708 / 1,085
第三章 幻魔界
第六百三十二話 集結セし力、ベリアルの戦い方
しおりを挟む
「殿方殿! お見事でした」
「クリムゾン。おめえが襲ってこなくて助かったぜ。身内にやられながら戦うのはやりづれぇからな」
「精々私に感謝することですね」
「ああ。感謝してるぜジェネスト」
「ふん。深淵に見舞わせますよ?」
「あなたの話し方、少々ベリアル殿寄りになりましたな」
「今は共鳴中ってとこだ。気にすんな。それより……終わりじゃねえぜ。ありゃ多分ウガヤ……の精神体だろう。半端じゃねえぞ」
「あれは殿方殿の主が招来していた神の力を持つ幻獣ですな。
こちらを見たままずっと動かないように見受けられるが……」
「いや、多分放出する準備だろ。領域そのものを生み出す文字通りの化け物。
ある意味世界の理を司ってる存在みてえなもの。つまり、絶対神クラスかもしれねえな」
「そんなものに襲われて、勝ち目があるとでも」
「わからねえが……あいつにとってみれば俺たちは領域を侵犯した敵ってことなのかもな。
俺たちじゃなく、俺だけかもしれねえが」
「もしかすると……あなたの幻魔の宝玉や闘魔の宝玉を回収しようとしているのでは?」
「さぁな。どちらにしろ、そろそろ……くるぜ!」
上空に漂うウガヤは、その口から無数の卵を吐き出していく。
合計で三つ。それは直ぐにヒビが入り、中から何かが飛び出してきた。
見た事がある。当然だ。
幻魔獣クレルクラージャ、ミストラージャ、ユビルラージャ。
やはり幻魔界に生息すると言われた竜。
出来れば対峙することなく戻りたいところだったが、そうはいかないか。
「これは……果たしてどうにかできる相手ですかな」
「急げばまだ戻れます。退避を」
「無駄だ。恐らく……地上まで追って来るぞ、こいつら。
おいお前ら! 十分な休みを与えられたとは言えねぇ。傷も癒えねぇうちからおめえらの力を借りるのは
望むところじゃねえ。だが……そうも言ってられなくなった。全員俺に力を貸せ。
ジェネスト。おめえもいい加減腹くくれ。イネービュの奴にもらったソレは、クリムゾンそのものを
どうにか出来るものだろう」
「何を……言っているのですか」
「早くしろ! 時間がねえ! ルジリト、策をよこせ!」
三匹の竜は上空で大きく顎を上げると、ブレスを吐く準備を始める。
半端なブレスじゃない。
辺り一面軽く焦土と化す程のブレスだ。
すぐさまルジリトより意思が伝わってくる。
ブレスを受けきるのは困難。身動きがとり辛くなるが、上空へ思い切り退避。
ただし垂直ではなく東寄り後方へ飛べ……か。
まずはそれで十分。
「遅ぇぞジェネスト! 仕方ねえ。クリムゾンも一度東後方へ飛べ!」
「くっ……」
全員指示通り飛ぶと、その瞬間三匹の竜により放たれたブレスは、彼らが居た場所を的確に崩壊させる。
その威力は地面をえぐり取り、小規模な惑星が落ちた程の穴が開く。
ルインは後方に飛翔しながらも、ラージャへ向けて強烈な斬撃を放つが、前爪で器用にその斬撃を
弾いていた。
「ブレス吐いた姿勢で俺の斬撃を止めるっつーのは随分器用な事じゃねえか」
「私は……これで……」
「早くしやがれ! 何をためらってやがる」
「私が彼を封印すれば、ディーン様の許で彼は働けなくなる。それが……どういう意味かわかりますか?」
「んじゃ今すぐこいつが消滅してもいいってのか?」
「ジェネスト。やってくれ。殿方殿の言う通りだ。お前の一部として、陰ながらディーン様を支えられるなら
消滅するよりマシだろう。殿方殿の言う通り早くしろ。俺たちの手に負える相手じゃないのはわかったはずだ」
「……幻形具現首輪へ、あなたを封印します。私専用の幻魔人として、あなたを使役します。クリムゾン・ダーシュ」
「是非も無し。これで正真正銘殿方殿は我が最も位の高い主だ。ディーン様。私に命令する事、叶わなくなる
事、お許しください」
「幻形封印! クリムゾン・ダーシュ!」
幻形具現首輪をクリムゾンの前に出すと、フッとクリムゾンが消え、ジェネストは再び首輪をはめる。
そのうえでこちらを見た。
「……遅くなったこと、お詫びします」
「気持ち悪ぃな。おめえが謝ると」
「やはり一度深淵に見舞わせて欲しいようですね……」
「んなことやってる場合じゃねえ! 早く封印に戻れ!」
ジェネストを再び封印に戻すと、ラージャの攻撃を回避しながら再び意思を介して皆の力を借りる。
「ルジリト。頼りにしてるぜ。今の俺が持つ最大戦力たち。それを使いこなしてみせな!」
「クリムゾン。おめえが襲ってこなくて助かったぜ。身内にやられながら戦うのはやりづれぇからな」
「精々私に感謝することですね」
「ああ。感謝してるぜジェネスト」
「ふん。深淵に見舞わせますよ?」
