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第五部 主と建国せし道 第一章 ジャンカの町 闘技大会
第八百六十五話 冥府、天十握剣という場所
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【ᚢᚨᚲᛖᚲ ᛗᛖᛁᚾᚲᛁᛖᛅ ᚾᛟ ᚷᛟᛁᛖ ᚲᛟᚢᛖ】
「アケク メインキエ ノ ゴエ クエ!」
トウマが巨大な口を開くと、エゴイストテュポーンを呼び出すような声が周囲に反響
していく。
ここは現在海の上だ。塔は全て破壊され、周囲には何も存在していなかった。
が……そのトウマをも凌駕する程の巨大な黒い門が現れた。
これが冥府への門ってわけか。
どうせ向かうならメルザの下がいい。
しかし、この役割を負えないといけない理由がきっとあるはずだ。
そうしなければタナトスもヒューメリーも、俺の敵となるかもしれない。
管理者がどれほどの能力を秘めているか。
それはこれまでの旅でずっと目にしてきた。
嫌な奴だが敵対はしたくない。
それに、常闇のカイナがいるかもしれないといっていた。
つまり門は此処でなければ開かないのだろう。
そして開く術が奴らにもあるということだ。
「おいルイン」
「何だトウマル」
「……トウマルってのは何だ」
「いや、ベリアルの要素を残した方がいいのかなって。ベリマの方が良かったか?」
「ベリアルって呼べよな。その名前じゃ情けなくなるぜ……」
「分かったよ。何だベリアル」
「冥府に着いたら一発タルタロスをぶん殴る」
「いいなそれ。俺にもやらせろ」
「……ああ。だが奴は強ぇぞ。他の管理者と桁が違う」
「だろうな……さぁ行こうぜ」
恐ろしい門がゆっくりと開くと、俺、ベリアル、タナトス、ヒューメリーはその奥へと
入っていった。
「おいルイン」
「何だよ、喋れるようになったら急によく喋りやがって」
「ちっ。ガタガタ言ってると落としちまうぞ……あれだ。ナナーや四幻たちは元気か」
「ああ。ナナーはアルカーン……管理者カイロスに託した。あいつらは元気だよ」
「そうかよ。何れにしてもナナーは連れていけねえな」
「お前ギオマと約束してたよな。ベオルブイーターを倒すとかなんとか」
「ああ。戦力が足りねえ。今の俺でもまだ足りねえ」
「そんな巨体の竜になってもまだ倒せない相手だってのか」
「倒せねえな。これで倒せるならとっくに滅んでるだろ」
「そうか……そういやベルータスの移動要塞みたいなのに比べればまだ小さいか」
「あんな下品乗り物と一緒にするんじゃねえ。おいタナトス!」
「ひゃい!?」
「おめえ忘れてねえだろうな?」
「何のことだかさっぱり……」
「精々後で覚えておけよ……クックック。ハーーッハッハッハッハッハ!」
「相変わらず酷い笑い方だな、お前……」
紫色の渦の中を飛翔するベリアルに乗り、何処までも続く空間を移動する俺たち。
此処で落下したらどうなるんだろうか。
怖すぎて想像もつかないが、間違いなくやばいことだけは分かる。
――随分と長く進んだ先に、もっと薄気味悪い場所がみえ始めた。
「見えたぜ。冥府の……天羽々斬か、あそこは」
「ううん。天十握剣かな」
二人の会話を聞いていると、まるで伝説の剣のような名前だった。
確かにその場所は、一本の剣のような道が出来ている場所だ。
その周囲には紫色に燃え上がる灯ろうが立ち並んでいる。
……ここが冥府って場所なのか?
