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第二章 仲間
第五百五十二話 感謝こそすれど
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ビーとシーが脱出を試みようとしていたその時だった。
牢屋に二人の男女が入って来た。
「レッジ、それにレッツェル! よかった、よくなったんだな」
「……なぜ牢屋に入れられてまで、私の心配を」
「それはそうだろう。せっかく助けられたかもしれない人が無事だったんだから」
「……君たちの処遇が決まったんだ。王の許へ護送。そして……ブシアノフ男爵共々
刑にかけられる。罪状は……ヘンブレン・ジョウイ・オズワルの暗殺だ……」
「ばかな! 俺たちは伯爵領区へ辿り着いてもいないんだぞ!」
「そんなことはわかっている! 必死に抗議したさ! だが……招集に応じなければ
極刑は免れない。そして……招集を受ければ恐らく……」
「命はない……か。こうしちゃいられないな。ビー」
「ああ。二人には申し訳ないと思うが、俺たちは……」
どさりと何かを地面に置いたレッツェル。急ぎ足で駆け寄り、鍵を開ける。
「あなたたちを殺せるわけなんてないじゃない! だって、命の恩人なのよ?
今こうして私がここにあるのはあなたたちのお陰なのよ! それなのにどうして……どうして……」
「レッツェル。落ち着くんだ。話していた通り動こう。俺たちは、ブシアノフ男爵の許で随分と
世話になった。そして、ゲンシン殿からこう伝えられたんだ。
お前たち二人は、輸送の最中首にする。その後の事は俺たちは知らない。だがお前たち
二人がどうこうしたところで、俺たちはブシアノフ男爵の護衛で忙しい。あの人は必ず俺たちが
守る……と」
「男爵は俺たちに任せ、お前たちは俺たちを救え……か。かっこいい人だな」
「ああ。厳しい人だが、優しい人だ。そしてそれは、あんたらも……だ」
「急いでこれに着替えて。あなたたちの武器も隠せるようにしたわ」
「っ! ター君とグリドラがいない……ター君はベニーのところへつけたままだったが、鎧として
同化したか? しかしグリドラは……くっ」
「どうした? 急いで準備するぞ」
「あ、ああ。すまない……これを着るのか!?」
「ええ。合図をしたら上の布はとっぱらっていいわ。
一度一領区へ戻り、下町を経由して、最も安全な二十三領区から
男爵たちは王都へ向かう予定なの。サーカス団も後から続いてね」
「サーカス団? そんなのが来てるのか?」
「ええ、呼ばれたみたいよ。王女様の結婚を祝うために、王女様を交えた催し物を開催する
らしいの」
「……そうか。それが最終手段かもしれないな」
「同感だ。その期を逃せば恐らくもう……」
頷きあうビーとシー。
レッジとレッツェルにはよくわからなかったが、今は二人の準備を急がせた。
――――そして、馬車に乗り、移動を開始する。
揺れる馬車の中、シーは色々と考えていた。
メルザの事や残してきたファニー、そしてパモのこと。
違うルートを通っているエーたちのこと。
連れて行かれたコーネリウス、シュイオン先生のこと。
一人残してしまったベニーのこと。
未だはっきりとした手がかりがない、行けなくなった地底のこと。
親友リルやカノンたち妖魔のこと。
ライデンの後を追ったベルドやミリルのこと。
手がかりを探してくれているイーファたちのこと。
修行をしているシュウたちのこと。
幻魔界へ向かったジェネストたちのこと。
ルーンの町にいる、多くの仲間たちのこと。
心配な事は山ほどある。だが、信じるしかない。
自分の信頼する、仲間たちを。
牢屋に二人の男女が入って来た。
「レッジ、それにレッツェル! よかった、よくなったんだな」
「……なぜ牢屋に入れられてまで、私の心配を」
「それはそうだろう。せっかく助けられたかもしれない人が無事だったんだから」
「……君たちの処遇が決まったんだ。王の許へ護送。そして……ブシアノフ男爵共々
刑にかけられる。罪状は……ヘンブレン・ジョウイ・オズワルの暗殺だ……」
「ばかな! 俺たちは伯爵領区へ辿り着いてもいないんだぞ!」
「そんなことはわかっている! 必死に抗議したさ! だが……招集に応じなければ
極刑は免れない。そして……招集を受ければ恐らく……」
「命はない……か。こうしちゃいられないな。ビー」
「ああ。二人には申し訳ないと思うが、俺たちは……」
どさりと何かを地面に置いたレッツェル。急ぎ足で駆け寄り、鍵を開ける。
「あなたたちを殺せるわけなんてないじゃない! だって、命の恩人なのよ?
今こうして私がここにあるのはあなたたちのお陰なのよ! それなのにどうして……どうして……」
「レッツェル。落ち着くんだ。話していた通り動こう。俺たちは、ブシアノフ男爵の許で随分と
世話になった。そして、ゲンシン殿からこう伝えられたんだ。
お前たち二人は、輸送の最中首にする。その後の事は俺たちは知らない。だがお前たち
二人がどうこうしたところで、俺たちはブシアノフ男爵の護衛で忙しい。あの人は必ず俺たちが
守る……と」
「男爵は俺たちに任せ、お前たちは俺たちを救え……か。かっこいい人だな」
「ああ。厳しい人だが、優しい人だ。そしてそれは、あんたらも……だ」
「急いでこれに着替えて。あなたたちの武器も隠せるようにしたわ」
「っ! ター君とグリドラがいない……ター君はベニーのところへつけたままだったが、鎧として
同化したか? しかしグリドラは……くっ」
「どうした? 急いで準備するぞ」
「あ、ああ。すまない……これを着るのか!?」
「ええ。合図をしたら上の布はとっぱらっていいわ。
一度一領区へ戻り、下町を経由して、最も安全な二十三領区から
男爵たちは王都へ向かう予定なの。サーカス団も後から続いてね」
「サーカス団? そんなのが来てるのか?」
「ええ、呼ばれたみたいよ。王女様の結婚を祝うために、王女様を交えた催し物を開催する
らしいの」
「……そうか。それが最終手段かもしれないな」
「同感だ。その期を逃せば恐らくもう……」
頷きあうビーとシー。
レッジとレッツェルにはよくわからなかったが、今は二人の準備を急がせた。
――――そして、馬車に乗り、移動を開始する。
揺れる馬車の中、シーは色々と考えていた。
メルザの事や残してきたファニー、そしてパモのこと。
違うルートを通っているエーたちのこと。
連れて行かれたコーネリウス、シュイオン先生のこと。
一人残してしまったベニーのこと。
未だはっきりとした手がかりがない、行けなくなった地底のこと。
親友リルやカノンたち妖魔のこと。
ライデンの後を追ったベルドやミリルのこと。
手がかりを探してくれているイーファたちのこと。
修行をしているシュウたちのこと。
幻魔界へ向かったジェネストたちのこと。
ルーンの町にいる、多くの仲間たちのこと。
心配な事は山ほどある。だが、信じるしかない。
自分の信頼する、仲間たちを。
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