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第五部 主と建国せし道 第一章 ジャンカの町 闘技大会
第八百二話 ジャンカの町入り口から中枢 看板ベルローズ
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バー・シェイクの看板を筆頭に、町にはまだ、看板が間に合っていない店も
多くあるが、全ての店に看板を取り付けて目を引く予定だ。
看板は高いので、支払えない場合は国が肩代わりを行っている。
つまり、作業が遅れているのはそういった都合もあり、仮の看板を立てて
いるのだが、それ程看板というのが大事であることは、言うまでもない。
闘技大会はまだ始まっていないが、既に大量の客が押し寄せているので
売上は当日以上に出ているのかもしれない。
今はまだ早朝なので、人は少ないし、店も正式にやってはいない。
ただ、今日は俺が見回りに行くと事前に公表していたので、代理にしろ
店主は誰かしら居る。
――さて、町の入り口付近には目を引くお店、スティッキースティッキー
がある。
それに、鍛冶で作られた物を販売する店や、一押しブランドショップとも
いえる、漆黒の鈴と美しい薔薇のワンポイントがお洒落な、ベルローズもある。
女性連れの男性も、女性にぐいぐい引っ張られて、お店へ引きずりこまれやすい
ように、男物の服を表側から見えるように意図して設計された店だ。
その隣には、なんとベルローズから直接行けるようにして作られた、三夜の雫
という、これまたいい名前の店がある。店長は三夜の町出身、ガンツとなるが、その
仲間が経営している店だ。販売物は服飾品や、小物など。ベルローズに合わせる
形の物を製作し始めた、第一号店だ。
このように、とにかく入り口側に買い物用の店をまとめた。
前世の露店では、お店の作りがごちゃごちゃで、何が何処にあるのかさっぱり
わからなかった。
本来は理路整然としている方が都合がいいし、売り上げも伸びるはずだが、民主
が強いとそうもいかない。
統制し過ぎるのも良くは無いが、これは町民からの強い要望でもあった。
そのため、勝手に人の足が止まる食事エリアはまとめて中枢へ。
入り口は買い物が可能という、いわばショッピングモールといった形の
店構えとなっている。
ちなみに武器や防具などは、ここには売っていない。
これにはちゃんと理由がある。
そして、盗難が発生した場合の対策もある。
仮に乗り物を利用した者が盗難して逃げようとした場合、一度全ての
停止している乗り物を施錠する鍵に、ロックがかかる。
これはレンブランド・カーィ作による盗難防止のマジックアイテム。
……ぶっちゃけこれが無ければもっと厳重な仕組みを考える必要
があった程だ。
これを実際試してみたのだが、騒ぎになることは間違いなく、出来れば
起こって欲しくはない。
そのため、各店には十分盗難に注意した販売方法を指導しているのだが……。
いかんせん俺は元々目が不自由だったので、見やすく分かり易い
店にしかいった事が無い。
なので、そういった目の不自由さがある者でも、買い物がしやすいように
レェンとモジョコに店づくりを協力してもらった。
こんな所で差別など絶対させるわけにはいかない。
「さて、パモ。どの店はいるか」
「パミュ!」
パモが羽で示したのはやはりというか、ベルローズ。
どれだけベルローゼ先生が好きなんだよっていうその店構えは
堂々たるものだ。
一番お金をかけているのは、フォニーが稼いだ全財産を丸投げにして
造った力作の看板。
なぜなら……エーナ、ニーメ、アルカーン、カーィと言う、特殊能力持ち全員の
能力を活かした看板だからだ。
ベルローゼ先生本人に許可を取って無くないかと思ったが、褒美をやる
約束をされたので、これを褒美にすると言っている。
本人の衣装付き似顔絵入りの、巨大なベルローゼ先生の看板だ。
先生を見事過ぎる程表現。細部にまで美化が行き届き、スーパースター
の名に恥じぬ程のその表情。
黒星をきらびやかに操り、冷たい視線を送る漆黒のいで立ち
には、ちゃっかり鈴と薔薇を縫い込んだようなマークが入っている。
……しかもだ。エーナが関わっている。
この看板、ロブロードのピースのように、喋る!
