです!」
「ただのスライムじゃないかー! なんで魔物連れて来たんだこの人ー!」
「最弱モンスターニャ。最弱モンスター連れてきたニャ」
「違うわよ! 二番目よ、二番目! 一番弱いのはホワイトウルフだよー!」
「なにーーー! 俺の種族が最弱モブキャラオツ! だと!? いやいや俺の種族はウルフィ……
奴とは違うのだよ奴とは!」
「ふふふふ、このニャゴンであるニャトル様の方が数億倍強い! ほーら膝まづけ愚民が!」
「やられる雑魚キャラ台詞になっただと!?」
「あのー、ぼきゅ、しゃべれるのろー」
「おいラフィーさん。一体こんなのどこから連れて来たんだ。しかも喋れるらしいぞ。希少種だ」
「手伝ってって言われたからついてきたのろー」
「これって契約魔獣じゃないの? 一体どうなってるの?」
「さ、さぁ……」
「さぁってちょっとー! 本当に無責任なっ! どーすればいいの? どうしよう! 誰かサルサさんを!」
「だから私は今日忙しいって言ってるでしょ」
「そう、忙しいんだぞサルサさんは! あれぇ? 居たー? お願いします状況がカオスです」
「はぁ……これモルフォルでしょ。スライムに変化してるのよ。発声器官が無いスライムが、喋るわけ
ないでしょ、本当にもう」
「ぼきゅの正体を見破るとは、なかなかやるのろー」
「わぁ、スライムさんが変身した? でも見た目あんまり変わってないわ」
「本当だ。小さな丸まったやつだ。手と足はあるけど。これ役に立つんですか?」
「この子は魔術師ギルド所属のヴィーヴィルっていうの。モルフォル族よ。変身が得意なね。
ラフィー。あんたこの子が本当にスライムだと思ってたわけ?」
「ええ。可愛くて。ぷにぷにな感触が特に……きっと助けになります!」
「そこ、助けになる観点じゃなくない!?」
「しかし、キノコを刈れる人数は一人でも多い方がいいに違いありません! さぁ行きましょう! 
さっさと行って片付けてしまいましょう!」
「私は行かないけどね。しばらく留守にするわ。あんたたち、あんま無茶するんじゃないわよ。それじゃ」
「あーーーー、希望の光! 希望の光の戦士がー! ……不安だ」
「シロンちゃん、置いてくよー! 早くー!」
「むむう。これは新戦力、ヴィーヴィルさんに期待するとしよう。トホホ……」

 西門から出てどのくらい歩いただろうか。というか移動手段が徒歩しかないんかーい。
 ……と突っ込みたかったが、我々はただ今金策中。贅沢は言っていられないのです。
 背に腹は代えられない。所業無情の響きがするよ……。

「疲れたニャ」
「俺らレベル一なんだよ。そりゃ疲れるに決まってる」
「弱い奴らだったのろー」
「ぐっ……そういうヴィーヴィルさんはレベルいくつなんですか!」
「八百七十四だのろー」
「失礼しました。これからは王、いや皇帝と呼ばせてください」
「陛下ニャ!」
「当然だのろー」
「へー、すっごぉい! ちょっと鑑定していい? 鑑定!」
「あっ……」


 ヴィーヴィル
 種族 モルフォル 種族形態 モルフォル

 性別 雄
 年齢 八百七十四歳
 レベル 9
 耐久 33/33
 魔珠  58/58
 体力  8
 力   8
 器用  8
 速   1

 習得技 変身

「なんて弱さだ……レベルじゃなくて年齢だった! 雑兵です! 一兵卒です!」
「雑魚陛下と呼ぶことにしたニャ」
「ちっ。見られたからには仕方ねぇ。このヴィーヴィル様の足引っ張るんじゃねぇのろー」
「態度だけ大きくなって結局語尾変わってない! まぁ囮くらいにはなるか。変身ってどんなものに
なれるんだ?」
「それはな……」

 以外と役に立ちそうな変身能力が判明した! こいつとは仲良くなっておいて損はなさそうだ。
 そして俺たちはキノコが丘に向けてずりずりと進んでいくのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ブレイブエイト〜異世界八犬伝伝説〜

蒼月丸
ファンタジー
異世界ハルヴァス。そこは平和なファンタジー世界だったが、新たな魔王であるタマズサが出現した事で大混乱に陥ってしまう。 魔王討伐に赴いた勇者一行も、タマズサによって壊滅してしまい、行方不明一名、死者二名、捕虜二名という結果に。このままだとハルヴァスが滅びるのも時間の問題だ。 それから数日後、地球にある後楽園ホールではプロレス大会が開かれていたが、ここにも魔王軍が攻め込んできて多くの客が殺されてしまう事態が起きた。 当然大会は中止。客の生き残りである東零夜は魔王軍に怒りを顕にし、憧れのレスラーである藍原倫子、彼女のパートナーの有原日和と共に、魔王軍がいるハルヴァスへと向かう事を決断したのだった。 八犬士達の意志を継ぐ選ばれし八人が、魔王タマズサとの戦いに挑む! 地球とハルヴァス、二つの世界を行き来するファンタジー作品、開幕! Nolaノベル、PageMeku、ネオページ、なろうにも連載しています!

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

異世界転生 我が主のために ~不幸から始まる絶対忠義~ 冒険・戦い・感動を織りなすファンタジー

紫電のチュウニー
ファンタジー
 第四部第一章 新大陸開始中。 開始中(初投稿作品)  転生前も、転生後も 俺は不幸だった。  生まれる前は弱視。  生まれ変わり後は盲目。  そんな人生をメルザは救ってくれた。  あいつのためならば 俺はどんなことでもしよう。  あいつの傍にずっといて、この生涯を捧げたい。  苦楽を共にする多くの仲間たち。自分たちだけの領域。  オリジナルの世界観で描く 感動ストーリーをお届けします。

グライフトゥルム戦記~微笑みの軍師マティアスの救国戦略~

愛山雄町
ファンタジー
 エンデラント大陸最古の王国、グライフトゥルム王国の英雄の一人である、マティアス・フォン・ラウシェンバッハは転生者である。  彼は類い稀なる知力と予知能力を持つと言われるほどの先見性から、“知将マティアス”や“千里眼のマティアス”と呼ばれることになる。  彼は大陸最強の軍事国家ゾルダート帝国や狂信的な宗教国家レヒト法国の侵略に対し、優柔不断な国王や獅子身中の虫である大貴族の有形無形の妨害にあいながらも、旧態依然とした王国軍の近代化を図りつつ、敵国に対して謀略を仕掛け、危機的な状況を回避する。  しかし、宿敵である帝国には軍事と政治の天才が生まれ、更に謎の暗殺者集団“夜(ナハト)”や目的のためなら手段を選ばぬ魔導師集団“真理の探究者”など一筋縄ではいかぬ敵たちが次々と現れる。  そんな敵たちとの死闘に際しても、絶対の自信の表れとも言える余裕の笑みを浮かべながら策を献じたことから、“微笑みの軍師”とも呼ばれていた。  しかし、マティアスは日本での記憶を持った一般人に過ぎなかった。彼は情報分析とプレゼンテーション能力こそ、この世界の人間より優れていたものの、軍事に関する知識は小説や映画などから得たレベルのものしか持っていなかった。  更に彼は生まれつき身体が弱く、武術も魔導の才もないというハンディキャップを抱えていた。また、日本で得た知識を使った技術革新も、世界を崩壊させる危険な技術として封じられてしまう。  彼の代名詞である“微笑み”も単に苦し紛れの策に対する苦笑に過ぎなかった。  マティアスは愛する家族や仲間を守るため、大賢者とその配下の凄腕間者集団の力を借りつつ、優秀な友人たちと力を合わせて強大な敵と戦うことを決意する。  彼は情報の重要性を誰よりも重視し、巧みに情報を利用した謀略で敵を混乱させ、更に戦場では敵の意表を突く戦術を駆使して勝利に貢献していく……。 ■■■  あらすじにある通り、主人公にあるのは日本で得た中途半端な知識のみで、チートに類する卓越した能力はありません。基本的には政略・謀略・軍略といったシリアスな話が主となる予定で、恋愛要素は少なめ、ハーレム要素はもちろんありません。前半は裏方に徹して情報収集や情報操作を行うため、主人公が出てくる戦闘シーンはほとんどありません。 ■■■  小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+でも掲載しております。

底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。  運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。  憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。  異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...