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第五部 主と建国せし道 第一章 ジャンカの町 闘技大会

第八百十四話 初戦 バトルロイヤル 決着

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 残った神兵と頭飾りの女性は対峙している気配がなく、ただこちらを待っているかのよ
うだった。

「終わったかな。最終戦といこうか」
「……」
「わざわざ待たずとも、後ろから攻撃すればいいだろ?」
「いいや。一回戦で君と相対することになるとは思わなかったから」
「そっちのあんたはどうなんだ。ミレーユに随分苦戦していただろう?」
「……」

 こいつは一言も喋らないか……まぁいい。

「赤閃!」

 両者に向けて赤閃を放つ。
 威力は決して弱くないが、けん制であることに違いは無い。
 双方の動きを読み取り、まずは一角獣に乗る頭飾りの女性へと向かった。
 神兵の方は片手で赤閃をはさみつかみやがった! 
 なんてデタラメな奴だ。

 一角獣は簡単に赤閃を回避する。
 この獣、厄介だな。動きが早い上に行動後の隙が無い。
 体制が崩れないってのは卑怯だぞ、四足獣! 

「氷塊のツララ!」
「……!」

 今度は見え辛い低い姿勢から、ター君の術である氷塊のツララを飛ばす。
 ター君の術とヘッパーホップのバネジャンプ。
 これ以上に使い勝手の良いモンスター技は早々見つからない。
 まだ馴染んでいないのも幾つかあるが、結構外れ技が多いのも事実。
 少しずつ修行で確かめていってはいるが、今は使い慣れた術で十分だ。

 氷塊のツララを大きく回避した一角獣。
 あんな大きく避ける必要、あるか? 
 と思っていたら、神兵の方が、輪っかを飛ばして攻撃してくる。
 そのまま身をよじり、輪っかの一つをカトラスで突き刺して受け止める。
 何だこれ。光ってるけど……「ああ、その避け方はよくない。爆輪」
「な……」

 カットラスで突き刺したその輪が爆発! 思い切り吹き飛ばされ、カットラスが場外へ
と飛ばされる。

 その様子を見てか、一角獣から、紫色の閃光が見えた。
 急いで姿勢を立て直すが……「くそ、雷斗かよ!」
「ヒヒイイイイーーーーン!」

 高い嘶きとともに俺へ向けて電撃が放出され、まともに食らってしまう……が、装備の
影響で事なきをえた。
 まじであぶねえ! 

「ほう。いい装備だね、それ」
「くそ。初戦からこんなきつくなるのかよ。参ったな……考えてても仕方無いか……」

【真化】
「……悪いが容赦しない。死にかけたらさっさと場外へ行け」

 いつもより高揚感が増してる。
 初戦では真化を避けたかったが……。

「……やっぱり妖魔。連れて行かないと」

 何だ? あの女……やっと喋ったと思ったら何を言ってる。

「彼はこちらの獲物。状況は把握。とはいえひとまず……遊びは終わりだ!」

 こちらが真化をした途端にあいつらが戦い始め……神兵の男が一角獣の足をつかむ
と、そのまま両者共に場外へ落ちた。

 あまりの出来事に、周囲一帯が静けさを増す。
 イビンが慌てて司会を継続する。

「一体どういうことでしょう! 二人とも、場外へ……進んで落ちて行ったように見えます! 
ツイン選手に恐れて逃げ出したのでしょうか!?」
「そうは見えなかったわ……一体何を考えているのかしら、あの二人」
「少しいいかしら……」
「あなたは!? 雷帝様!? ひっ……」
「あらわたくしのことをきちんと理解しているの。いるのよ。いるのね。いるに違いない
わ! オーッホッホッホ……わたくしからは先ほどの女性が乗る一角獣、その活躍と攻撃
をほめたたえて差し上げますわ! 美しい。実に美しい……」
「それって雷撃しかみていないんじゃ……」
「あら。そんなことありませんわよ。女性が一角獣に乗る佇まいも美しかったですわね」
「ということです! さぁBリングの勝者は……」

「あんたも落ちな!」
「なっ……」

 突然だった。背後から強烈な蹴りをくらい、吹き飛ばされ……落ちるか! 

「バネジャンプ」
「くそっ! 完全に不意打ちが決まったってのに!」

 危なかった。正直ターゲットに反応が無ければ落ちていただろう。
 しかも蹴られた直前の反応にびっくりした。
 神兵かあの女の方かと思ったら、いつの間にかいなくなっていたヒージョかよ! 

「これは驚きです! ヒージョ選手、突然現れました! あれってマジックアイテム?」
「珍しいわね……姿を消せる術じゃないかしら。使い手は見たことないわ」

 再び姿を消すヒージョ。くそ、こんな厄介な能力持ちかよ。
 だが、以前同じような効果があるアイテムに助けられたことがある。
 驚きはしたが……対応してみせる。
 ……って剣がないんだった! 巨爆烈牙剣が撃てない! 
 仕方ない、大技は使うの、避けたかったんだがな。

「妖赤海星の大海嘯!」
「なっ……水の渦、くそおーーーー! あたしのお宝がぁーーーー!」

 津波ともいえる程の海水が、Bリングを突き破り、Aリングにまで押し寄せる。
 あちらでもまだ戦いが続いていたのに……ご免なさい。

 姿を消していたヒージョはBリングから落下して、残ったのは俺一人となった。

「えーっと……最後はちょっとまずかったような気がしますけど、Bリングは勝者、ツイン選手
です!」
「おい、あんなのありか!」
「他の戦いにまで迷惑かけんな!」

 ……ごもっともです。
 失礼しました! 以後気をつけます! 

 それにしても、あいつら……いない? 
 一体何処へいったんだ。
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