と言っても、汚い事二ベルローズの刺繍入りの服が通った時に「よく似合っているな」
と一言だけ喋る。
汚い! いや、上手すぎる。こんな早朝でも看板前に一人の女性が釘付け……あれは
ルールーさんか? 見ないようにしよう。
「本当、凄い看板だよな。いや、商売効果より圧倒的にかかった
レギオン金貨にびっくりだけど。これ、アーティファクトだし」
「ぱーみゅ……」
「でも、気持ちはわかるけどな。あの人にはそれだけの魅力があるって事だ。
さすがは妖貴戦、漆黒のベルローゼ。今頃先生、どうしてるかな……」
「ぱみゅ?」
「ああ。心配はしてないよ。殺しても死ぬような妖魔じゃない。
どれくらい強くなってるかって方は心配してるけど。まぁ……それは
俺もだな」
「ぱみゅ!」
パモと楽しく会話しながら、早朝の店を訪れる。
まだベルローズの店も開いてないが、俺が近づくと、勢いよくフォニーさんが
出て来た。
「ルインさん! お待ちしてました。完成した看板、どうですか?
おかしいところ、無いですよね? ね?」
「あ、ああ。元気そうですねフォニーさん。少し美化が多いけど
いいんじゃないかなー……」
「そうですよね! それで、ご注文されてた衣装、早いですが仕上
がってます。ジャーン! フォニー最新作です。くぅー! ベルローゼ様
のお弟子さんのお子さんや奥様のお洋服まで作れるなんて!
感激です!」
「有難う。お代はこちらで。全部で三着。確かに」
「はい。大会頑張って下さいね。応援してます!」
「ああ。当日は見にくるんですか?」
「ええ。お店は任せられる子ができましたからね。お洋服、見て
いきます?」
「少しだけ。他の所もまだまだ回らないといけないんだ。また来るよ」
「わかりました。またお待ちしておりまーす」
店内を少し確認する。こちらで指示した通り、高級な衣類はショーケースの中だ。
このケースは海底に行ったお陰で大量に作れたわけだが、どの店にも置いてある。
実際触りたい場合は、ショーケースに同様の布地が付属している。
それぞれの服棚には番号が振られており、一度覚えればその棚番号の品物は
同じタイプの物が入る。この番号は指で触ればわかる物だ。
まぁ確認するより先に、店員が案内してくれるのだが、覚えていればその場へ
迷わず行けるだろう。いい工夫だ。
さて、長居は無用。先を急ごう。
――その後、スティッキースティッキーと鍛冶道具の店にも顔を出し、いよ
いよ町の中枢部分へ。
ここは……食事と庭園エリアだ。
俺は、花が好きだった。いや、俺だけじゃない。
生物は皆、花を愛せると信じている。
持ち帰った桜の木に咲く花もそうだし、洞庭藍の青紫色の花も
そうだが、好みはあるだろう。
なるべく色分け出来るように工夫するよう伝えてきたのは
驚くべきことにシカリーだった。
それを聞いて、あの時見たのはやはりシカリーだったのだろうと
思うのだった。
戦果に見舞われ追いやられた幻魔の心を救ったのはきっと、花だ。
幻魔界に行った時、そんな美しい光景を見る事は無かった。
だから俺は、こいつらに多くの花を愛でてもらいたくて、沢山の
花を中枢部分に設けた。
ここは食事処でもある。
団子屋モギを始め、食事処が幾つか用意されている。
勿論それだけで賄えるものでは無いので、宿屋も併設されている。
せっちゃんの宿屋にはジパルノグで働いていた女将さんやミット。
そして、宿屋ルールーに、デイスペルで宿屋を営んでいた
インフィニティもここにあるのだ。
そして、先ほど一杯ミルクを引っかけた、バー・シェイクもここにある。
お酒は酔っぱらっておかしくなる奴が出ると困るので、その隣に
警備詰所がある。
と言っても、当日闘技大会中はやっていない。
夜はギオマとエルバノは確実にここだ。
騒ぎを起こしたらひとたまりもないだろう。
破壊だけはしないよう厳重注意してあるが……。
「せっちゃんとこ、寄ってくか? パモ」
「ぱーみゅ?」
「確かに時間が無いか……そんじゃ闘技場へ行こう」
「ぱーみゅ!」
中枢西側には傭兵斡旋所レンズがあるのだが……今は闘技場とその先へ行こう。
町のやや北寄りの部分。ここに闘技会場がある。
デイスペル程大きな闘技会場では無い。
闘技場を建造し始めて感じたのは、その圧倒的な費用だ。
デイスペルでは、闘技場所が八か所もあったのだが、あれだけの
闘技場所を八か所も作ったら、コストが一体幾らかかったのだろうと
身震いする程だ。
だが、一つの闘技場だけでは流石に少ないので、二か所の闘技場を
設けてある。
四方は二百メートル程だろうか。十分戦闘が可能なスペースだ。
それが二つ、並列に配置されている。
それをぐるっと囲むように観客席があり、臨場感を持てるように
少しだけ高くしてあるが、観客席は多すぎる程用意していない。
だが……代わりに何と!
