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第四部 主と共鳴せし道 第一章 闇のオーブを求め

第五百十二話 キューブンに乗って一気に脱出を図る

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「おい、エー、シー。良いものがあったぜ。これ使えるんじゃないか?」

 上の階へ行く途中の部屋で、ビーが何かを見かけたようで立ち止まる。
 何だこれは? 俺の知識には無いものだ。見た感じからして乗り物っぽいが。
 四角の箱だが変な機械が無数に取り付けられている。シフティス大陸は他の大陸と違い、文明
が随分と発展しているように思える。魔術に特化したアイテムが多く見受けられ、ライラロさんの
風斗車がかすんでしまうほどの代物がごろごろあるようだ。

 これもその一つ……か? 

「これは! 自分が欲しい最新鋭のキューブンであります!」
「それなら操作方法わかるか? キューブン使った事ないんだよ」
「勿論であります。自分に任せて欲しいであります!」
「さぁ乗った乗った。これがあるならもう見つからないようにってのは無しだ。
ここから一気に地上へ駆け抜けようぜ」
「乗り物は少々トラウマがあって苦手なんだが……そうもいっていられないな。こいつもいるし」
「きゅううーー……」

 先ほど見つけたアイリスはまだだいぶ怯えているようだ。俺の懐の中で縮こまっている。
 ここから先は戦闘にもなるかもしれない。ちゃんと無事に地上まで送り届けてやろう。

「……準備完了であります! うひょー、こんなに早く最新鋭に乗れるとは思わなかったであります!」
「でもこれ、ここのトループのなんじゃ……」
「マーサル隊長につけておくであります! なんなら部下をさらったということで直談判であります!」
「それもそうだな。それじゃ行こうぜ!」
「ああ!」

 エーを先頭に、真ん中をビー、一番後ろをシーが見張る。
 大人三人程乗れば窮屈だが、文句は言えない。

 キューブンという乗り物はそのままふわりと浮かび上がり、少し後ろにふらついた後、前進を始める。
 一体どうやって動かしてるのか気になるが、最後尾から見た感じだと、熱で動かす仕組みではないようだ。
 電気自動車に少し似ているか……しかし圧倒的に異なるのは車輪がないこと。
 そして……旋回が凄い。箱形状なだけに旋回という概念がなく、そのまま横スクロールで動く。
 つまり上下左右に動くエレベーターだな、これは。
 階段に差し掛かり一度停止するエー。これは……「階段はどうなるんだ?」
「側面にある突起をつかんでいて欲しいであります! 行くであります!」
「わかった……うぉぉ、斜めになるのか! 便利だが若干気持ち悪い!」
「真ん中の俺が一番気持ち悪いんだぜ。まぁ中心にいないと全体が見渡せないからここがいいんだけどな」
「兵士がいるでありますよ! 突撃するであります!」

 前方に二人の兵士がいるが、おかまいなしに突撃するエー。

「うわわ、ぐ、軍曹? いやあれは違っ……!」

 兵士が正面から飛びのき、離れたところで睡眠弾を撃ち込むビー。
 いい連携だ。そしてタイミングも完璧。さらに前方離れたところに三人いたのを難なく狙撃してみせる。

「一発も外さないな」
「願掛けしてるんだよ。外したら、俺の思いも外れるってな」
「それなら、外させるわけにはいかない……な! 

 前進して横の扉が開いたので、シーが目くらましようの煙幕弾を放り投げる。
 すかさずそこへ的確に睡眠弾を撃ち込むビー。

「その射撃性能。神がかってる」
「信じるのは己の力量だぜ。シー」
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