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第三章 幻魔界
第六百二十七話 転移の感覚
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……よぉ。ちったぁ動けるようになったみたいだな。
突然ベリアルが語り掛けてきた。だがあまり元気とは言えないようだ。
「ああ。ここからは俺がやる」
そうかよ。俺は眠いからちょうどいい。一つだけ言っておく。
魔を一番深くまで覗くのはやめろ。
「……なぜだ?」
お前、あの時の記憶がはっきりしてねえみてぇだからな。
勝手に封印から出る奴の制御がまともにできてからにしろ。
「そういえばあの時メナスが……いや、それより俺はオズワルとどうやって決着を
つけたんだ?」
……今はんなことどうでもいいんだよ。そんじゃな。俺は寝る。
「おい、ちょっと待てよ。まだ言いたいことが……」
そう言い残してベリアルは静かになった。
言いたい事だけ伝えて寝るってのはずるいな。
あの時どうなったのか……後で思い返してみるか。
――――そう思案しながら転移可能場所に入ると、一瞬体が捻じ曲がるような感覚を覚える。
この感覚……少しだけ記憶がある。
転生した時だ。あの時のことを少し思い出して、嘔吐しそうになった。
背丈から何から全てが変わるというのは、感覚が大幅におかしくなる。
それこそ頭の中が捻じ曲がるような感覚と表現すればいいのだろうか。
そして……そんな感覚の次に感じるのは視界の変化だ。
先ほどまでとはまるで違う場所へ来たと直ぐにわかるほど、辺りの景色が異なる。
この辺りは瘴気も噴出していない。
これは勢力図でいうと一番上にあたる場所なのだろうか?
幻浅の
「ここが幻奥の青がいる場所か……さっきまでとは打って変わって明るくて広い場所だな」
「殿方殿! あれを!」
クリムゾンに言われた方角を急ぎ見ると、上空で何かが争っていた。
美しい青色の翼をもつ竜……そしてそれに対峙しているのは、何か見覚えがある者だ。
ここからではあまりはっきりとは見えない。
空中で度重なる爆発が起こっていた。
そして、青色の竜が墜落していくのが見える。
「紫電清霜神魔解放! クリムゾン、先に行く!」
雷を纏い、身体能力を飛躍的に向上させて、青色の竜が墜落したあたりへ向かう。
その場所へ追撃するかのように、さらなる爆発が地面へ向けて発せられていた。
これは……かなり緊迫した状態かもしれない。突然現れれば襲われる可能性すらある。
「でも、迷っている場合じゃないな! ルジリト、お前の力を借りたい! この状況どう見て、どう読む!」
すると脳内にルジリトの意思がはっきりと伝わって来た。
これが相手の能力を引き出すってことか。
今まで利用できた、ドーグルの念動力やメナスの招来術とは明らかに違う。
状況を察するに何者かに襲われた幻奥の青がその者へ対抗中。
状況は見ての通り不利。襲ってきた対象となる相手は幻深の朱を除外するなら可能性があるのは……
「バラム・バロム自身だと? どういうことだ……」
ルジリトの思考を理解できなかった。
バラム・バロムは封印して管理されている。
ルーニーの中ではなくアルカーンの手によって、ルーンの町にある、【ある場所】にだ。
こんなところに存在するはずがない。
いや待てよ……そもそもディーンを誕生させたスキアラは何と言っていたか。
それにこの世界を構築したのがディーン……いや、バラムバロムそのものであるなら、その存在が
複数体いてもおかしくはない。
「つまり、この場所の監視者はバラム・バロムってことか。
それがなぜ、幻奥の青を襲う。もしかして幻浅の玄への食糧を絶ったり、幻中の白丕を幻深の朱に
襲わせたのもあいつなのか? 一体何のために……」
