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第二章 仲間

第五百八十六話 左の塔

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「近づいて見ると、本当にばかげたサイズだ」
「動力源が三か所。それぞれが持つ魔力は相当なものでしょうね」
「私たち、戦闘までは、足引っ張らないように封印内にいるね」
「ああ。メナスもまだ足は完治してないだろう? 無理をするな」
「イーニーとドーニーはこっちに連れてこなくてよかったの?」
「レッジとレッツェルも心配だからな。あいつらは頼りになる」
「扉があるぜ。あそこから入れそうだ」

 左塔へ向かうための扉のようなものが目に入った。赤閃を飛ばして扉を開こうと思ったが、傷一つつかない。
「おいおい、扉から入るだけでもてこずりそうだぞ」
「コウテイ、ぎりぎりまで近づいてくれ。その後術を解除する」
「何するつもりだ?」
「ビー、しっかり捕まってろよ! バネジャンプ!」

 高く跳躍すると、上部の城外壁へ登ることができた。これで少しはショートカットになっただろう。
 外の扉とは違い、上部の扉は普通の扉に見える。開けてみるとすんなり入る事が出来た。

「それ、ありか? 相当とんだぞ?」
「気にするな。単なる技みたいなものだ。ずっと長く使い続けてるけど。大分修練した感じだ」

 ヘッパーホップというモンスターから習得した技だが、今でも俺の行動を支えるいい技だ。
 左塔内部は螺旋階段が続き、人の気配は全くしない。
 この先にいったい何が待ち受けているのか――――。


 ――――――――――――――――

 ツインたちが移動する城へ突撃した頃。

 うふふふふ……最高に美味しそうだった。でも、存在が安定していないね。
 もっと彼を追い込み、苦しめれば安定するのかな。
 早くみたいなぁ……。
 強い保護を受けてるのが邪魔だね。こっちも保護、施しちゃおうかな。
 上書きしちゃえば問題ないよね。うふふふふ……。

「主殿。不覚を取り申した。申し訳ござらぬ」
「ターレキフ。そんなに落ち込まないでいいよ。君が一方的に勝ってしまったら、僕は今頃
すごく不機嫌になっていたしね」
「……あの剣、未だ真価を発揮しておらぬ様子。そのような状態で遅れを取ろうとは」
「だってしょうがないじゃない? 君の短槍、ただのマジックウェポンだし。
折れていないだけ凄いと思うよ。リトラベイが遊んでいたあの魔王はどうだったかな?」
「彼も本気を出していない……いえ、出せない状態でした。お年を召されてはいるが、実力は
あんなものではないでしょう」
「彼が師匠なのかなーと思って、手加減んさせておいてよかったね。早く覚醒させてくれないかなぁ……
楽しみだなぁ……うふふふふ」
「それよりもよろしかったのですか? ミストラを残してきても」
「だってそうしないとさ。試練にならないでしょ? それにさ、絶望的なものを味わって欲しいんだよね。
今度僕のところに来た時に、憎しみと絶望の眼差しを向けれるようにさ……うふふふふ」

 口角を吊り上げて笑いながら竜で移動するロキの前に、突如巨大なカラスのような鳥が立ちはだかった。
 ぴたりと笑いを止めるロキ。

「何者だ。主が通る道の前をはばむとは。容赦せぬ!」
「落ち着きなよターレキフ。君……人かな? いや、ちょっと違うね。魂が少しいびつだ」
「キゾナを落としたようだな。ラーナ・ロプト・トリックスター」
「君は僕を知っていて、僕は君を知らない。随分と不公平な挨拶だね」
「常闇のカイナが再び動く。お前たちは敵になるかもしれないな。ここで……倒しておくべきか」
「主殿。お下がりを。この者、かなり危険です」
「ふむ。多少力量を見る力はあるようだが……少しだけ挨拶をしてやるか。
カウントレスハートレス」

 ロキの前に出たリトラベイに無数の短剣が飛翔する。
 それは軌道を変え四角からリトラベイを襲っていく。

「くっ……上空でこれほど正確な攻撃を……」
「攻撃? 挨拶と言ったはずだ。瞬天っ!」
「おや、見切られたのかな。すごいすごい! 君も面白いね」
「当たり前だ。顔からして攻撃すると言っているようなものだ」

 その男がいた場所が、赤黒くうごめく何かで歪んでいた。
 その後海に向かって赤黒い歪みはぼとりと落ちていく。

「忠告はした。もう行く。多少の余暇を見られたしな」
「待てっ! 一体何者だ!」
「何れわかる。それではな」

 巨大なカラスは更に上空へ向かい、あっという間に見えなくなった。

「うふふふ……どうやら楽しみは他にもあるみたいだね。いいよ、もっと混沌に包んでいってあげよう。
このゲンドールの世界をね……」
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