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第四部 主と共鳴せし道 第一章 闇のオーブを求め

第五百十三話 続脱出。…海水弾、アクアマシンガン

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「うわああーー! 軍曹がおかしくなったぞ! 人を集めろ!」
「おいよく見ろ! あれは軍曹じゃない! 軍曹はもっと太ってるぞ!」

 いっきに騒がしくなる第九領区。しかしもう遅い。俺たちは凄い速さで階段を登り切り、道中のトループを
極力眠らせたり滑らせたりして通過していく。ここまでほぼ怪我人はいないだろう。

 理不尽な捕まり方をしたが、出来るだけ穏便にすませようというのは、三人で話し合った結果だ。
 当然頭にきて暴れまわり傷つけてでも脱走しようという考えになっても不思議ではない。
 だが、多分訳アリで警戒していたに違いない。
 
「二人とも、一階に着いたら出口を探してほしいであります!」
「任せておけ。なんなら地下じゃなければその辺ぶち破ってでも出れるだろ?」
「いざとなったらそれも悪くないが……これは参ったな。数が多い」

 一階はそれなりの広さがある広間になっており、見たところトループの数は二十程。
 さて、どうするか……ビーの弾丸で撃っていくのもいいが、時間がかかる。
 
 仕方ない、少し道を造るか。

「海水弾、アクアマシンガン」
「へ? おいおいおい、なんだそりゃ! 水の出る銃?」
「俺の隠し玉だ。見なかったことにしてくれ」
「いいなぁ、それ。そういうの欲しいんだよな……」
「うわぁー! なんだこの水弾は、目に染みる!」
「殺傷力はなさそうだ、怯むな! あれ、なんだかあつ……熱ぅ! 水、水!」
「モード、炎熱海水。悪いが少しだけ火傷するぞ」

 海水炎熱弾を乱射し、二十人の兵士が散り散りになる隙間をねって、一気に通り抜けた。
 兵士たちは衣類を脱ぎ水を被りに行ったようだ。少しやり過ぎたか? 

「その水と炎を自在に操る力。すげぇな。俺も負けてられん」
「自分もそんな格好いい攻撃、してみたいであります。第七領区に着いたら色々教えて欲しいであります!」
「ふふっ。まずは無事に抜けないと……な! 上だ! 右に避けろ!」
「わかったであります!」
「ちっ。気づくのが遅れた。よくあんな上の証明からの攻撃が見えたな」
「勘だよ……ってもう眠らせたのか。そっちの方が驚きだ」

 上空の証明の上にトループが一名おり、その上からこちらを狙っていた。
 ターゲットに反応があり、状況を把握して叫んだ。その間にもう狙いをつけて撃っていたようだ。
 とてつもない早わざ。切り替えして攻勢に出るまでもなかった。

「エー、多分そのまま真っすぐの大扉を抜けたら右だ。真っすぐは行くな。嫌な予感がする」
「本当でありますか? わかったであります!」
「嫌な予感……か。シーの勘なら当たりそうだな」
「……ああ。間違いなく嫌な予感だと言っておこう」

 少し大きな扉のずっと奥からは確実に強い相手がいる。
 そう思えるような威圧感がある。
 シフティス大陸においては強者がひしめきあう。
 コーネリウスは強者と呼べる相手ではないかもしれない。
 だが、その扉を抜けた更に先の奥には、まだ対峙すべき相手ではない強大な何かがいる。
 
「まだ早い……いかんなく力を発揮するためシフティス大陸で修練を詰め……か。老師」
「ん? 何か言ったか?」
「いや、なんでもない。避けられればよし。そうでない場合は……」
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