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オープンザトレジャー

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「これ、どうやって開けるニャ?」
「鍵穴、これよね。さぁシロンちゃん、開けて!」
「よーし任せろ! って、はい?」
「三人とも落ち着いて。何のために私がいるのよ」

 はて、サルサさんはご主人のブレーキ役としてついてきたのでは? 
 それ以外には冷静なツッコミ役。攻撃役。おかしいな、サルサさん一人居れば全て事足りる気がするよー。

「そう、サルサさんは優秀です!」
「突然何言ってるのよ……よし、罠はなさそうよ」
「罠解除まで出来ちゃうんですか?」
「出来るわよ。魔術師は特に、ダンジョンや宝箱の魔法トラップ解除に優れるの。
他にもシーフ系やアサシン系、ダンジョンマスターなんかもそれらの能力に優れてるわね。
まぁ魔法型トラップを解除できるのは魔法系に属する能力者だけだから、それらが使えないシーフなどは
論外だけどね」
「へぇー。やっぱりサルサさんは凄い! ぜひうちのパーティの永久的役割を果たしてください!」
「あんたもこりずに勧誘してくるわね。それはいいからさっさと開けるわよ」

 くっ、やはり勧誘は一筋縄ではいかないようだ。しかし今は箱の中身が気になる。
 岩宝箱のサイズは四十センチ四方程度の大きさ。大きくはない。
 この程度のサイズなら剣とか盾とかの武器防具は入ってないよなー。
 なんと薬草を手に入れた! みたいにならないことを祈ろう。

「わ、私こういうお宝開けるの苦手なの……運がないの!」
「あれ? ご主人こそ真っ先に開けそうなのに」
「トラウマがあるのよ。ほら、あんたのワンハンドで開けなさい。変なのでたりして」
「ニャトルには開けられないニャ。か弱い乙女の力じゃ無理ニャ」
「仕方ないなぁ。さっきのシートで疲れてるけど……ワンハンド! オープンザトレジャー!」

 鍵をねじこみパカッと開く岩宝箱……! その中身は! 

「また、宝箱が入ってます」
「はい?」
「ですから、また宝箱がですね……小さいのが、ほら」

 その中には、綺麗に装飾された小さい宝箱が入っていた。鍵穴が見える。

「……本当に変な物、出したわね」
「すごぉーい! シロンちゃん、お宝引き当てた!?」
「お宝っていうか宝箱です」
「使えない奴ニャ。どうするニャ、この箱」
「これにも罠はなさそうだけど、これは普通の宝箱じゃないわね。その辺で見つけた鍵じゃ開かないわ。
サイズ的には持って帰れるから、これ持って今日は帰るわよ」
「普通の宝箱じゃないってことは、何かしらのいい物が入ってるってことですか?」
「そうね。この装飾からしても、コモン系アイテムでない事は確かよ。
初めてのお宝にしては運がいいじゃない。今度から宝箱は全部あんたが開けなさいよ」
「おお! つまりぬか喜びじゃなくて、やったー! でいいんですね! とったどーー!」
「もう一つ何か入ってるニャ。これは何ニャ?」
「本当だ。大抵宝箱には一つか二つしか入っていないんだけど。これは……杖の先端に
付ける魔珠アイテムね。属性は水かな。こっちは売れるか加工して杖にできるわね。
魔道具屋に行って鑑定してもらえばわかるかな。こっちは私の専門外よ」
「へぇ。杖用のアイテムなんて入ってる事もあるんですね。ご主人は杖とか持ってないけど」
「あの子が使う術は特殊な奴だからね。そっちの装備はこれじゃ出来ないし、この
魔珠アイテムと違ってとても高いのよ」
「その魔道具のいいやつがあると、サルサさんの魔法も強くなるんですか?」
「当然よ。いい魔道具を持てば、それこそ城一つ一撃で破壊出来る魔法とか、使う人もいるわ。
もちろん修練が必要だけど」

 やはりどこの世界でも装備は重要だな! ちゃんと装備しないと効果を発揮しないぞ! 

「色々勉強になります。そして俺は限界のようです。疲れたよー」
「ジルジラにも遭遇しちゃったし、今日は帰って休む方がいいわね。ルビー、明日はどうするの?」
「二人を連れてダンジョンに行こうかな?」
『えー!?』
「さすがにまだ早くない? けどダンジョンなら私も行くかなー。シロンは運がよさそうだし」
「ダンジョンって、もうちょっと強くなってから行った方がいいんじゃ……」
「そうね。でもレベルを上げるにはいいのよ。今七くらいでしょ? 十まで上げてみなさいよ」
「後三も上げるのか……どんな魔物が出るんだろう」
「行けばわかるよシロンちゃん! さぁ、今日は町に戻って休むわよー!」

 元気なご主人に抱えられて、町に戻る俺たち。
 今回の旅はなかなかハードでした。
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