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第二章 仲間

第五百八十二話 揺らめく武人の魂

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 リトラベイ、ターレキフが俺の前へ出てくる。圧倒的な威圧感に気おされつつも、ゆっくりと
様子を伺っていると……リトラベイとは違い、ターレキフは一気に距離を詰めてきた。

 横に大きく跳躍して距離を取るが、そのまましつこく追って来る。

「変幻ルーニー……直線的な動きだが、速度はそれほどでもない」
「……笑止」

 再び直線的にこちらへ迫るターレキフ。追い打ちの思い切りのよさはベニー並みかそれ以上だ。
 だが、カウンターを当てやすい! 

「赤閃!」
「……笑止と言った」

 短槍で赤閃を簡単に弾かれる。威力こそないが、速度は相当なはずだ。見切れるような距離でもない。
 しかも先ほどから後方のビーが射撃を繰り返し行っているのを、全て回避している。
 リトラベイにけん制されて、ファニーとサニー、レッジにレッツェルも動けないでいた。
 
「く……術詠唱する暇がない。仕方ない……封剣! 剣戒!」
「……貴様には過ぎたる刀よ」

 一気に近づいて、短槍の連撃を放ってくる。二刀で防ぎつつ、隙を伺うが、まるで見受けられない。
 さらに前進する形で押し込んでくる相手に、たまらずバックステップを踏んだ。

「槍術、破軍」

 バックステップ狩り! 一直線に貫く槍が俺に迫る! まずった。ここで使うべきなのか!? 

「弟子はそう簡単にやらせはせんぞ!」
「老師!?」
「ほう。少しは遊べそうな相手が出てきたな……」
「あれは、魔王種ですか。ターレキフ。私に譲りなさい」
「……俺の獲物だ」
「あなたはそちらの坊っちゃんと遊んでいるじゃありませんか」
「ちっ……」

 その会話の隙をつき、ファニーは赤竜へ再び変化。サニーは俺の背後から支援する形をとる。
 開幕は俺がやられたに等しい。
 ここからは、容赦しない! 

「ごめんねツイン。あいつ、とんでもない化け物だわ」
「サニー。イーニーとドーニーへ警戒に回ってもらうよう伝えてくれ。援軍が来ないとも限らない。
こっちは平気だ。もう遅れは取らない」
「尻を撫でろ? わかったわ!」
「やってる場合か! レッジとレッツェルはビーについてくれ。ここからの攻撃は範囲がでかい。
老師と俺だけの方がいい!」

 全員下がらせると、老師とリトラベイ、俺とターレキフが一対一で戦闘状態へ入る。
 
 二剣とルーニーを肩に乗せる俺に対し、相手は短槍と黒の軽装でこちらを睨んでいる。
 一体何者なんだ。ただの槍使いじゃない。相当に腕の立つ槍使いだ。

「主の命、なかなか骨が折れる。笹を手向けてやる事叶わぬが、見事屈服させてみせようぞ」
「……笹だと? この世界にそんなもの!」
「笹の才蔵、参る」
「っ!」

 再び直進してくるターレキフ。先ほどと違いこちらは万全な準備をしてある。

「そこ、滑るぜ」
「なにっ!? くっ……」

 一直線に突撃するターレキフは、足元のわずかな氷に気づかず踏みつける。バランスを崩したのも
極わずか。だが俺の仲間がそれを見逃すはずもない。
 ビーの射撃が肩に深々と命中した。
 俺はビーが外すはずもない事を信じて飛び出していた。

「今を切り裂く執行の剣 エヘクシオン!」

 左右の神話級アーティファクトが、クロスの二連撃を行い、その後横切りに
強烈な二本の斬撃を刻み込む。
 未完成の技だが、十分なダメージを与える事ができた。

「ぐう……油断……した」
「油断じゃない。あんたはビーの射撃を甘く見た。相手じゃないと思い俺に
集中しすぎた結果だ」
「……力を隠したまま、これほどやるとはな」
「そりゃどうも。上空のあいつが恐ろしくてね。まだあんたに使いたくないんだよ」

 ゆっくりと立ち上がったターレキフ。深いダメージを与えたが、まだまだ
繊維は残ったままだ。
 それどころか……。

 
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