さっきの三軒の宿屋から見える特設ルームが存在する。
そのため宿屋三軒は高い建物となっているわけだ。
これは俺の要望が入っている。
闘技大会を一望出来る部屋もあり、そこはVIPルーム。
それについては、特別料金で提供していいと伝えてある。
闘技大会へのお金は? とも言われたが、それ目当てで来た上客なら
他でもお金を使うだろうということで、その分は不要とした。
宿屋の利益と人気を引き上げる事が出来ればいい。
がめつく取る必要など全くない。
町が潤う事こそ最善の手だろう。
ちなみに今回に限り、要人であるメイズオルガ卿と配下、それからランス
ロットさんを始めとする、五人の統治者、それから雷帝ともう一名が宿泊予定だ。
闘技大会の観戦代、入場料は最低であれば銀貨一枚の
席もある。
最前列は金貨十枚と破格だが、最前列から売り切れたのは
言うまでもない。
ちなみにチケット替わりの物は偽物が出ないように
レンズで依頼して作って貰った物だ。
購入手段は限られたが、全て完売した。
それだけ充当しても、目も当てられない程の大赤字である
事は間違いないが、金の問題はどうでもいい事だ。
……その赤字の大半の原因は、この闘技大会会場の奥に造った
ものが原因だからだ。
多くあるが、全ての店に看板を取り付けて目を引く予定だ。
看板は高いので、支払えない場合は国が肩代わりを行っている。
つまり、作業が遅れているのはそういった都合もあり、仮の看板を立てて
いるのだが、それ程看板というのが大事であることは、言うまでもない。
闘技大会はまだ始まっていないが、既に大量の客が押し寄せているので
売上は当日以上に出ているのかもしれない。
今はまだ早朝なので、人は少ないし、店も正式にやってはいない。
ただ、今日は俺が見回りに行くと事前に公表していたので、代理にしろ
店主は誰かしら居る。
――さて、町の入り口付近には目を引くお店、スティッキースティッキー
がある。
それに、鍛冶で作られた物を販売する店や、一押しブランドショップとも
いえる、漆黒の鈴と美しい薔薇のワンポイントがお洒落な、ベルローズもある。
女性連れの男性も、女性にぐいぐい引っ張られて、お店へ引きずりこまれやすい
ように、男物の服を表側から見えるように意図して設計された店だ。
その隣には、なんとベルローズから直接行けるようにして作られた、三夜の雫
という、これまたいい名前の店がある。店長は三夜の町出身、ガンツとなるが、その
仲間が経営している店だ。販売物は服飾品や、小物など。ベルローズに合わせる
形の物を製作し始めた、第一号店だ。
このように、とにかく入り口側に買い物用の店をまとめた。
前世の露店では、お店の作りがごちゃごちゃで、何が何処にあるのかさっぱり
わからなかった。
本来は理路整然としている方が都合がいいし、売り上げも伸びるはずだが、民主
が強いとそうもいかない。
統制し過ぎるのも良くは無いが、これは町民からの強い要望でもあった。
そのため、勝手に人の足が止まる食事エリアはまとめて中枢へ。
入り口は買い物が可能という、いわばショッピングモールといった形の
店構えとなっている。
ちなみに武器や防具などは、ここには売っていない。
これにはちゃんと理由がある。
