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第四章 シフティス大陸横断

間話 街道敷設を行うために

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 ここはアースガルズ国、北西に位置する元オズワルが管理していた地域。
 強力なモンスターがはびこり、かつ、廃鉱山方面へ抜けるための重要な位置。
 そこに立つ猫目の者は、美しく伸びる髭をピンとひっぱりながら、周囲の状態を、リュシアンに乗り
見回っていた。

「ニーメ殿。ご足労頂いて申し訳ない。あなたの見立てでいかがですかな? この地へ満遍なく築けるだけの
量は造れますか?」
「うーん。僕一人じゃ無理かな。だけど部分部分にアーティファクトを設置して、残りは普通の金属で造った
城壁なら、大丈夫だと思うよ!」
「素晴らしいお答えです。つまりそのアーティファクトで満遍なくモンスターを退けられる。
そういうことでしょうか」
「うん! 既にジャンカ村に設置してあるんだ。だからあの村はかなり安全なんだよ。
急いで使うなら、ジャンカ村のをここへもってきて、ジャンカ村は警備を増やす方が
いいかもね。造るのに結構時間かかるんだ」
「それも名案です。本当に優秀な鍛冶師ですな。まだ成人の儀もすませておらぬというのに」
「僕はもう成人だ! ってお師匠様にも言われたんだよ。だからマーナちゃんと結婚するんだ!」
「えへへ。でもマーナもついてきてよかったの?」
「うん。マーナちゃんは軽いからね」
「人形姫殿もかなり鍛冶のお手伝いをなされるとか。いやはやどうして驚きました。
ルーンの町は好奇心満ち溢れる世界。このルジリトも楽しませt頂いております」
「猫ちゃん、可愛いよね。ずっと町にいてね!」
「猫ちゃん!? 主と定めたお方にいてくれと言われれば、勿論ずっとおりますとも」
「ルイン兄ちゃんが連れてくる仲間って本当、真面目な人ばかりだよね!」
「そうかなぁ? レミお姉さまは結構真面目じゃないよ……よくからかわれるし」
「そういえばレミさんも突然連れてきたよね……」
「うん。私はミリルお姉ちゃんのような綺麗で優しくて言葉遣いも丁寧なお姫様に憧れるなぁ……」
「ミリル殿ですか。一度お会いしてみとうございますな。リュシアン殿。そろそろアースガルズへ。
メイズオルガ卿にご報告せねば」

 アースガルズ方面へ引き返すと、すぐさま仮設された立派な家へと入るルジリト一行。
 門衛には一言伝えるだけで真っ先に案内される。
 中にはコーネリウスとレッジ、レッツェルがいた。
 
「随分早く戻ったね。もう調べはついたのかい?」
「ええ。モンスターの襲来に関しては滞りなく、直ぐにでもとりかかれそうです。
敷設はその後からですな。資材に関しては多方面へ要望を出しております。
こちらは海底のとある場所からが一番早く手配できるとのこと。
その後カッツェル、ロッドの町からも届くでしょう。泉を通して鉱山より敷設してまいります」
「わかった。こちらもノーブルトループの一部を出そう。エーやビー、メナスはどうだ?」
「まもなく到着するかと。メナス殿が少々気がかりでございましたが、主が戻るまでに、頼まれた事を
やり遂げたいと、動いてくれました」
「安心してくれ。彼女にはこちらのトループをつけたりすることはない。彼女の家柄は取り壊しが
決まっている。シーの頼みで殺害や投獄は無いが……こんな寛大な事は本来許されないだろう。
だが彼の、遺恨を残してはならないというのも道理だ。罪の償い方はしっかりと教わったけれどね」
「主殿らしいですな。それともう一つの難点ですが……」
「ああ。雪の事だね。こちらは防寒用のものを大量に輸送中だ。君たちが作業中寒さに困るような事は無いと
断言しよう。そちらはレッジ、レッツェルがうまくやってくれる」
「私たちもルーンの町に暮らす事にしたんだけど、こちらの依頼を断れなくて」
「だが、仕事が終われば必ず町に戻るよ」
「コホン。それは私も少々困るのだが……まぁ私もそのうち……」
「何かおっしゃいましたかな?」
「いや、こっちの話だ。メイズオルガ卿には私から報告しておく。他に何か用向きはあるかな?」
「もう一点。食糧の援助物資提供を急ぐ予定ですが、こちらに果物や野菜、穀物などの種があれば提供して
頂きたい。ルーンの町での農園を大きく開拓しておりますので」
「それも直ぐに手配しよう。しかし人手がいくらあっても足りないな」
「ええ。この他にもルクス傭兵団にはキゾナ大陸の偵察を。その他大勢の者が他の町に手配をかけております。さらにルーンの町内も大がかりな開拓を行い、さらに死霊族と絶対神の遊びが加速しておりまして……
いやはや、飽きる事の無い町ができつつあります」
「はっはっは。そんな中主が大掛かりな旅に出ているなんて、傑作だろう。
といってもミレーユ王女も一緒だ。私も気が気では無いよ」
「仰る通りです。しかしこのルジリト、主の更なる成長と、健全な帰還を確信しております故」
「そうだろうな。まぁ怪我くらいはするだろう。彼は死地に行くのが好きだからな。
首を長くして待つとしよう。さて……私も仕事に取り掛かる。また後日」
「ええ。失礼いたします」

 ルジリトは一つ礼をすると、仮設された邸宅を後にする。
 外で待機していたリュシアン、ニーメ、マーナは行商からお土産を買っていた。

「待たせたようで申し訳ない。こちらの要件は済んだので、一度泉まで向かおう」
「わがった。それじゃいぐから乗ってけろ」
「ふふふ、リュシアンお姉ちゃんの喋り方、僕好きだな」
「私も! なんか故郷に戻ったみたいでほっとするの……」
「そうが? 大分笑われておら、恥んずかしい……」
「さぁゆっくり喋っていたいところだがあまり時間が無い。急ぎで頼む」

 大空を羽ばたくリュシアンは、廃鉱山へ向けて飛び立っていった。

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