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第四部 主と共鳴せし道 第一章 闇のオーブを求め
第五百四十七話 変貌
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今日は厄日だ……モンスターの大群に襲われた。
シーと知り合って二度目の苦境だろうな。
早く帰ってあの子に……なんて考えはもうない。
今の戦場を乗り切っても修羅場は続く。
平穏な人生? そんなもの、ありはしないのだろう。
ここから見えるモンスターだけでも状況はよくない。
にもかかわらず地中から現れたそいつらは、まさかの大当たりだ。
地竜アビシャフト。ここらを住処にしていたのだろう。
住処を荒らされたと思ったあいつらは、怒り狂っている。
鱗は堅く獰猛。おまけに地中へ引きずり込み、骨まで食らう化け物。
前線にいるシーが気がきじゃない。戻るように指示を――――出そうとした時だった。
目の錯覚かと思った。だが……紛れもなく、それはシーだった。
「無価値ダ……コノ世界ハ何モカモ。生物モ、草木モ、何モカモガ……」
無数のモンスターに食われながら、それは喋り続ける。
「痛ミモ無価値。俺ノ存在ハ無価値。ダカラ……」
ゆらりと蠢く戦車のような母体に変貌。それから、美しい天使の
ような表情をした、地面まで届きそうな蒼黒い髪をなびかせる
それは、この世の者とは思えない、邪悪な笑みを浮かべる。
「トリコマセロ……全テヲ。ベリアルニ捧ゲヨ。捧げよ……捧げろ!
その者が大きく両手を掲げると、噛り付いていた地竜アビシャフトは弾け飛び、近づけなくなる。
「地獄の王が命ず。我が配下よ、ソロモンの名の許にはせ参じよ。
パーガトリーゲート」
蒼黒い髪が地面へ突き刺さり、イカリのように引き上げられる。
その先には二体の者が引きずりだされるように浮かび上がって来た。
「デカラビア、はせ参じました」
「ギーヒャヒャヒャヒャヒャ。ダンタリオン、再び降臨」
「貴様ら二名だけか。ベリアルの呼びかけに応じたのは」
「セーレのやつがおりませんな」
「あいつは子飼いだ。アンドロマリウス、キマリスはどうした」
「存じませんな。我々とて不服は不服」
「ギーヒャヒャヒャヒャヒャ。そうそう、たいして力を感じないあんたに呼びつけられ……」
ぐしゃりと潰れる音と共に地中へと沈められるダンタリオン。
その者は多くの顔を持つが、すべての顔が恐怖の色に変わっていた。
「ギヒャーーーーア! なぜだ……まるで力を感じぬというのに、なんだこの力は」
「デカラビア。貴様の文字のような体も土に埋めてやろうか」
「も、申し訳ありませぬ。ご命令に従います」
「狩れ。そこいらのモンスター全てだ。だが……クックック。いい素材もいる。
狩るのはモンスターだけにしろ」
「はっ」
「貴様はどうするつもりだ、このまま土にかえるか? それともこのベリアルへ服従するか。
選べ」
「ギヒャ!? 服従いたします! ですから、どうか消滅ばかりは……あれは使わないでください!
お願いします!」
「さっさと行け。今日は気分がいい。だが……暴れる事に変わりはない。
巻き添えを食って消滅したとしてもその時は諦めろ」
「ぎひゃ――!冗談じゃねえ。まったく力を感じないとか、ただの反則じゃねえか!
だから嫌なんだよ、ベリアルは!」
「ククク……さぁ地獄の審判を始めようか」
ゆらりと動き出したそれらは、囲んでいるモンスター軍に突撃を始めた。
シーと知り合って二度目の苦境だろうな。
早く帰ってあの子に……なんて考えはもうない。
今の戦場を乗り切っても修羅場は続く。
平穏な人生? そんなもの、ありはしないのだろう。
ここから見えるモンスターだけでも状況はよくない。
にもかかわらず地中から現れたそいつらは、まさかの大当たりだ。
地竜アビシャフト。ここらを住処にしていたのだろう。
住処を荒らされたと思ったあいつらは、怒り狂っている。
鱗は堅く獰猛。おまけに地中へ引きずり込み、骨まで食らう化け物。
前線にいるシーが気がきじゃない。戻るように指示を――――出そうとした時だった。
目の錯覚かと思った。だが……紛れもなく、それはシーだった。
「無価値ダ……コノ世界ハ何モカモ。生物モ、草木モ、何モカモガ……」
無数のモンスターに食われながら、それは喋り続ける。
「痛ミモ無価値。俺ノ存在ハ無価値。ダカラ……」
ゆらりと蠢く戦車のような母体に変貌。それから、美しい天使の
ような表情をした、地面まで届きそうな蒼黒い髪をなびかせる
それは、この世の者とは思えない、邪悪な笑みを浮かべる。
「トリコマセロ……全テヲ。ベリアルニ捧ゲヨ。捧げよ……捧げろ!
その者が大きく両手を掲げると、噛り付いていた地竜アビシャフトは弾け飛び、近づけなくなる。
「地獄の王が命ず。我が配下よ、ソロモンの名の許にはせ参じよ。
パーガトリーゲート」
蒼黒い髪が地面へ突き刺さり、イカリのように引き上げられる。
その先には二体の者が引きずりだされるように浮かび上がって来た。
「デカラビア、はせ参じました」
「ギーヒャヒャヒャヒャヒャ。ダンタリオン、再び降臨」
「貴様ら二名だけか。ベリアルの呼びかけに応じたのは」
「セーレのやつがおりませんな」
「あいつは子飼いだ。アンドロマリウス、キマリスはどうした」
「存じませんな。我々とて不服は不服」
「ギーヒャヒャヒャヒャヒャ。そうそう、たいして力を感じないあんたに呼びつけられ……」
ぐしゃりと潰れる音と共に地中へと沈められるダンタリオン。
その者は多くの顔を持つが、すべての顔が恐怖の色に変わっていた。
「ギヒャーーーーア! なぜだ……まるで力を感じぬというのに、なんだこの力は」
「デカラビア。貴様の文字のような体も土に埋めてやろうか」
「も、申し訳ありませぬ。ご命令に従います」
「狩れ。そこいらのモンスター全てだ。だが……クックック。いい素材もいる。
狩るのはモンスターだけにしろ」
「はっ」
「貴様はどうするつもりだ、このまま土にかえるか? それともこのベリアルへ服従するか。
選べ」
「ギヒャ!? 服従いたします! ですから、どうか消滅ばかりは……あれは使わないでください!
お願いします!」
「さっさと行け。今日は気分がいい。だが……暴れる事に変わりはない。
巻き添えを食って消滅したとしてもその時は諦めろ」
「ぎひゃ――!冗談じゃねえ。まったく力を感じないとか、ただの反則じゃねえか!
だから嫌なんだよ、ベリアルは!」
「ククク……さぁ地獄の審判を始めようか」
ゆらりと動き出したそれらは、囲んでいるモンスター軍に突撃を始めた。
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