どのみちベリアルの巨体じゃ通れそうにないと思うような壁と道が続いている。
まさか破壊して進むわけにもいかないだろう。
「おいベリアル。小っちゃくなってくれ」
「ああん? どうやってやんだそんなこと」
「どうって……どうやるんだ?」
「おめえ、知らねえで言ったのか……」
「ギオマだってやってたぞ。竜ってそういうこと出来るんじゃないのか?」
「知らねえよ! 俺ぁ竜になんざなったことねえんだぞ」
「それは俺も無いな。おいタナトス!」
「てめえタナトス!」
「あのね。二人とも言っておくけど私は知識が詰まった賢者の石じゃないんだよ」
「だえー。あの鳥みたいな奴の真似すればいいんだえー」
「デカラビアか。そいつぁいい案だ……よし、出来そうだぜ!」
そういって、俺たちを乗せたまま突然変身するベリアル。
一早く離脱したタナトスだが、ヒューメリーは睡眠姿勢のまま自然落下しそうなので
仕方なく抱えて着地した。
「……随分可愛い鳥になったな」
「うるせえな。デカラビアの趣味だろうが、他に方法思いつくまでこの姿でいるしかね
え」
「ダンタリオンって奴に代わった方が良かったんじゃないのか?」
「バカ言うな。あんな醜いくそ野郎になんざ死んでも変わらねえよ」
「やっぱりここ、天十握剣だ。可笑しいな、もっと遠くに出ると思ったんだけど」
「おい、ちゃんと説明しろ。冥府のことなんて一つも分からないんだぞ」
「そっか。それじゃ……」
「アケク メインキエ ノ ゴエ クエ!」
トウマが巨大な口を開くと、エゴイストテュポーンを呼び出すような声が周囲に反響
していく。
ここは現在海の上だ。塔は全て破壊され、周囲には何も存在していなかった。
が……そのトウマをも凌駕する程の巨大な黒い門が現れた。
これが冥府への門ってわけか。
どうせ向かうならメルザの下がいい。
しかし、この役割を負えないといけない理由がきっとあるはずだ。
そうしなければタナトスもヒューメリーも、俺の敵となるかもしれない。
管理者がどれほどの能力を秘めているか。
それはこれまでの旅でずっと目にしてきた。
嫌な奴だが敵対はしたくない。
それに、常闇のカイナがいるかもしれないといっていた。
つまり門は此処でなければ開かないのだろう。
そして開く術が奴らにもあるということだ。
「おいルイン」
「何だトウマル」
「……トウマルってのは何だ」
「いや、ベリアルの要素を残した方がいいのかなって。ベリマの方が良かったか?」
「ベリアルって呼べよな。その名前じゃ情けなくなるぜ……」
「分かったよ。何だベリアル」
「冥府に着いたら一発タルタロスをぶん殴る」
「いいなそれ。俺にもやらせろ」
「……ああ。だが奴は強ぇぞ。他の管理者と桁が違う」
「だろうな……さぁ行こうぜ」
恐ろしい門がゆっくりと開くと、俺、ベリアル、タナトス、ヒューメリーはその奥へと
入っていった。
「おいルイン」
「何だよ、喋れるようになったら急によく喋りやがって」
「ちっ。ガタガタ言ってると落としちまうぞ……あれだ。ナナーや四幻たちは元気か」
「ああ。ナナーはアルカーン……管理者カイロスに託した。あいつらは元気だよ」
「そうかよ。何れにしてもナナーは連れていけねえな」
「お前ギオマと約束してたよな。ベオルブイーターを倒すとかなんとか」
「ああ。戦力が足りねえ。今の俺でもまだ足りねえ」
「そんな巨体の竜になってもまだ倒せない相手だってのか」
「倒せねえな。これで倒せるならとっくに滅んでるだろ」
「そうか……そういやベルータスの移動要塞みたいなのに比べればまだ小さいか」
「あんな下品乗り物と一緒にするんじゃねえ。おいタナトス!」
「ひゃい!?」
「おめえ忘れてねえだろうな?」
「何のことだかさっぱり……」
「精々後で覚えておけよ……クックック。ハーーッハッハッハッハッハ!」
「相変わらず酷い笑い方だな、お前……」
紫色の渦の中を飛翔するベリアルに乗り、何処までも続く空間を移動する俺たち。
此処で落下したらどうなるんだろうか。
怖すぎて想像もつかないが、間違いなくやばいことだけは分かる。
――随分と長く進んだ先に、もっと薄気味悪い場所がみえ始めた。
「見えたぜ。冥府の……天羽々斬か、あそこは」
「ううん。天十握剣かな」
二人の会話を聞いていると、まるで伝説の剣のような名前だった。
確かにその場所は、一本の剣のような道が出来ている場所だ。
その周囲には紫色に燃え上がる灯ろうが立ち並んでいる。
……ここが冥府って場所なのか?
どのみちベリアルの巨体じゃ通れそうにないと思うような壁と道が続いている。
まさか破壊して進むわけにもいかないだろう。
「おいベリアル。小っちゃくなってくれ」
「ああん? どうやってやんだそんなこと」
「どうって……どうやるんだ?」
「おめえ、知らねえで言ったのか……」
「ギオマだってやってたぞ。竜ってそういうこと出来るんじゃないのか?」
「知らねえよ! 俺ぁ竜になんざなったことねえんだぞ」
「それは俺も無いな。おいタナトス!」
「てめえタナトス!」
「あのね。二人とも言っておくけど私は知識が詰まった賢者の石じゃないんだよ」
「だえー。あの鳥みたいな奴の真似すればいいんだえー」
「デカラビアか。そいつぁいい案だ……よし、出来そうだぜ!」
そういって、俺たちを乗せたまま突然変身するベリアル。
一早く離脱したタナトスだが、ヒューメリーは睡眠姿勢のまま自然落下しそうなので
仕方なく抱えて着地した。
「……随分可愛い鳥になったな」
「うるせえな。デカラビアの趣味だろうが、他に方法思いつくまでこの姿でいるしかね
え」
「ダンタリオンって奴に代わった方が良かったんじゃないのか?」
「バカ言うな。あんな醜いくそ野郎になんざ死んでも変わらねえよ」
「やっぱりここ、天十握剣だ。可笑しいな、もっと遠くに出ると思ったんだけど」
「おい、ちゃんと説明しろ。冥府のことなんて一つも分からないんだぞ」
「そっか。それじゃ……」
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