684 / 1,085
第三章 幻魔界
第六百八話 こじ開けた先に
しおりを挟む
「ちっ。ここまで来てでけぇ門が邪魔で入れねえか……さっさと一匹でも多く取り込まねえと
あいつがくたばっちまうな。黒星……ブラックヘイロー・集!」
黒輪をさらに集約させ、一点突破を試みる。振り回すラーヴァティンからは異様な声が聞こえた。
「なまくらじゃねえんだ! ちったぁ役に立ちやがれ!」
思い切りラーヴァティンを黒輪とともに叩き込むと、巨大な扉に亀裂が走る。
その亀裂からわずかに覗く目が見えた。
「ようやく出てきやがったか。さっさと開けろ。来客だ」
「帰らなければ殺す」
隙間からわずかに聞こえるか細い声……しかしベリアルは容赦なく扉をこじ開けにかかった。
「幻浅の玄。おめえだな」
「近寄るな。地上の魔め」
「別に近寄らなくてもいいぜ。話をさせろ」
「野蛮で下賤の者と話すつもりなどないわ」
「悪い話じゃねえよ。おめえ、地上へ行って暴れたくはねえか?」
「そのような世迷言を聞く気は無い。去れ」
「取引がしてえだけだ。なんだ随分小せぇ女だな。ナナーと同じくらいの背丈か」
「黙れ!」
亀裂の入った扉が突如として吹き飛ぶ。
中から現れたのは、黒褐色に緑色の髪をした少女だった。
一気に間合いを詰め、ベリアルの懐へ拳を叩き込んだ。
右腕でガードをしているが、次々に攻撃が繰り出されていく。
防がれた拳は既に右回りに回転して体から離れ、その体制から下段への回し蹴りへ。
当たる事を意識せず流れるようにそのまま一回転して右上段かかと落としを決める。
それもつまらなそうに片手で受け止めると、バックステップを踏み正面へ両手を合わせて構えた。
「亀死千万、生を消費し生を消す。魔陽花里報来」
両手を前方へ突き出すとともに、緑色の衝撃波が正面を撃ち抜く。
少しだけニヤリと笑うベリアルは片手を前に突き出していた。
「悪くねえ武術だな。まぁ関係ねえけどよ、俺には」
「な……ぜ」
その衝撃波を片手でくらうと、ベリアルの腕はどう見ても大打撃を受けていた。
しかしそれと同時に幻浅の玄にも等しくダメージが入る。
「おめえがうかつに直接攻撃するからよ。魔憑きだ。聞いた事くれぇあるだろ?
アスモデウスのくそ野郎が得意とする技だ。俺にはあまりあわねえな」
「ぐう……卑怯な技を!」
「卑怯? こっちの話も聞かずいきなり攻撃してくるおめえが卑怯だと俺に言うのか?」
「……突然押しかけてきて、小せぇ女とバカにしただろう!」
「ああ? よくわからねえやつだな。小せぇものは小せぇ。だがベリアルは細かい事を気にしねえ。
まだ続けるなら相手してもいいが、あまり力は使いたくねえ。何せ他にも三匹いやがるみてえだからよ」
「三匹だと? 貴様は何をしようとしている」
「全員俺に従わせて力とし、地底のタルタロスをぶん殴る」
「何を言っているのかさっぱりわからない。何を企んでいる」
「別に何も企むつもりはねえな。まあ一つだけあるとするなら……復讐はしてえな」
「復讐だと?」
「今のおめえにはまったく関係ねえ。それに従わねえなら無理やり力を奪うしかねえ。
従うなら悪いようにはしねえ。地上へもちゃんと連れてってやる」
「……到底敵わぬ相手だ。だが私の身まではやらぬぞ!」
「あん? 何言ってやがる」
「貴様は地上のものだろう。いかがわしいことをすぐにすると聞いているぞ!」
「おめえの役割はナナーと同じく飯を作ることだ」
「ほらみろ! やっぱりいかがわしい飯……だと?」
「ああ。ちゃんとやれよ。いいな」
「……何なのだこいつは」