そして、盗難が発生した場合の対策もある。
仮に乗り物を利用した者が盗難して逃げようとした場合、一度全ての
停止している乗り物を施錠する鍵に、ロックがかかる。
これはレンブランド・カーィ作による盗難防止のマジックアイテム。
……ぶっちゃけこれが無ければもっと厳重な仕組みを考える必要
があった程だ。
これを実際試してみたのだが、騒ぎになることは間違いなく、出来れば
起こって欲しくはない。
そのため、各店には十分盗難に注意した販売方法を指導しているのだが……。
いかんせん俺は元々目が不自由だったので、見やすく分かり易い
店にしかいった事が無い。
なので、そういった目の不自由さがある者でも、買い物がしやすいように
レェンとモジョコに店づくりを協力してもらった。
こんな所で差別など絶対させるわけにはいかない。
「さて、パモ。どの店はいるか」
「パミュ!」
パモが羽で示したのはやはりというか、ベルローズ。
どれだけベルローゼ先生が好きなんだよっていうその店構えは
堂々たるものだ。
一番お金をかけているのは、フォニーが稼いだ全財産を丸投げにして
造った力作の看板。
なぜなら……エーナ、ニーメ、アルカーン、カーィと言う、特殊能力持ち全員の
能力を活かした看板だからだ。
ベルローゼ先生本人に許可を取って無くないかと思ったが、褒美をやる
約束をされたので、これを褒美にすると言っている。
本人の衣装付き似顔絵入りの、巨大なベルローゼ先生の看板だ。
先生を見事過ぎる程表現。細部にまで美化が行き届き、スーパースター
の名に恥じぬ程のその表情。
黒星をきらびやかに操り、冷たい視線を送る漆黒のいで立ち
には、ちゃっかり鈴と薔薇を縫い込んだようなマークが入っている。
……しかもだ。エーナが関わっている。
この看板、ロブロードのピースのように、喋る!
と言っても、汚い事二ベルローズの刺繍入りの服が通った時に「よく似合っているな」
と一言だけ喋る。
汚い! いや、上手すぎる。こんな早朝でも看板前に一人の女性が釘付け……あれは
ルールーさんか? 見ないようにしよう。
「本当、凄い看板だよな。いや、商売効果より圧倒的にかかった
レギオン金貨にびっくりだけど。これ、アーティファクトだし」
「ぱーみゅ……」
「でも、気持ちはわかるけどな。あの人にはそれだけの魅力があるって事だ。
さすがは妖貴戦、漆黒のベルローゼ。今頃先生、どうしてるかな……」
「ぱみゅ?」
「ああ。心配はしてないよ。殺しても死ぬような妖魔じゃない。
どれくらい強くなってるかって方は心配してるけど。まぁ……それは
俺もだな」
「ぱみゅ!」
パモと楽しく会話しながら、早朝の店を訪れる。
まだベルローズの店も開いてないが、俺が近づくと、勢いよくフォニーさんが
出て来た。
「ルインさん! お待ちしてました。完成した看板、どうですか?
おかしいところ、無いですよね? ね?」
「あ、ああ。元気そうですねフォニーさん。少し美化が多いけど
いいんじゃないかなー……」
「そうですよね! それで、ご注文されてた衣装、早いですが仕上
がってます。ジャーン! フォニー最新作です。くぅー! ベルローゼ様
のお弟子さんのお子さんや奥様のお洋服まで作れるなんて!
