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第四章 シフティス大陸横断
第六百六十二話 廃鉱山前に休息を
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地竜、翼竜をそれぞれパモに収納した後、俺たちは道を急いだ。
外は暗くなりまもなく夜。モンスターに四方から襲われたら厄介なので、安全に休息できる
場所を探していた。
リュシアンにお願いして上空からルジリトに確認してもらったところ、いい場所が見つかったので
そちらで野営をする。
ちょうど囲われたような場所で、背後は切り立った場所。
上空からでは見えづらく、見張りの人数は非常に少なくて済む。
野営をすると、先ほどの竜種の肉を使い、女将さんたち女性陣が料理を作ってくれることに。
「ここまで快適な旅は初めてだね。いやぁこの年になって本当に心躍るねぇ。ずぅっと料理ばかり
してきたからさ」
「お店を休んで旅行とかにはいかないんですか?」
「ばかいっちゃいけないよ。うちの店は多くの従業員を抱えてたんだ。できるはずないだろ?
従業員に店を任せて自分は旅行なんてさ。でもねぇ。あんなことになっちまって。うちで働いてくれてたのは
あの子らと、そっちのトループの人。それにビーさんだけだったよ。それにね。旅行にいくなんて
危な過ぎてそうそうできやしないんだよ、この国じゃ」
「それもそうか。地竜とか襲ってくるもんな。トリノポート大陸はこの大陸ほど危険じゃないと思う。
たまにでかいいのししは出るけど、多少の護衛を付けるとか、馬車……いや風斗車かな、があれば
あちこちいけるよ。カッツェルとの交易も行ない始めたし、色々な料理も作れ……」
「本当かい? 隣町とかと交易をしているのかい? 自国の商品だけじゃなく?」
「あ、ああ……俺やメルザは将来的にはトリノポートを獣人や亜人が住みやすい大陸にしたくて。
勿論犯罪者なんかをどうにかする法は作らないといけないけど」
「あんたたちは、国そのものを作ろうとしてたんだね……立て直すとかよりよっぽど凄いことさ。
あたしもうかうかしていられないね。さぁ今日は頑張って作るよ!
サラ、ファナ、レミ、レッツェルさん! ベルディアちゃん! それに王女さんも! ブネさんとレナは楽器で音楽をお願い! 女の腕を見せる時だよ!」
「もうとっくに取り掛かってるわよ、女将さん」
「この肉、かたぁーい! めなっち手伝ってっしょ」
「切れ味のよい剣はないぞ?」
「私が魔術で剣を作るわね」
「……」
一気に賑やかになる調理場。俺は少し遠目にある川へ水を汲みにリュシアンへ乗り、水を汲んできた。
レッジやジェイク、エーはばっちり見張りをしてくれている。
エプタやイーファ、ドーグルは付近の偵察をしている。
ルジリトはこれからの道のりを分析するため、白丕、彰虎と偵察を完了した場所の地図を作成。
ナナーとビュイは火起こしの手伝いだ。
老師はまだ完治しているわけではないのでゆっくり休ませているが、あだ名を考えているように見えた。
「ほんどに皆、楽しそうだぁ。こっだら楽しい場所にくっど、故郷はなんだったのがわがんねくなる」
「リュシアン。あの領域……幻魔界ってのは本当にブレディーが作った場所なのか?」
「バラム・バロムっていうとんでもねぇ魔族が構築した世界だっていうごとしかわがんねぇけども、あたすは
あたすがどうやって生まれたのかもわがんね。あの日突然幻魔神様がお怒りになられで、もう死ぬんだと
思ってたけんども」
「幻魔神……ウガヤのことか。確かにあれは神だ。メルザが招来したものと同じだった。
あれはいったい……なんだ? 何がしたいんだ、あの神は」
「あたすには、わがらね……でも、おっかねぇ神だ」
「……おっかない、神……か。今はウガヤの事を考えても仕方ない。だが俺にはあの神の力を一度退ける
事ができた。いや、正確には二度か。ラージャ……あれとはもう、対峙したくないな」
「んだぁ。あれはおっがね。よく無事で逃げてこられたと思ったけんども、まさか退治
してたとは、思わながった。まんだちゃんとお礼も言えてねえで。助けてくれて、ありがとうな」
かなり照れている喋り方だったが、なまりの方がどうしても気になってしまう。
でもいいな。なんだか心が安らぐ。
四幻とはもう少し色々話を聞いてみないといけないだろう。
しかしその前にブレディーを戻せるのかどうか……ベリアルからはまだ何の返事もない。
外は暗くなりまもなく夜。モンスターに四方から襲われたら厄介なので、安全に休息できる
場所を探していた。
リュシアンにお願いして上空からルジリトに確認してもらったところ、いい場所が見つかったので
そちらで野営をする。
ちょうど囲われたような場所で、背後は切り立った場所。
上空からでは見えづらく、見張りの人数は非常に少なくて済む。
野営をすると、先ほどの竜種の肉を使い、女将さんたち女性陣が料理を作ってくれることに。
「ここまで快適な旅は初めてだね。いやぁこの年になって本当に心躍るねぇ。ずぅっと料理ばかり
してきたからさ」
「お店を休んで旅行とかにはいかないんですか?」
「ばかいっちゃいけないよ。うちの店は多くの従業員を抱えてたんだ。できるはずないだろ?
