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第三章 幻魔界
第六百十三話 竹葉堂にて
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竹葉堂……そこは明かりが灯る灯篭が一列に縦て並びし、来るものを迎え入れるような
敷布があり、誘い込まれるようなお堂が建っている場所。
見る者は目を奪われ、次々に吸い込まれていくとされている。
アスピドケローネの上からそれを見下ろす者。
「だからそんなに警戒すんなっつってんだろ獣。別にとって食おうってわけじゃねえんだ」
「ぱみゅ! ぱみゅ!」
「嫌われてますね。パモは私が見ていますから気にせず行きますよ」
「けっ。可愛くねえ。俺用の獣でも飼うか」
「そんなどうでもいい事より……早く中へ入りたい。先に行くぞ」
「ナナーもいくだ。えへへ、初めての遠出でご飯だ!」
クリムゾンはそんな三人の様子を見て、少し笑みをこぼす。
ジェネストはパモを抱えて先にアスピドケローネから降りると、周囲を警戒した。
「あまり歓迎されている雰囲気ではないようですね……」
「ぱみゅ……」
「安心してください。彼に頼まれたあなたは私が守ります」
「ぱみゅ!」
「ふーん。これが竹葉堂ってやつか。この幻魔界には竹があるんだな。これも
バラムの野郎の仕業か……なかなかいい趣味じゃねえか」
「あなたはここへ来た事が無いと思いましたが、知っているのですか?」
「まぁな。それよりもガキ共が腹減りだ。地響きがうるせえからさっさと行くぞ」
「誰の地響きがうるさいって? 乙女は腹など鳴らぬ!」
「ナナーは鳴ってるだ。ビュイのお腹だってうるさいだ」
「こ、こら! それはナナーの腹ではないか!」
二人で頬を摘まみ合いながらお堂の方面へ一足先に歩いていく。
灯篭付近へ足を踏み入れた途端、灯っていた炎の揺らめきが強くなり、青色の炎へと
変化した。
それを見て少し警戒を強めるベリアル。
「何かしらの警戒措置か何かか」
「どうでしょうね。その割には襲ってくる気配などはないようです」
「何か凄くいい香りがするだ!」
「もう我慢できぬ。先にいくぞ!」
駆け足で中に入って行くナナーとビュイは、一直線にお堂の中へ入っていった。
興味無さそうにゆっくりと後を追いかけるベリアル。
「ふん。いい趣味してやがるな。よく見りゃ一つ一つが目か」
「幻魔界では敵対し争いあう魔が多い故でしょうな」
「それよりもお金はあるのですか?」
「金貨なら数枚持ってるぜ」
「それは幻魔界では使えぬな。ナナーにはそれで支払ったのですかな?」
「ああ。きらきらして綺麗だといって受け取ったぞ」
「……ここでは恐らく武器か防具を要求されるでしょう。仕方ありません。
幾つか用意があります」
「なんだ、金貨じゃダメなのかよ。武器なら出してやってもいいが……あまり
強力なのは用意できねえな」
「武器精製能力でもあるというのですか!?」
「そんなとこだ。精製能力とは少し違うがな。それより俺も腹が減った。
とりあえずガキ共の後を追うぞ。特にビュイはやたらと食うから気を付けねーとだな」
お堂の中に入ると、正面には巨大な鬼のような怪物をかたどった像が立っている。
そのわきに小さな二足で立つ猫目の男が立っていた。
背丈は小さく、頭には角が生えている。
「ようこそお越し下された。武人……でしょうか。奥でお子さんがお待ちです」
「おい。ガキだが俺のガキじゃねえ。間違えるな」
「これは失礼しました。ささ、奥へどうぞ」
警戒しながらも席へ案内されると、開けた景色が見えるいい席へ案内された。
正面には竹林が見え、整えられた景色は風情がある。
「注文をたの……おまえら、何でもう食ってんだ? 出来るの早すぎるだろ」