「あなたの話し方、少々ベリアル殿寄りになりましたな」
「今は共鳴中ってとこだ。気にすんな。それより……終わりじゃねえぜ。ありゃ多分ウガヤ……の精神体だろう。半端じゃねえぞ」
「あれは殿方殿の主が招来していた神の力を持つ幻獣ですな。
こちらを見たままずっと動かないように見受けられるが……」
「いや、多分放出する準備だろ。領域そのものを生み出す文字通りの化け物。
ある意味世界の理を司ってる存在みてえなもの。つまり、絶対神クラスかもしれねえな」
「そんなものに襲われて、勝ち目があるとでも」
「わからねえが……あいつにとってみれば俺たちは領域を侵犯した敵ってことなのかもな。
俺たちじゃなく、俺だけかもしれねえが」
「もしかすると……あなたの幻魔の宝玉や闘魔の宝玉を回収しようとしているのでは?」
「さぁな。どちらにしろ、そろそろ……くるぜ!」
上空に漂うウガヤは、その口から無数の卵を吐き出していく。
合計で三つ。それは直ぐにヒビが入り、中から何かが飛び出してきた。
見た事がある。当然だ。
幻魔獣クレルクラージャ、ミストラージャ、ユビルラージャ。
やはり幻魔界に生息すると言われた竜。
出来れば対峙することなく戻りたいところだったが、そうはいかないか。
「これは……果たしてどうにかできる相手ですかな」
「急げばまだ戻れます。退避を」
「無駄だ。恐らく……地上まで追って来るぞ、こいつら。
おいお前ら! 十分な休みを与えられたとは言えねぇ。傷も癒えねぇうちからおめえらの力を借りるのは
望むところじゃねえ。だが……そうも言ってられなくなった。全員俺に力を貸せ。
ジェネスト。おめえもいい加減腹くくれ。イネービュの奴にもらったソレは、クリムゾンそのものを
どうにか出来るものだろう」
「何を……言っているのですか」
「早くしろ! 時間がねえ! ルジリト、策をよこせ!」
三匹の竜は上空で大きく顎を上げると、ブレスを吐く準備を始める。
半端なブレスじゃない。
辺り一面軽く焦土と化す程のブレスだ。
すぐさまルジリトより意思が伝わってくる。
ブレスを受けきるのは困難。身動きがとり辛くなるが、上空へ思い切り退避。
ただし垂直ではなく東寄り後方へ飛べ……か。
まずはそれで十分。
「遅ぇぞジェネスト! 仕方ねえ。クリムゾンも一度東後方へ飛べ!」
「くっ……」
全員指示通り飛ぶと、その瞬間三匹の竜により放たれたブレスは、彼らが居た場所を的確に崩壊させる。
その威力は地面をえぐり取り、小規模な惑星が落ちた程の穴が開く。
ルインは後方に飛翔しながらも、ラージャへ向けて強烈な斬撃を放つが、前爪で器用にその斬撃を
弾いていた。
「ブレス吐いた姿勢で俺の斬撃を止めるっつーのは随分器用な事じゃねえか」
「私は……これで……」
「早くしやがれ! 何をためらってやがる」
「私が彼を封印すれば、ディーン様の許で彼は働けなくなる。それが……どういう意味かわかりますか?」
「んじゃ今すぐこいつが消滅してもいいってのか?」
「ジェネスト。やってくれ。殿方殿の言う通りだ。お前の一部として、陰ながらディーン様を支えられるなら
消滅するよりマシだろう。殿方殿の言う通り早くしろ。俺たちの手に負える相手じゃないのはわかったはずだ」
「……幻形具現首輪へ、あなたを封印します。私専用の幻魔人として、あなたを使役します。クリムゾン・ダーシュ」
「是非も無し。これで正真正銘殿方殿は我が最も位の高い主だ。ディーン様。私に命令する事、叶わなくなる
事、お許しください」
「幻形封印! クリムゾン・ダーシュ!」
幻形具現首輪をクリムゾンの前に出すと、フッとクリムゾンが消え、ジェネストは再び首輪をはめる。
そのうえでこちらを見た。
「……遅くなったこと、お詫びします」
「気持ち悪ぃな。おめえが謝ると」
「やはり一度深淵に見舞わせて欲しいようですね……」
「んなことやってる場合じゃねえ! 早く封印に戻れ!」
ジェネストを再び封印に戻すと、ラージャの攻撃を回避しながら再び意思を介して皆の力を借りる。
「ルジリト。頼りにしてるぜ。今の俺が持つ最大戦力たち。それを使いこなしてみせな!」
0
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
主人公は、勇者パーティーを追放されて辺境の地へと追放される。
そこで出会った魔族の少女と仲良くなり、彼女と共にスローライフを送ることになる。
しかし、ある日突然現れた魔王によって、俺は後継者として育てられることになる。
そして、俺の元には次々と美少女達が集まってくるのだった……。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる