上 下
763 / 1,085
第四章 シフティス大陸横断

第六百八十四話 プリマとセカ、ロブロード対決前

しおりを挟む
「経験者ならルールはわかっているな?」
「いや、久しぶりだからすべてのルールを把握していない」
「……いいよ。それならルールブックを渡してやる」

 既にルールを書物化してあるのか。
 俺がロブロードをレェンたちに託して随分と経つ。
 あれからルールなどは変わったのだろうか。
 一応駒はいくつかエーナにもらったものがある。
 
 黒いフードの性別不明者、プリマ。背丈は小さいが、覗く瞳は紅色。
 こちらに反抗の意思なしとみると、ゆっくり鎌を下ろし、上へ放り投げる。
 それは地面に突き刺さらず、地面へすり抜けていった。
 その代わりにロブロードの台となるようなものと、椅子、そして飲み物を入れる容器が出てくる。
 さらにもう一人、黒いフードの者も現れた。

 ……違う領域からなのか。
 或いは……いや、考えるのはロブロードの方だ。
 ロブロードのルールブックをじっくり見てみる事にする。


 ……ルールはこんな感じだった。

・六枚のピースで構成される。アタックピース二枚、ディフェンスピース二枚、アーティファクト一枚、
ロードピース一枚。ロードが弾かれて落ちると負けとなる。
・アーティファクトは使用効果発動が二回。それ以降の効果は発動しないが強力。アーティファクトは破壊されない。ただし落とされる可能性はある。
・弾くのはアタックピースのみ。一アタック目でロードを最初に直接狙う事はできない。
・アタック、ディフェンスピースを全て落とした場合、自らのターンの時に、ピース補充を宣言できる。
ただしそのターンには補充されず、次のターンに一枚の補充となる。
・ロードを狙う時はいずれか二つのピースの間を狙う必要がある。しかしアーティファクトを覗くその他の
ピースを落とし、間を挟めない場合に限り、直接ロードを狙う事が可能。これをキリングタイムという。

 ……こんなところか。変わった部分もあるが、おおまかには変わっていないな。

「読み終えたら返して」
「ああ。ありがとう、ええとプリマでいいのかな」
「いいよ。君の名前は聞かない。予測はついているから。質問権がないし」
「……駒は俺の持っているの、使えるかわからないけど使っていいのか」
「当然。そうじゃないと勝っても奪えない。経験者と戦う楽しみがなくなる」
「それじゃ、始めよう。サポーターはアメーダ」
「こちらのサポーターはセカ。所有はこの十枚。うち六枚は左側の穴、補充可能用は四枚右側の穴にいれて」
「ああ。見せなくていいのか?」
「見せたら置く楽しみがなくなるでしょ。何が置かれるかが楽しいんじゃない。
でも相手のを見て替える事はできない。だから事前に伏せて置ける穴がある。別に変な事は
していないから。そんなことしたらつまらないし」
「イカサマ、嘘は嫌いなんだな、死霊族ってのは」
「……始めるよ。最初にプリマから置く。交互にいちまいずつだ。一番最初にロードピースから
置く事。後は好きな順番に置いていい。セカ、飲み物を入れて」
「……主よ。戯れの者にでございましょうや?」
「そういう決まりだからと言っているのを忘れた?」
「……御意。こちらは最高級の種を焦がし、熱い湯を通した飲み物。戯れの者には勿体ない飲み物。
有難く啜るがいいでしょうや」
「口が過ぎるのでございます。そちらにご用意されずとも、こちらで用意できるのでございます」
「セカ。訂正しろ。相手は死霊族のアメーダを連れてる。戯れに違いないが恐らく探していた奴だ」
「……ふむ。ではこちらを。多少の礼儀は払いましょうや」
「またおかしな口ぶりの奴だな。しかしこれは……珈琲のようなものか。いい香りだ」
「……それも失言でございます」
「ふうん。まぁ今は勝負を楽しみたい。ロード、置くよ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【R18】ファンタジー陵辱エロゲ世界にTS転生してしまった狐娘の冒険譚

みやび
ファンタジー
エロゲの世界に転生してしまった狐娘ちゃんが犯されたり犯されたりする話。

クラスで一人だけ男子な僕のズボンが盗まれたので仕方無くチ○ポ丸出しで居たら何故か女子がたくさん集まって来た

pelonsan
恋愛
 ここは私立嵐爛学校(しりつらんらんがっこう)、略して乱交、もとい嵐校(らんこう) ━━。  僕の名前は 竿乃 玉之介(さおの たまのすけ)。  昨日この嵐校に転校してきた至極普通の二年生。  去年まで女子校だったらしくクラスメイトが女子ばかりで不安だったんだけど、皆優しく迎えてくれて ほっとしていた矢先の翌日…… ※表紙画像は自由使用可能なAI画像生成サイトで制作したものを加工しました。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

【R18】スライムにマッサージされて絶頂しまくる女の話

白木 白亜
ファンタジー
突如として異世界転移した日本の大学生、タツシ。 世界にとって致命的な抜け穴を見つけ、召喚士としてあっけなく魔王を倒してしまう。 その後、一緒に旅をしたスライムと共に、マッサージ店を開くことにした。卑猥な目的で。 裏があるとも知れず、王都一番の人気になるマッサージ店「スライム・リフレ」。スライムを巧みに操って体のツボを押し、角質を取り、リフレッシュもできる。 だがそこは三度の飯よりも少女が絶頂している瞬間を見るのが大好きなタツシが経営する店。 そんな店では、膣に媚薬100%の粘液を注入され、美少女たちが「気持ちよくなって」いる!!! 感想大歓迎です! ※1グロは一切ありません。登場人物が圧倒的な不幸になることも(たぶん)ありません。今日も王都は平和です。異種姦というよりは、スライムは主人公の補助ツールとして扱われます。そっち方面を期待していた方はすみません。

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

処理中です...