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第四章 シフティス大陸横断

第六百六十三話 アルカーンはいつもいつでも唐突に

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「完成したぞ! ついにだ!」
「うおおお! 毎回毎回心臓に悪すぎる! アルカーンさん!」

 突然喋り出すルーニー。今は夜中で見張りをしている最中。
 みんな起きたらどうするんだ、まったく。

「どうしたじゃん? 何か大きい音がしたけど敵じゃん?」
「うーん。眠いであります……」
「しっかりしろエー。ちゃんと見張りしないと後で寝かせてもらえないぞ」
「はっ! 起きてるであります……」
「あ、アネスタさんだ」
「どどど、どこでありますか!?」
「よし……」
「ふふっ。あんまりエーをからかうなよレッジ……悪い。少しだけ外すぞ」
「わかった。気を付けてな」

 少し離れた水を汲みに行った方へ歩いていく。
 一体こんな時間に何のようだ? 
 いや、あの人に時間の概念を伝えても、逆に興味を示すばかりだ。
 違う方向に。
 
 見晴らしがよく、休憩場所からは離れた場所で再びルーニーを見る。
 小首を傾げてこちらを見ているが……。

「それで、恐らく時計の事でしょうけどどうしたんですか?」
「うむ。まずはそうだな。午前と午後の切り替わりを……」

 この辺りの話をちゃんと聞いてやらないと、先に話が進まなくなる。
 一通り時計の造形や午前から午後へ切り替わる時の美しさを話される。
 俺もちゃんと聞いているのかいないのかよくわからないが……。

「それで本題だが、お前は更に封印穴を欲しがっているようだな。しかしメインとなる防具に
つけるつもりはあまりないと」
「ええ。出来れば装飾類、特に腰部分の増加やニーメにもらったロケットのようなものなんかですね。
腕は出来れば遠慮したいです」
「中々厳しい注文だな。お前は剣を持ち歩かん。鞘に仕込む事すら叶わんからな」
「無理を言っているのはわかるんですが、仲間が極度に増えているので、急ぎなんです」
「一つ言い忘れていたのだが……いや、これは言い忘れではないな。言う必要がないからか」
「何でしょうか。もうアルカーンさんの言い忘れには慣れてるんですけど」
「俺はある特定条件で、その場所に【行ける】と思った場所に行くことができる能力を持つ。
しかし妖魔国側へは今、なぜか行けない。その【行ける】という条件を満たしてもだ」

 どんな能力かはわからないが、それは反則的能力に違いない。
 恐らくアルカーンさんより能力が高い妖魔はいないと思えるが……。

「その条件とは?」
「実際に目にすることだ。これは書物の写し絵で実在するものでも構わんし、建物外観でも構わん。
さらにもう一つ。その移動手段を行使すると、目的地への到達難易度により時間として、俺の
能力は封印される。以前ベルローゼと知り合ったある森に行った時は、約二百四十時間能力を封印された」
「代償が大きいですね。つまりその能力を封印される条件が大きすぎて妖魔国に行けないと?」
「どうかな。そうではない気もするが、わからん。それでだな……ここからが本題だが
今お前は俺を守れる状態にあるか?」
「ええ、ありますよ。かなりの仲間がいます。でもこの場所、見えないですよね?」

 何せここはシフティス大陸だ。
 アルカーンさんが直ぐに来れるような場所でもないだろう。

「貴様には以前説明したと思ったが……ルーニーの目を通してそちらを見ている。
つまりはだ……」

 突然目の前の空間が切り開かれ、青白い顔をした長髪眼鏡の男が出てくる。
 ……いや、出てくるか? 今。

「これを使え。急ぎで必要なんだろう? そのベルトは封印穴が二十四……表と裏の二層構造だ。
つまり時計の午前と午後という概念と同じだな。表面には蓋をしてある。
それとこれは本来暗器用に使う、太ももに巻く装飾具だ。仕込みナイフなどに使うものだが、これに
封印穴を四つつけた。これなら文句あるまい」
「どこから突っ込めばいいんだ? 今、俺たちの現状を先に話す必要がありますよね……」

 唐突に表れたアルカーンさん。
 またメンバーが増えてしまった。
 新しい封印装備を持ってきてくれたのは嬉しいが……これは説明が大変だな。
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