感激です!」
「有難う。お代はこちらで。全部で三着。確かに」
「はい。大会頑張って下さいね。応援してます!」
「ああ。当日は見にくるんですか?」
「ええ。お店は任せられる子ができましたからね。お洋服、見て
いきます?」
「少しだけ。他の所もまだまだ回らないといけないんだ。また来るよ」
「わかりました。またお待ちしておりまーす」
店内を少し確認する。こちらで指示した通り、高級な衣類はショーケースの中だ。
このケースは海底に行ったお陰で大量に作れたわけだが、どの店にも置いてある。
実際触りたい場合は、ショーケースに同様の布地が付属している。
それぞれの服棚には番号が振られており、一度覚えればその棚番号の品物は
同じタイプの物が入る。この番号は指で触ればわかる物だ。
まぁ確認するより先に、店員が案内してくれるのだが、覚えていればその場へ
迷わず行けるだろう。いい工夫だ。
さて、長居は無用。先を急ごう。
――その後、スティッキースティッキーと鍛冶道具の店にも顔を出し、いよ
いよ町の中枢部分へ。
ここは……食事と庭園エリアだ。
俺は、花が好きだった。いや、俺だけじゃない。
生物は皆、花を愛せると信じている。
持ち帰った桜の木に咲く花もそうだし、洞庭藍の青紫色の花も
そうだが、好みはあるだろう。
なるべく色分け出来るように工夫するよう伝えてきたのは
驚くべきことにシカリーだった。
それを聞いて、あの時見たのはやはりシカリーだったのだろうと
思うのだった。
戦果に見舞われ追いやられた幻魔の心を救ったのはきっと、花だ。
幻魔界に行った時、そんな美しい光景を見る事は無かった。
だから俺は、こいつらに多くの花を愛でてもらいたくて、沢山の
花を中枢部分に設けた。
ここは食事処でもある。
団子屋モギを始め、食事処が幾つか用意されている。
勿論それだけで賄えるものでは無いので、宿屋も併設されている。
せっちゃんの宿屋にはジパルノグで働いていた女将さんやミット。
そして、宿屋ルールーに、デイスペルで宿屋を営んでいた
インフィニティもここにあるのだ。
そして、先ほど一杯ミルクを引っかけた、バー・シェイクもここにある。
お酒は酔っぱらっておかしくなる奴が出ると困るので、その隣に
警備詰所がある。
と言っても、当日闘技大会中はやっていない。
夜はギオマとエルバノは確実にここだ。
騒ぎを起こしたらひとたまりもないだろう。
破壊だけはしないよう厳重注意してあるが……。
「せっちゃんとこ、寄ってくか? パモ」
「ぱーみゅ?」
「確かに時間が無いか……そんじゃ闘技場へ行こう」
「ぱーみゅ!」
中枢西側には傭兵斡旋所レンズがあるのだが……今は闘技場とその先へ行こう。
町のやや北寄りの部分。ここに闘技会場がある。
デイスペル程大きな闘技会場では無い。
闘技場を建造し始めて感じたのは、その圧倒的な費用だ。
デイスペルでは、闘技場所が八か所もあったのだが、あれだけの
闘技場所を八か所も作ったら、コストが一体幾らかかったのだろうと
身震いする程だ。
だが、一つの闘技場だけでは流石に少ないので、二か所の闘技場を
設けてある。
四方は二百メートル程だろうか。十分戦闘が可能なスペースだ。
それが二つ、並列に配置されている。
それをぐるっと囲むように観客席があり、臨場感を持てるように
少しだけ高くしてあるが、観客席は多すぎる程用意していない。
だが……代わりに何と!
さっきの三軒の宿屋から見える特設ルームが存在する。
そのため宿屋三軒は高い建物となっているわけだ。
これは俺の要望が入っている。
闘技大会を一望出来る部屋もあり、そこはVIPルーム。
それについては、特別料金で提供していいと伝えてある。
闘技大会へのお金は? とも言われたが、それ目当てで来た上客なら
他でもお金を使うだろうということで、その分は不要とした。
宿屋の利益と人気を引き上げる事が出来ればいい。
がめつく取る必要など全くない。
町が潤う事こそ最善の手だろう。
ちなみに今回に限り、要人であるメイズオルガ卿と配下、それからランス
ロットさんを始めとする、五人の統治者、それから雷帝ともう一名が宿泊予定だ。
闘技大会の観戦代、入場料は最低であれば銀貨一枚の
席もある。
最前列は金貨十枚と破格だが、最前列から売り切れたのは
言うまでもない。
ちなみにチケット替わりの物は偽物が出ないように
レンズで依頼して作って貰った物だ。
購入手段は限られたが、全て完売した。
それだけ充当しても、目も当てられない程の大赤字である
事は間違いないが、金の問題はどうでもいい事だ。
……その赤字の大半の原因は、この闘技大会会場の奥に造った
ものが原因だからだ。
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