従業員に店を任せて自分は旅行なんてさ。でもねぇ。あんなことになっちまって。うちで働いてくれてたのは
あの子らと、そっちのトループの人。それにビーさんだけだったよ。それにね。旅行にいくなんて
危な過ぎてそうそうできやしないんだよ、この国じゃ」
「それもそうか。地竜とか襲ってくるもんな。トリノポート大陸はこの大陸ほど危険じゃないと思う。
たまにでかいいのししは出るけど、多少の護衛を付けるとか、馬車……いや風斗車かな、があれば
あちこちいけるよ。カッツェルとの交易も行ない始めたし、色々な料理も作れ……」
「本当かい? 隣町とかと交易をしているのかい? 自国の商品だけじゃなく?」
「あ、ああ……俺やメルザは将来的にはトリノポートを獣人や亜人が住みやすい大陸にしたくて。
勿論犯罪者なんかをどうにかする法は作らないといけないけど」
「あんたたちは、国そのものを作ろうとしてたんだね……立て直すとかよりよっぽど凄いことさ。
あたしもうかうかしていられないね。さぁ今日は頑張って作るよ!
サラ、ファナ、レミ、レッツェルさん! ベルディアちゃん! それに王女さんも! ブネさんとレナは楽器で音楽をお願い! 女の腕を見せる時だよ!」
「もうとっくに取り掛かってるわよ、女将さん」
「この肉、かたぁーい! めなっち手伝ってっしょ」
「切れ味のよい剣はないぞ?」
「私が魔術で剣を作るわね」
「……」
一気に賑やかになる調理場。俺は少し遠目にある川へ水を汲みにリュシアンへ乗り、水を汲んできた。
レッジやジェイク、エーはばっちり見張りをしてくれている。
エプタやイーファ、ドーグルは付近の偵察をしている。
ルジリトはこれからの道のりを分析するため、白丕、彰虎と偵察を完了した場所の地図を作成。
ナナーとビュイは火起こしの手伝いだ。
老師はまだ完治しているわけではないのでゆっくり休ませているが、あだ名を考えているように見えた。
「ほんどに皆、楽しそうだぁ。こっだら楽しい場所にくっど、故郷はなんだったのがわがんねくなる」
「リュシアン。あの領域……幻魔界ってのは本当にブレディーが作った場所なのか?」
「バラム・バロムっていうとんでもねぇ魔族が構築した世界だっていうごとしかわがんねぇけども、あたすは
あたすがどうやって生まれたのかもわがんね。あの日突然幻魔神様がお怒りになられで、もう死ぬんだと
思ってたけんども」
「幻魔神……ウガヤのことか。確かにあれは神だ。メルザが招来したものと同じだった。
あれはいったい……なんだ? 何がしたいんだ、あの神は」
「あたすには、わがらね……でも、おっかねぇ神だ」
「……おっかない、神……か。今はウガヤの事を考えても仕方ない。だが俺にはあの神の力を一度退ける
事ができた。いや、正確には二度か。ラージャ……あれとはもう、対峙したくないな」
「んだぁ。あれはおっがね。よく無事で逃げてこられたと思ったけんども、まさか退治
してたとは、思わながった。まんだちゃんとお礼も言えてねえで。助けてくれて、ありがとうな」
かなり照れている喋り方だったが、なまりの方がどうしても気になってしまう。
でもいいな。なんだか心が安らぐ。
四幻とはもう少し色々話を聞いてみないといけないだろう。
しかしその前にブレディーを戻せるのかどうか……ベリアルからはまだ何の返事もない。
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