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第四部 主と共鳴せし道 第一章 闇のオーブを求め

第四百九十七話 トループ対ノーブルトループ 中半戦その弐

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 重圧を展開したコーネリウスは左右合計八つの玉を所持し、上空へと上がっていった。
 フィルミナもエルゲンも冷や汗が噴き出している。

「す、すまない。こんなつもりじゃ……」
「あたいが悪いんじゃないの! エルゲンがうまく動いてくれていないだけなの! だから
怒らないで、お願い……ひっ」
「フィルミナ。エルゲン。共に後で罰則は覚悟してもらおう。
シーと言ったな。大したものだよ。ただのトループにまさか傷一つ負わせられない
情けない展開になるなんてね」
「……俺としては穏便に終わらせたいだけなんですけどね」
「フィルミナ、エルゲン。君ら二人でエー、ビーと戦え。
私とシーは手を出さない。この条件で戦闘をしてもらえないか? 勿論褒美は増やそう」
「俺に言われてもな……エー、ビー、どうだ?」
「自分は構わないであります!」
「トループの鉄則から外れるつもりはない」
「いい答えだ。それでこそトループ。フィルミナ! エルゲン! わかってるだろうな。
これ以上私に恥をかかせるな!」
「あいつ抜きなら楽勝だぜ! やるぞフィルミナ!」
「わ、わかってるわぁ! やればいいんでしょ、やれば!」
「フィルミナ、地上へ降りろ。力を解除する」

 フィルミナは重力の影響を解除され、地上へと着地する。
 それと同時に術の展開を始めていた。
 コーネリウスの顔が少し歪むが、仕方ないと見ぬふりをした。

「後は自分たちに」
「任せてもらおうか! やるぞエー!」

 シーとコーネリウスは両者目を合わせたままフィールド中央から少し離れた
場所へ移動する。

 一早く詠唱を開始していたフィルミナは、左手で魔術を行使するだけでなく、右手でも
別の魔術を併用行使していた。

「……雄大なる魔の世界より這い出て力となれ。我を防ぐ盾となり、我に従え。
アリージャンスバリアント! ……雄大なる魔の世界より這い出て力となれ。
彼の者を覆う風となれ。エンベロープガスト」

 自らの正面に三枚の盾を展開しつつ、反対の手でエルゲンを包むように風の
魔術を展開する。かなり器用な魔術師だ。

「槍術、大旋風車輪」
「何っ!?」

 エーが突進してくるエルゲンに、所持している槍を高速に動く風車のように回して
より強い突風を発生させる。覆っていた風術の影響が逆回りし、前進するのが
困難になる。
 仕方なくエルゲンは右周りに奥へ進もうとした。

「……馬鹿が。何も見えてない」

 エルゲンの左足にはビーの射撃が貫通して撃ち抜かれていた。
 動く相手に射撃を行うのは困難を極める上、距離があればあるほど当たらない。
 だが予測できる範囲に絞り、的確な狙撃が出来る者なら、状況によっては
たやすく撃ち抜く事が可能。

「いい風圧だ。やるなエー」
「見事な撃ち抜きであります!」

「ぐあああ、てめえ、よくもやりや……」
「キャアーーー!」

 さらに奥にいたフィルミナもビーの放った跳弾により盾事撃ち抜かれる。
 エルゲンを撃ち抜いた玉に隠れるよう、四発発射していた。
 盾を全て砕かれたフィルミナの喉元には、既に一直線に駆け抜けていた
エーの槍が喉元に突き付けられる。

「兵士たるもの、仲間が撃ち抜かれようとも、よそ見は禁物! であります!」
「相性悪いな、お前ら。補助が補助になってない。魔術をかけるのがあべこべだ。
逆ならもう少し戦えただろうな」

「……エルゲン、フィルミナの敗退だ。
お前らは下がれ。後は私とシーでやらせてくれ」
「嫌なんだけど」
「……これは私からの貸しだ」
「はぁ……貸しはいいから負けても恨んだり公表しないでくれよ」
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