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第二章 仲間
第五百七十七話 サーカス団の案内人
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案内人を待っている間に、急ぎ別行動をとるコーネリウス。道中うまく行動してくれることを祈りつつ
見送った。
コーネリウス側で唯一治療を行えるアネさんが狙われないか心配ではあるが、そこはエーが全身全霊をもって
守ってくれるだろう。
こちら側はシュイオン先生を死守しなければならない。
先生の指示でメナスを封印から出し、見てもらう。
足の状態は大分よくなったようだ。もう普通に歩いたり走ったり出来るだろう。
だが精神状態はかなりよくない。心に負った傷は治るものではない。
俺たちが少しずつメナスを安心させてやるしかないだろう。
「私なぞ、私なぞ何の役に立てよう。シーたちの足手まといにしかならぬのに。なぜ、なぜ助ける」
「なあメナス。俺の代わりにイオナを預かってくれないか? お前と同じ、俺たちの新しい家族なんだ」
「きゅう……?」
イオナはすっと俺の肩からメナスの肩へ移動する。
これは……俺よりよっぽど様になる。
銀色になびく美しい髪に狐の面。
その肩に一匹の愛らしい動物が乗り、心配そうにメナスを見ている。
こいつは賢いな。なんとなくメナスの状態がわかるのかもしれない。
必死に頭をこすりつけている。
「お前は……私を醜いと思わないのか」
「きゅう……?」
「私もイオナのように産まれたかった。お前は軍曹閉じ込めていたと聞く。すまなかった。
さぞ私が憎いだろう」
「憎い相手の肩に乗ると思うか? それにイオナもすっごい汚れてたんだぞ。
綺麗になったんだ。今のメナスと同じように、誰かが綺麗にしてくれた。
自分ではどうにもできず辛かっただろう。お前をもう、二度と醜いなどと言わせない。
そんなことを言うやつに、俺たちは容赦も遠慮もするつもりはない」
「ええ。吊るし上げ決定よ」
サニーが封印から出てくる。
「当然ね。私たちの家族なのよ?」
ファニーも飛び出てきた。
「また家族が増えたのは嬉しいこと。それにしても高身長だ。羨ましいな」
イーニーも出てくる。
「まだまだわらたちの仲間はいる。みな心許せる良いやつらだ。早く会いたいものだ」
ドーニーも出てきた。
『一緒に生きましょう』
ボロボロと涙がこぼれ落ちるメナスを、皆に支えてもらいながら、後悔する。
「エルゲンのやつを、もう一発、小突いておけばよかったな……」
「同感だ。それよりシー。どうやら来たみたいだぜ……案内人てやつが」
「……ああ。ただ者じゃない。今のところ襲って来る気配はないようだ」
馬車から少し離れた先で、一人の男がこちらを見ている。
一本の槍を背中に背負い、礼儀正しく挨拶をしていた。
「皆さま。お待たせしました。王女様は首を長くしてお待ちしております。
わたくし、案内人を務めさせて頂きます、リトラベイと申します。以後お見知りおきを」
見ただけでも十分な強さを誇る事がわかる。
額に嫌な汗が浮かぶ。
「サーカス団、団長のイーニーです。案内をよろしくお願いします。しかし王女様ではなく
メイズオルガ様の指示でサーカス団を迎え入れられたはずですが」
「ええ。。仰る通り。しかしメイズオルガ様は現在病で床へ伏せております。
そのため僭越ながらわたくしが迎えに参った次第」
「それでは受諾しかねます。契約上のものですから、まずはメイズオルガ様へご面会を」
「……承知しました。ご案内いたしましょう」
「よろしく頼みます」
うまくイーニーがフォローを入れてくれた。
こういった勘が働くのはさすが元王様だろう。
俺の方をみて少し微笑むが、その額には俺と同じく汗がにじみ出ていた。
「ツインよ……よく聞くのだ。あの男、相当な強さかもしれぬ」
「老師……あれは何者でしょうか」
「わからぬ。だが……これは少々まずいかもしれんのう」
今更引き返すわけにもいかない。
覚悟を決めるしかないだろう。
見送った。
コーネリウス側で唯一治療を行えるアネさんが狙われないか心配ではあるが、そこはエーが全身全霊をもって
守ってくれるだろう。
こちら側はシュイオン先生を死守しなければならない。
先生の指示でメナスを封印から出し、見てもらう。
足の状態は大分よくなったようだ。もう普通に歩いたり走ったり出来るだろう。
だが精神状態はかなりよくない。心に負った傷は治るものではない。
俺たちが少しずつメナスを安心させてやるしかないだろう。
「私なぞ、私なぞ何の役に立てよう。シーたちの足手まといにしかならぬのに。なぜ、なぜ助ける」
「なあメナス。俺の代わりにイオナを預かってくれないか? お前と同じ、俺たちの新しい家族なんだ」
「きゅう……?」
イオナはすっと俺の肩からメナスの肩へ移動する。
これは……俺よりよっぽど様になる。
銀色になびく美しい髪に狐の面。
その肩に一匹の愛らしい動物が乗り、心配そうにメナスを見ている。
こいつは賢いな。なんとなくメナスの状態がわかるのかもしれない。
必死に頭をこすりつけている。
「お前は……私を醜いと思わないのか」
「きゅう……?」
「私もイオナのように産まれたかった。お前は軍曹閉じ込めていたと聞く。すまなかった。
さぞ私が憎いだろう」
「憎い相手の肩に乗ると思うか? それにイオナもすっごい汚れてたんだぞ。
綺麗になったんだ。今のメナスと同じように、誰かが綺麗にしてくれた。
自分ではどうにもできず辛かっただろう。お前をもう、二度と醜いなどと言わせない。
そんなことを言うやつに、俺たちは容赦も遠慮もするつもりはない」
「ええ。吊るし上げ決定よ」
サニーが封印から出てくる。
「当然ね。私たちの家族なのよ?」
ファニーも飛び出てきた。
「また家族が増えたのは嬉しいこと。それにしても高身長だ。羨ましいな」
イーニーも出てくる。
「まだまだわらたちの仲間はいる。みな心許せる良いやつらだ。早く会いたいものだ」
ドーニーも出てきた。
『一緒に生きましょう』
ボロボロと涙がこぼれ落ちるメナスを、皆に支えてもらいながら、後悔する。
「エルゲンのやつを、もう一発、小突いておけばよかったな……」
「同感だ。それよりシー。どうやら来たみたいだぜ……案内人てやつが」
「……ああ。ただ者じゃない。今のところ襲って来る気配はないようだ」
馬車から少し離れた先で、一人の男がこちらを見ている。
一本の槍を背中に背負い、礼儀正しく挨拶をしていた。
「皆さま。お待たせしました。王女様は首を長くしてお待ちしております。
わたくし、案内人を務めさせて頂きます、リトラベイと申します。以後お見知りおきを」
見ただけでも十分な強さを誇る事がわかる。
額に嫌な汗が浮かぶ。
「サーカス団、団長のイーニーです。案内をよろしくお願いします。しかし王女様ではなく
メイズオルガ様の指示でサーカス団を迎え入れられたはずですが」
「ええ。。仰る通り。しかしメイズオルガ様は現在病で床へ伏せております。
そのため僭越ながらわたくしが迎えに参った次第」
「それでは受諾しかねます。契約上のものですから、まずはメイズオルガ様へご面会を」
「……承知しました。ご案内いたしましょう」
「よろしく頼みます」
うまくイーニーがフォローを入れてくれた。
こういった勘が働くのはさすが元王様だろう。
俺の方をみて少し微笑むが、その額には俺と同じく汗がにじみ出ていた。
「ツインよ……よく聞くのだ。あの男、相当な強さかもしれぬ」
「老師……あれは何者でしょうか」
「わからぬ。だが……これは少々まずいかもしれんのう」
今更引き返すわけにもいかない。
覚悟を決めるしかないだろう。
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