既にテーブルの上には山盛りの料理が並んでおり、我先にと頬にめいいっぱい食事を
詰め込むナナーとビュイだった。
敷布があり、誘い込まれるようなお堂が建っている場所。
見る者は目を奪われ、次々に吸い込まれていくとされている。
アスピドケローネの上からそれを見下ろす者。
「だからそんなに警戒すんなっつってんだろ獣。別にとって食おうってわけじゃねえんだ」
「ぱみゅ! ぱみゅ!」
「嫌われてますね。パモは私が見ていますから気にせず行きますよ」
「けっ。可愛くねえ。俺用の獣でも飼うか」
「そんなどうでもいい事より……早く中へ入りたい。先に行くぞ」
「ナナーもいくだ。えへへ、初めての遠出でご飯だ!」
クリムゾンはそんな三人の様子を見て、少し笑みをこぼす。
ジェネストはパモを抱えて先にアスピドケローネから降りると、周囲を警戒した。
「あまり歓迎されている雰囲気ではないようですね……」
「ぱみゅ……」
「安心してください。彼に頼まれたあなたは私が守ります」
「ぱみゅ!」
「ふーん。これが竹葉堂ってやつか。この幻魔界には竹があるんだな。これも
バラムの野郎の仕業か……なかなかいい趣味じゃねえか」
「あなたはここへ来た事が無いと思いましたが、知っているのですか?」
「まぁな。それよりもガキ共が腹減りだ。地響きがうるせえからさっさと行くぞ」
「誰の地響きがうるさいって? 乙女は腹など鳴らぬ!」
「ナナーは鳴ってるだ。ビュイのお腹だってうるさいだ」
「こ、こら! それはナナーの腹ではないか!」
二人で頬を摘まみ合いながらお堂の方面へ一足先に歩いていく。
灯篭付近へ足を踏み入れた途端、灯っていた炎の揺らめきが強くなり、青色の炎へと
変化した。
それを見て少し警戒を強めるベリアル。
「何かしらの警戒措置か何かか」
「どうでしょうね。その割には襲ってくる気配などはないようです」
「何か凄くいい香りがするだ!」
「もう我慢できぬ。先にいくぞ!」
駆け足で中に入って行くナナーとビュイは、一直線にお堂の中へ入っていった。
興味無さそうにゆっくりと後を追いかけるベリアル。
「ふん。いい趣味してやがるな。よく見りゃ一つ一つが目か」
「幻魔界では敵対し争いあう魔が多い故でしょうな」
「それよりもお金はあるのですか?」
「金貨なら数枚持ってるぜ」
「それは幻魔界では使えぬな。ナナーにはそれで支払ったのですかな?」
「ああ。きらきらして綺麗だといって受け取ったぞ」
「……ここでは恐らく武器か防具を要求されるでしょう。仕方ありません。
幾つか用意があります」
「なんだ、金貨じゃダメなのかよ。武器なら出してやってもいいが……あまり
強力なのは用意できねえな」
「武器精製能力でもあるというのですか!?」
「そんなとこだ。精製能力とは少し違うがな。それより俺も腹が減った。
とりあえずガキ共の後を追うぞ。特にビュイはやたらと食うから気を付けねーとだな」
お堂の中に入ると、正面には巨大な鬼のような怪物をかたどった像が立っている。
そのわきに小さな二足で立つ猫目の男が立っていた。
背丈は小さく、頭には角が生えている。
「ようこそお越し下された。武人……でしょうか。奥でお子さんがお待ちです」
「おい。ガキだが俺のガキじゃねえ。間違えるな」
「これは失礼しました。ささ、奥へどうぞ」
警戒しながらも席へ案内されると、開けた景色が見えるいい席へ案内された。
正面には竹林が見え、整えられた景色は風情がある。
「注文をたの……おまえら、何でもう食ってんだ? 出来るの早すぎるだろ」
既にテーブルの上には山盛りの料理が並んでおり、我先にと頬にめいいっぱい食事を
詰め込むナナーとビュイだった。
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