あいつがくたばっちまうな。黒星……ブラックヘイロー・集!」
黒輪をさらに集約させ、一点突破を試みる。振り回すラーヴァティンからは異様な声が聞こえた。
「なまくらじゃねえんだ! ちったぁ役に立ちやがれ!」
思い切りラーヴァティンを黒輪とともに叩き込むと、巨大な扉に亀裂が走る。
その亀裂からわずかに覗く目が見えた。
「ようやく出てきやがったか。さっさと開けろ。来客だ」
「帰らなければ殺す」
隙間からわずかに聞こえるか細い声……しかしベリアルは容赦なく扉をこじ開けにかかった。
「幻浅の玄。おめえだな」
「近寄るな。地上の魔め」
「別に近寄らなくてもいいぜ。話をさせろ」
「野蛮で下賤の者と話すつもりなどないわ」
「悪い話じゃねえよ。おめえ、地上へ行って暴れたくはねえか?」
「そのような世迷言を聞く気は無い。去れ」
「取引がしてえだけだ。なんだ随分小せぇ女だな。ナナーと同じくらいの背丈か」
「黙れ!」
亀裂の入った扉が突如として吹き飛ぶ。
中から現れたのは、黒褐色に緑色の髪をした少女だった。
一気に間合いを詰め、ベリアルの懐へ拳を叩き込んだ。
右腕でガードをしているが、次々に攻撃が繰り出されていく。
防がれた拳は既に右回りに回転して体から離れ、その体制から下段への回し蹴りへ。
当たる事を意識せず流れるようにそのまま一回転して右上段かかと落としを決める。
それもつまらなそうに片手で受け止めると、バックステップを踏み正面へ両手を合わせて構えた。
「亀死千万、生を消費し生を消す。魔陽花里報来」
両手を前方へ突き出すとともに、緑色の衝撃波が正面を撃ち抜く。
少しだけニヤリと笑うベリアルは片手を前に突き出していた。
「悪くねえ武術だな。まぁ関係ねえけどよ、俺には」
「な……ぜ」
その衝撃波を片手でくらうと、ベリアルの腕はどう見ても大打撃を受けていた。
しかしそれと同時に幻浅の玄にも等しくダメージが入る。
「おめえがうかつに直接攻撃するからよ。魔憑きだ。聞いた事くれぇあるだろ?
アスモデウスのくそ野郎が得意とする技だ。俺にはあまりあわねえな」
「ぐう……卑怯な技を!」
「卑怯? こっちの話も聞かずいきなり攻撃してくるおめえが卑怯だと俺に言うのか?」
「……突然押しかけてきて、小せぇ女とバカにしただろう!」
「ああ? よくわからねえやつだな。小せぇものは小せぇ。だがベリアルは細かい事を気にしねえ。
まだ続けるなら相手してもいいが、あまり力は使いたくねえ。何せ他にも三匹いやがるみてえだからよ」
「三匹だと? 貴様は何をしようとしている」
「全員俺に従わせて力とし、地底のタルタロスをぶん殴る」
「何を言っているのかさっぱりわからない。何を企んでいる」
「別に何も企むつもりはねえな。まあ一つだけあるとするなら……復讐はしてえな」
「復讐だと?」
「今のおめえにはまったく関係ねえ。それに従わねえなら無理やり力を奪うしかねえ。
従うなら悪いようにはしねえ。地上へもちゃんと連れてってやる」
「……到底敵わぬ相手だ。だが私の身まではやらぬぞ!」
「あん? 何言ってやがる」
「貴様は地上のものだろう。いかがわしいことをすぐにすると聞いているぞ!」
「おめえの役割はナナーと同じく飯を作ることだ」
「ほらみろ! やっぱりいかがわしい飯……だと?」
「ああ。ちゃんとやれよ。いいな」
「……何なのだこいつは」
0
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。
異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる