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第四部 主と共鳴せし道 第一章 闇のオーブを求め
第五百話 出発前
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ここはルーンの町。メルザが封印されてから二か月が経過していた。
その間に地底妖魔の国は大変な事態となる。
妖魔国は五つの大きな地域に分類される。
北西、最も過酷な地域であり、フェルドナーガの収める地。
北東、人ならざる者たちが最も多く住まう地域、タルタロス収める奈落の地。
南西、ベルータスが納めていた、作物があまり育たない赤き土の地。
南東、豊かな自然もあるが、死霊やモンスターが沸き上がる、フェルドナージュが納める地。
そして中央、アトアクルークと呼ばれる、ベオルブイーターが滑空する地域一帯。
この地はかつて、絶対神ネウスーフォがタルタロスと共に構築したとされている。
その地に……突如として謎の塔や謎の者たちが現れた。
そして……ルーンの町から妖魔の国への道が絶たれてしまう。
ルーンの町に滞在していたサラ、アネスタと、スピアに指導をしていたフェドラート、自室で
研究に没頭していたアルカーン、新しいベルローゼ用の衣服を夢中で作っていたフォニー以外の
妖魔はほぼ、フェルス皇国側へ出払ったまま戻らず、みな不安にかられていた。
ルインも相当心配したが、どうにもすることはできなかった。
妖魔側の問題はこちら側で解決すると、フェドラートに散々説得され、ルインは
旅立ちの準備を急いだ。
「これから旅立つにあたり、向かうメンバーを選定しようと思う。全員連れていきたいが、そうも
いかないだろう? ジェネストは間に合わなかったが、あいつのことだ。後から意地でもくるだろう」
『絶対行くわ!』
「いや、お前たちが一番不安なんだが……」
「何言ってるの? お腹の子供を置いていく気?」
「それ、どんな男でも言われると背中がぞわぞわする台詞だろ……」
「また他の女ひっかけてくるんでしょ! そうはさせないわよ。私のお尻が一番魅力的でしょ!」
「身ごもってるなんて思えないくらい体は平気っしょ。これもブネの力ね。久しぶりに暴れたいっしょ」
「そもそもレミは偵察しないといけないしー? アイドル活動もしないとだしー?」
「パーミュ、パミュ!」
「ふふ、君は相変わらず大人気だね。今回は私も行こうかな。ラートの代わりにね」
「怪我をしたら治療も必要でしょう? 私も連れてってください!」
「先生が行くなら助手は必要だから、仕方なくだからな!」
誰一人残るとは言わないメンバー。やれやれだ。あれ……ライラロさんとブネがいない。
「封印していける人数に限りがある。今回の旅では絶対トウマやター君の力を
借りる事になる。封印装備も変装を考えると、腰装備以外おいていかなきゃ
いけないんだ」
「それなら私とサラとベルディアとレミ、パモちゃんで五人でしょう?」
「いや、それがな……」
「ふふっ。実は私も封印されたんだ。アネさんなら……と快く了承してくれたよ」
『はぁ?』
「いやいや、だってお前らをうまくまとめてくれるのはアネさんが適任だから」
「まぁいいわ。姉さんは特別だし。姉さんを含めても六人よね」
「それにトウマ、ター君、グリドラ、ホー君をいれるともう一杯なんだよ。ルーニー用の頭装備は
調整中だし。アルカーンさんは鍵をかけて出てこないし」
「数はちょうどいいじゃない?」
「いや、空き枠は残しておきたくて。シフティス大陸のモンスターも封印したいし、何かあった時用にさ……」
「それならニーメ君に頼んでみてはどうかな。彼なら封印装備、もう作れるんじゃない?」
「えっへへー。実はお兄ちゃん用にいいものをもう作ってあるんだ。はいこれ!」
「これは……首飾りか? 中身は……封印箇所が二つ!?」
「アルカーン先生に言われた通り作ったら出来たんだよ。ずっと修行してたけど難しくて。
こんなの作っちゃうって妖魔の人たち本当すごいよね!」
「それをまねて作れるニーメが凄いと思うのだが……いやはや恐ろしい才能だ」
「これで全員つれていけそうね!」
「先生やスピアも本当に行くのか? 道中大変だと思うぞ?」
「ジェネストさんを待ちたい気持ちもあります。それでも私はあなたにお礼を返したい。
あなたは無茶をしすぎる。もし命でも落としたら、私はメルフィールが蘇っても、もう笑えないでしょう」
「そーだぞ。先生を悲しませるなよ! だからついていくんだからな!」
「ふふっ。まったく俺の仲間たちはみな、仲間思いだな。わかったよ。
セーレ! 運べるか? 俺はハクレイ、ブネ、ライラロさんと行く」
「ヒヒン! 定員多くなければ運べるよ! 先生とスピアだけだよね? ヒヒン!」
「ああ、いざとなればスピアは飛べるから……目立ちすぎるからセーレの方が助かるけど。さて……」
「ルイン、少し話がある。少々、いやかなりよくない話だ」
「うわぁ!? ブネ、いつも言ってるだろ。背後から話しかけるなって!」
相変わらず突然現れて背後から話しかけてくるブネ。
一体どうしたんだ?
その間に地底妖魔の国は大変な事態となる。
妖魔国は五つの大きな地域に分類される。
北西、最も過酷な地域であり、フェルドナーガの収める地。
北東、人ならざる者たちが最も多く住まう地域、タルタロス収める奈落の地。
南西、ベルータスが納めていた、作物があまり育たない赤き土の地。
南東、豊かな自然もあるが、死霊やモンスターが沸き上がる、フェルドナージュが納める地。
そして中央、アトアクルークと呼ばれる、ベオルブイーターが滑空する地域一帯。
この地はかつて、絶対神ネウスーフォがタルタロスと共に構築したとされている。
その地に……突如として謎の塔や謎の者たちが現れた。
そして……ルーンの町から妖魔の国への道が絶たれてしまう。
ルーンの町に滞在していたサラ、アネスタと、スピアに指導をしていたフェドラート、自室で
研究に没頭していたアルカーン、新しいベルローゼ用の衣服を夢中で作っていたフォニー以外の
妖魔はほぼ、フェルス皇国側へ出払ったまま戻らず、みな不安にかられていた。
ルインも相当心配したが、どうにもすることはできなかった。
妖魔側の問題はこちら側で解決すると、フェドラートに散々説得され、ルインは
旅立ちの準備を急いだ。
「これから旅立つにあたり、向かうメンバーを選定しようと思う。全員連れていきたいが、そうも
いかないだろう? ジェネストは間に合わなかったが、あいつのことだ。後から意地でもくるだろう」
『絶対行くわ!』
「いや、お前たちが一番不安なんだが……」
「何言ってるの? お腹の子供を置いていく気?」
「それ、どんな男でも言われると背中がぞわぞわする台詞だろ……」
「また他の女ひっかけてくるんでしょ! そうはさせないわよ。私のお尻が一番魅力的でしょ!」
「身ごもってるなんて思えないくらい体は平気っしょ。これもブネの力ね。久しぶりに暴れたいっしょ」
「そもそもレミは偵察しないといけないしー? アイドル活動もしないとだしー?」
「パーミュ、パミュ!」
「ふふ、君は相変わらず大人気だね。今回は私も行こうかな。ラートの代わりにね」
「怪我をしたら治療も必要でしょう? 私も連れてってください!」
「先生が行くなら助手は必要だから、仕方なくだからな!」
誰一人残るとは言わないメンバー。やれやれだ。あれ……ライラロさんとブネがいない。
「封印していける人数に限りがある。今回の旅では絶対トウマやター君の力を
借りる事になる。封印装備も変装を考えると、腰装備以外おいていかなきゃ
いけないんだ」
「それなら私とサラとベルディアとレミ、パモちゃんで五人でしょう?」
「いや、それがな……」
「ふふっ。実は私も封印されたんだ。アネさんなら……と快く了承してくれたよ」
『はぁ?』
「いやいや、だってお前らをうまくまとめてくれるのはアネさんが適任だから」
「まぁいいわ。姉さんは特別だし。姉さんを含めても六人よね」
「それにトウマ、ター君、グリドラ、ホー君をいれるともう一杯なんだよ。ルーニー用の頭装備は
調整中だし。アルカーンさんは鍵をかけて出てこないし」
「数はちょうどいいじゃない?」
「いや、空き枠は残しておきたくて。シフティス大陸のモンスターも封印したいし、何かあった時用にさ……」
「それならニーメ君に頼んでみてはどうかな。彼なら封印装備、もう作れるんじゃない?」
「えっへへー。実はお兄ちゃん用にいいものをもう作ってあるんだ。はいこれ!」
「これは……首飾りか? 中身は……封印箇所が二つ!?」
「アルカーン先生に言われた通り作ったら出来たんだよ。ずっと修行してたけど難しくて。
こんなの作っちゃうって妖魔の人たち本当すごいよね!」
「それをまねて作れるニーメが凄いと思うのだが……いやはや恐ろしい才能だ」
「これで全員つれていけそうね!」
「先生やスピアも本当に行くのか? 道中大変だと思うぞ?」
「ジェネストさんを待ちたい気持ちもあります。それでも私はあなたにお礼を返したい。
あなたは無茶をしすぎる。もし命でも落としたら、私はメルフィールが蘇っても、もう笑えないでしょう」
「そーだぞ。先生を悲しませるなよ! だからついていくんだからな!」
「ふふっ。まったく俺の仲間たちはみな、仲間思いだな。わかったよ。
セーレ! 運べるか? 俺はハクレイ、ブネ、ライラロさんと行く」
「ヒヒン! 定員多くなければ運べるよ! 先生とスピアだけだよね? ヒヒン!」
「ああ、いざとなればスピアは飛べるから……目立ちすぎるからセーレの方が助かるけど。さて……」
「ルイン、少し話がある。少々、いやかなりよくない話だ」
「うわぁ!? ブネ、いつも言ってるだろ。背後から話しかけるなって!」
相変わらず突然現れて背後から話しかけてくるブネ。
一体どうしたんだ?
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