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第二章 仲間

第五百五十九話 サーカス団イーグル、移動開始!

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「サーカス団イーグル、お通りじゃん! 道を開けるじゃーん!」
「ほいお嬢さん。風船じゃよー。ここを持って……こうじゃ!」
「うわー、綺麗なお花が中に入ってる! どうやったの?」
「ふふふ、秘密じゃ」
「兄さん。いくわよ。雄大なる魔の世界より這い出て力となれ。
汝は力、汝は我が意思。円となり輪となり己の力を示せ。インフィニットブレイズリング!」
「雄大なる魔の世界より這い出て力となれ。
汝は力、汝は我が意思。流れる水がごとく剣を覆え。スティッキーサブスタンス!」

 輪っか状の炎が次々と上空へ打ち出すレッツェル。
 それを上空へ飛翔して持っている剣に差し込むレッジ。
 すると炎が掲げた剣にはまっていき、上空の炎が真横に広がった。
 その炎は徐々に色を変えていく。
 高い魔力を持っているとは思ったが、器用な魔術を使いこなす。
 これまで見てきた魔術の中でも、かなり完成されたものに見える。
 
「あいつら、やるじゃないか。凄い目立ってるぞ」
「老師も子供たちをとても喜ばせているみたいだ。あの花はどこから出してるんだろうな」
「お二人さん。よそ見してないでこちらも始めるわよ!」
「負けてなるもんですか!」

 ピエロを乗せた大鎧も、リズミカルに歩きつつ、乗せているピエロが時折肥大化したり
しぼんだりして形を変えている。見ている人は不思議で仕方がないようだ。


「それじゃまずは大きいのからいくわよ。この風船、全部割ってね!」

 一斉に三十もの色とりどりの風船がファニーより放たれる。
 ここはビーのお手並み拝見といったところだ。

「それなら俺たちもしっかりと演技しないとな! シー。手を貸してくれるか?」
「ああ。どうしたらいい?」
「両手を上に挙げて俺を支えられるかな。下の方はシーが撃ち落としてくれ。派手に動くと思う。
着地時は……」
「任せてくれ。落としたりはしない」

 両手を上に挙げると、その手の上から高く飛び上がるシー。
 かなりの高度からさかさまになり、的確に射撃をしていく。
 
「妖氷造形術、ブラックイーグル」

 すぐさまブラックイーグルを造形して、周囲の風船を割る。

「シー!」
「ああ! 妖雪造形術、コウテイ!」
「ウェーイ!」

 掲げる手の上にコウテイを出し、コウテイの上にビーが逆さまのまま、片手で着地してポーズを決める。
 着地した頃には、全ての風船が見事に割れていた。
 辺り一面から拍手喝采が沸き上がった。

 
「邪術釣り糸! さぁ今度の的は空中に留まる的よ。
しかも素早く動くから、うまくいくかしらね」
「望むところだ。いくぜ!」
「変幻ルーニー。お前の出番も作ってやらないとな!」
「ホロロロー!」

 今度はビーとルーニーの小さい玉割り競争。
 鋭い嘴剣で次々と玉を割っていくルーニー。
 ビーも必死に応戦していく。

「うおー--! すげぇ! こんなサーカス団見たことねぇ!」
「お母さん。あれ私もやりたい!」
「一体どうやっているのかしら。魔術以外さっぱりわからないわ」
「あいつ、魔物使いか? 鳥と変な生物を出したぞ!」
「今年のサーカスは特別なんだな。王女様の結婚祝い、上手く祝ってやってくれよな!」

 大歓声に包まれながら移動する俺たち。既に下町から八領区へと入るところまできたが、人々は
ずっと、サーカス団の通行に魅入られていた。

「けっ。どうして人間てのはこうも群れて騒ぐのが好きかねえ」
「何を言っている。神もまた祭りごとは好んで行うだろう」
「俺は別に好きじゃねえけどな」
「エプタがひねくれているからだろう、それは」
「けっ……だがよ。多少はわかるようになったぜ」
「……今、何と言った?」
「何でもねえよ。うるせえな!」
「ふむ……まぁよい。しかし思い出すのう……ファルクとランスの統一祭り。あれはよかった」

 馬車の中で物思いにふけるブネ。
 そして、少し変わったエプタを見て、思うのだった。
 自分自身も人との馴れ合いで、変わっているのかもしれないと。
 
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