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第四章 シフティス大陸横断
第六百八十話 麓前の休憩
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沖虎に乗ったまま山の麓付近まで降りると、一つの小さな小屋があった。
ひとまず今日はここで休むように指示を受けたという。
「どうぞ。中は事前に綺麗にしてあります。
いずれ使うかもしれないと、山に食糧を取りにいったさい、掃除をすませました」
「起点が回るな……日が沈むにはまだ早いと思っていたが、もう真っ暗だ。
山が日を隠すのが早いのかな。暖炉があるから火をくべよう」
小屋の中にある暖炉に火を灯すと、隅々まで清掃されており、小屋には毛布も
ベッドもある。そこまでしっかりしたものではないが、十分休めそうだ。
「実は我々もここへ到着してそこまで日にちが経っているわけではないのです。
道中モンスターに何度か襲撃されました。全て撃退して辿り着いたのが先日のこと。
そして本日、ルジリト殿の命で事が進み……」
「沖虎。もう少し順をおって話してくれ。ここで何があったんだ? 俺の仲間の
ビー……ミズガルドはいたのか?」
「結論から申しますと、ビー殿の安否は不明。現在、大規模崩落の後により、状況は芳しくないようです」
「崩落だと!? ビーの行方が不明? 迎えに来たというヨーゼフという人物は?」
「消息、不明です……救出活動及び食糧の搬入は行っています。そして、崩落地に降り立つ事は
非常に厳しいのです」
「なぜだ? サーシュがいれば降りられるだろう?」
「いえ。どういうわけか、かなりの強風が定期的に吹き荒れ、押し戻される状態が
続いているのです」
「強風……? そうか、俺が泉から通って来たのと同じ現象か。ここら一体の地層の影響かも
しれないな」
「食糧を少数、定期的に落としてはいるので、生存していれば食べ物はあるはずですが……困難を
極めた状態です」
「そうか。それで手分けして食糧を確保し、下に投げ入れていた……と」
「はい。申し訳ありませぬ。本来であればとうに戻っていなければならぬところを」
「いや、十分考えてくれたうえでの行動だと思う。生存率が上がる方法をとってくれてありがとう。
感謝するよ。だが一刻も早く現地に向かいたい……」
「なりませぬ。主殿なら必ず無茶をして進行するから、必ずここで休ませるよう
言われて参りました」
「ルジリトはまだ会ってまもないのに、そこまで見破られてるのか……その通りだよ。
ちゃんと休む……心配だけど、信用することも大事だな」
「その通りです。現地では少なくともジェネスト殿やルジリトたちもおります。
人手は十分に足りております故」
「なぁなぁ、お腹空いただ。私たちも補給が必要だ」
「そうだったな。暖炉の火を使って魚を焼こう。封剣!」
「にゅいーん……何でごじゃろ? 剣の練習でごじゃろ?」
「魚を焼く」
「ほえ? エスパーダケマルを使うでごじゃろ?」
「お前に刺して魚を焼くから焼かれてくれ。でかすぎるんだよ、この魚」
「何言ってるでごじゃろ! 世界一の名剣を串替わりに使うつもりでごじゃ……あ」
俺は構わずティソーナに魚を突き刺し、暖炉の火で焼き始める。
これ以降暫く、ティソーナがご機嫌斜めになったことは言うまでもないだろう。
ナナーたちがとってきた木苺と魚。
決して多くは無い食糧だが、三人に沢山食べてもらい、俺も少しだけ
食事をすませると、全員封印して早めに眠りについた。
ひと眠りする事に近づいてくる――――我が主に、再び会える日が。
ひとまず今日はここで休むように指示を受けたという。
「どうぞ。中は事前に綺麗にしてあります。
いずれ使うかもしれないと、山に食糧を取りにいったさい、掃除をすませました」
「起点が回るな……日が沈むにはまだ早いと思っていたが、もう真っ暗だ。
山が日を隠すのが早いのかな。暖炉があるから火をくべよう」
小屋の中にある暖炉に火を灯すと、隅々まで清掃されており、小屋には毛布も
ベッドもある。そこまでしっかりしたものではないが、十分休めそうだ。
「実は我々もここへ到着してそこまで日にちが経っているわけではないのです。
道中モンスターに何度か襲撃されました。全て撃退して辿り着いたのが先日のこと。
そして本日、ルジリト殿の命で事が進み……」
「沖虎。もう少し順をおって話してくれ。ここで何があったんだ? 俺の仲間の
ビー……ミズガルドはいたのか?」
「結論から申しますと、ビー殿の安否は不明。現在、大規模崩落の後により、状況は芳しくないようです」
「崩落だと!? ビーの行方が不明? 迎えに来たというヨーゼフという人物は?」
「消息、不明です……救出活動及び食糧の搬入は行っています。そして、崩落地に降り立つ事は
非常に厳しいのです」
「なぜだ? サーシュがいれば降りられるだろう?」
「いえ。どういうわけか、かなりの強風が定期的に吹き荒れ、押し戻される状態が
続いているのです」
「強風……? そうか、俺が泉から通って来たのと同じ現象か。ここら一体の地層の影響かも
しれないな」
「食糧を少数、定期的に落としてはいるので、生存していれば食べ物はあるはずですが……困難を
極めた状態です」
「そうか。それで手分けして食糧を確保し、下に投げ入れていた……と」
「はい。申し訳ありませぬ。本来であればとうに戻っていなければならぬところを」
「いや、十分考えてくれたうえでの行動だと思う。生存率が上がる方法をとってくれてありがとう。
感謝するよ。だが一刻も早く現地に向かいたい……」
「なりませぬ。主殿なら必ず無茶をして進行するから、必ずここで休ませるよう
言われて参りました」
「ルジリトはまだ会ってまもないのに、そこまで見破られてるのか……その通りだよ。
ちゃんと休む……心配だけど、信用することも大事だな」
「その通りです。現地では少なくともジェネスト殿やルジリトたちもおります。
人手は十分に足りております故」
「なぁなぁ、お腹空いただ。私たちも補給が必要だ」
「そうだったな。暖炉の火を使って魚を焼こう。封剣!」
「にゅいーん……何でごじゃろ? 剣の練習でごじゃろ?」
「魚を焼く」
「ほえ? エスパーダケマルを使うでごじゃろ?」
「お前に刺して魚を焼くから焼かれてくれ。でかすぎるんだよ、この魚」
「何言ってるでごじゃろ! 世界一の名剣を串替わりに使うつもりでごじゃ……あ」
俺は構わずティソーナに魚を突き刺し、暖炉の火で焼き始める。
これ以降暫く、ティソーナがご機嫌斜めになったことは言うまでもないだろう。
ナナーたちがとってきた木苺と魚。
決して多くは無い食糧だが、三人に沢山食べてもらい、俺も少しだけ
食事をすませると、全員封印して早めに眠りについた。
ひと眠りする事に近づいてくる――――我が主に、再び会える日が。
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