わからないことが膨らんだ。これもルジリトが考える脳内の出来事を読み取っているからなのだろうか。
俺は頭を振り、落下した幻奥の青の許へ足を走らせた。
突然ベリアルが語り掛けてきた。だがあまり元気とは言えないようだ。
「ああ。ここからは俺がやる」
そうかよ。俺は眠いからちょうどいい。一つだけ言っておく。
魔を一番深くまで覗くのはやめろ。
「……なぜだ?」
お前、あの時の記憶がはっきりしてねえみてぇだからな。
勝手に封印から出る奴の制御がまともにできてからにしろ。
「そういえばあの時メナスが……いや、それより俺はオズワルとどうやって決着を
つけたんだ?」
……今はんなことどうでもいいんだよ。そんじゃな。俺は寝る。
「おい、ちょっと待てよ。まだ言いたいことが……」
そう言い残してベリアルは静かになった。
言いたい事だけ伝えて寝るってのはずるいな。
あの時どうなったのか……後で思い返してみるか。
――――そう思案しながら転移可能場所に入ると、一瞬体が捻じ曲がるような感覚を覚える。
この感覚……少しだけ記憶がある。
転生した時だ。あの時のことを少し思い出して、嘔吐しそうになった。
背丈から何から全てが変わるというのは、感覚が大幅におかしくなる。
それこそ頭の中が捻じ曲がるような感覚と表現すればいいのだろうか。
そして……そんな感覚の次に感じるのは視界の変化だ。
先ほどまでとはまるで違う場所へ来たと直ぐにわかるほど、辺りの景色が異なる。
この辺りは瘴気も噴出していない。
これは勢力図でいうと一番上にあたる場所なのだろうか?
幻浅の
「ここが幻奥の青がいる場所か……さっきまでとは打って変わって明るくて広い場所だな」
「殿方殿! あれを!」
クリムゾンに言われた方角を急ぎ見ると、上空で何かが争っていた。
美しい青色の翼をもつ竜……そしてそれに対峙しているのは、何か見覚えがある者だ。
ここからではあまりはっきりとは見えない。
空中で度重なる爆発が起こっていた。
そして、青色の竜が墜落していくのが見える。
「紫電清霜神魔解放! クリムゾン、先に行く!」
雷を纏い、身体能力を飛躍的に向上させて、青色の竜が墜落したあたりへ向かう。
その場所へ追撃するかのように、さらなる爆発が地面へ向けて発せられていた。
これは……かなり緊迫した状態かもしれない。突然現れれば襲われる可能性すらある。
「でも、迷っている場合じゃないな! ルジリト、お前の力を借りたい! この状況どう見て、どう読む!」
すると脳内にルジリトの意思がはっきりと伝わって来た。
これが相手の能力を引き出すってことか。
今まで利用できた、ドーグルの念動力やメナスの招来術とは明らかに違う。
状況を察するに何者かに襲われた幻奥の青がその者へ対抗中。
状況は見ての通り不利。襲ってきた対象となる相手は幻深の朱を除外するなら可能性があるのは……
「バラム・バロム自身だと? どういうことだ……」
ルジリトの思考を理解できなかった。
バラム・バロムは封印して管理されている。
ルーニーの中ではなくアルカーンの手によって、ルーンの町にある、【ある場所】にだ。
こんなところに存在するはずがない。
いや待てよ……そもそもディーンを誕生させたスキアラは何と言っていたか。
それにこの世界を構築したのがディーン……いや、バラムバロムそのものであるなら、その存在が
複数体いてもおかしくはない。
「つまり、この場所の監視者はバラム・バロムってことか。
それがなぜ、幻奥の青を襲う。もしかして幻浅の玄への食糧を絶ったり、幻中の白丕を幻深の朱に
襲わせたのもあいつなのか? 一体何のために……」
わからないことが膨らんだ。これもルジリトが考える脳内の出来事を読み取っているからなのだろうか。
俺は頭を振り、落下した幻奥の青の許へ足を走らせた。
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