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第四章 シフティス大陸横断

第六百七十一話 エプタの後悔

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 骨の言う通り偽装された天井を突き破る様に抜けると、そこは人二人程度が通れる道となっていた。
 しかし明かりなどは無く、引き続きナナーの能力を借りる。
 
 骨に続いて先に進んでいくと、ちょうど先ほどファナにスイッチを押してもらったあたりが真下の
場所まで来る。
 この辺りは横に広がっており……とても見たくない光景が広がっていた。
 
 無数の骨がひしめいており、広がった空間そこかしこに骨が散らばっていた。
 エプタを見ると、顔面がさらに青白くなっていた。

「大丈夫かエプタ。顔色、随分と悪いぞ」
「……こいつら全員喋り出したりしねえよな」
「おう、紹介するぜ。一体何百年ぶりの来客だ? 俺たち骨蔵族の世界へようこそ。
存分に楽しんでいってくれな!」
「骨蔵族……? 楽しめって……」

 その瞬間、その場にいた骨が一斉に動き出す。空を飛ぶ骨やバラバラになった骨に頭蓋骨と足だけ
くっついてる骨や頭蓋骨を取り換えて遊ぶやつやらがいる。

「う……これは刺激が強すぎる。骨に耐性がある俺でも刺激が強い……エプタ、大丈夫……」

 あ、全然大丈夫じゃない。やっぱ骨蔵族、苦手なんだな……。

「おいルイン。てめえに頼み事をするのは癪だが緊急事態だ。俺は帰るぜ」
「あ、ああ。地図の続きはドーグルに頼むことにするよ」

 顔面蒼白でふらつきながら梯子を下りて行こうとするエプタ。しかし梯子がなかった! 
 
「おいおい兄ちゃん。帰るのはまだはええって。酒もあるから飲んでけ。ここで作ってるんだぜ。
骨骨酒ってんだ」

 エプタは壁抜けを試みようとするが、出れるはずもなく立ち往生している。
 ……それにしてもここで酒を造ってるのか? 

「なんだその虎骨酒みたいな養命酒チックの酒は……」
「くっ……閉じ込められただと!? くそ、こうなったらこいつらを八つ裂きにして出るしか!」
「やめろって。どうみても害ないだろこいつら……それに、何か親近感がわいてこないか?」

 俺にとっては沢山のレウスさんに思えてきた。とても親近感がある。
 案内してくれた骨に色々聞いてみよう。

「あのー、先に進む前に色々お聞きしたいのですが……」
「ん? ああ。俺はツァーリだ。それ以外の事は忘れちまった。ここは骨蔵族の集落。
俺たちゃここで愉快に暮らしてるが、来客があったみてえで様子を見にきた。
随分と久しくきてねえからな。歓迎するぜ」
「歓迎してくれるのは嬉しいところだが、俺たち先を急いでるんだよ。早めに泉まで行きたくて」
「連れてく約束だからな。案内はするけどよ。何しにいくんだ? あの場所へよ」
「うーん。話していいものかどうか悩ましい。ツァーリさんが敵かどうかもわからない以上
どう説明したもんか……」
「そうか。俺たち会ったばかりだもんな。いいだろ、そんじゃまず泉まで連れてきゃ信用されるか。
おいミギコ。レング。道開けろ」

 ツァーリがそう叫ぶと、頭蓋骨を入れ替えて遊んでいた骨蔵族が、猛ダッシュして
壁へ激突する。
 当然バラバラになるのだが、奥の壁が左右に開き、道が現れる。
 この鉱山、一体どうなってるんだ? 

「泉まで案内してやる。辿り着いたら少し話を聞いてくれねえか?」
「あ、ああ。実は他にも連れて来たい仲間がいるんだけど、この道を使って
泉まで安全に辿り着けたらここ、使ってもいいのかな」
「構わねえぞ。それともっと楽に喋れ。堅苦しいのを骨蔵族は嫌うぜ」
「わかった。そうさせてもらうよ。えっと……ツァーリさん」
「だっはっは! おめえ、堅苦しい性格なんだな。ツァーリさんか。悪くねえな」
「おい、ルイン……おめえは何でそんなにも平然を装ってられる。こいつら
アンデッドの集団だぜ? ……怖くはねえのか?」
「大勢レウスさんがいると思えば怖くはない。どちらかというと幽霊みたいな
奴の方が怖いな。何せ実体がないし物理攻撃があたらないからな。
だがそれも……ター君のおかげで慣れたか。あ、ベルディア。お前にター君憑けたまま
だったな。後で戻してもらえるか?」

 俺は骨に囲まれながらも割と冷静だった。
 どうやら既に、高いアンデッド対応を獲得していたらしい。
 封印内では恐らく皆引きつっているだろうが気にしない事にした。

「ん? あれは……」

 俺は室内の骨たちの間に、あるものを見つけた。 
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