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第四章 メルザの里帰り
第四百七十六話 メルフィールを戻すには
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寝ているレミをルーンの安息所に置いてきた後、マァヤの店にシュイオン先生と二人で向かった。
既に立派な看板が供えられていた。さすがは可愛がっているニーメの力作。力の入れ方が違う。
看板はマァヤの顔がうまく再現され、動くマァヤが何かを混ぜている姿がありありと映し出されている。
ニーメ、暫く見ない間に腕をあげたな……。
「立派な建物ですよね。ここへきて驚きましたよ」
「先生にも立派な診療所を提供できるよう、ムーラさんに頼んでおくつもりだよ。
スピアと先生双方の絵が入ったような看板がいいのかな」
「いえ、私より……そう、出来ればこのような絵だと嬉しいのですが。ははは、お恥ずかしい」
そう言うと先生は一枚の絵を俺に見せた。
メルフィールさんだろうか。美しい女性と先生が、笑いながら正面を向いている絵が、描かれていた。
デッサンするものの器量がかなり高い。いい絵を描くものが、この世界にもいたんだな。
「この絵を渡しておけばそのように手配してくれると思うけど、借りてもいいか?」
「ええ。私は何度も見ましたから。無ければ無いで、平気ですよ」
「いや、せっかくの絵だからさ。ロケットにでもして返すさ。さぁ行こう」
建物の中に入ると、薬品類というより、薬草類の匂いで溢れかえる。
マァヤはせっせと何か作っているようだったが、直ぐこちらへ気づいて話しかけてくる。
「おやルイン。帰って来たのは知っておったが、顔を出せずすまないねぇ」
「いいんだ。以前、年寄りに無理させるんじゃないよって言われてから、ちゃんと反省しているよ」
「そんなこと覚えてたのかい。記憶力がいいねぇ……ところで要件は聞いてるし、メルフィールさんの
状態も見させてもらったよ。今となってはとても珍しい病だから、直せなくても無理はないんじゃ」
「一体どんな病なんだ? 医学の知識があっても、人の体にそのような事態が発生するような現象、前世では聞いたこともない。石灰化とかならわかるんだが」
「ルインさん、気になっていたのですが、どうやって医学の知識を? あなたはどう見ても戦士のように
見えるのですが……」
「それを話せば長くなる。そっちは何れ……な。あの変化はどう見ても器質化などとは違う。
生命活動を維持しているのだって不思議な状態だ」
「ルインよ。魔族についての勉強が足りていないようじゃな。人の場合であればとっくに死んでいるが、あの娘に影響を及ぼしているものは魔核じゃ」
「確かブネにも以前核がどうのと言われたな……第二の心臓のようなものか?」
「そうじゃな。魔核は各器官に密接に結びついておる。この魔核の種類によって……例えば身体機能を
強化したり、風術等を特化したりできるわけじゃ」
「それを聞く限りではいい状態になる事ばかりに思えるが、メルフィールさんに影響してる魔核ってのは?」
「……鉱物吸収魔核じゃ」
「鉱物吸収魔核? つまり鉱物を取り込んで半身が石化したと?」
「単純な鉱石を取り込んだ魔核なら対処の方法は色々あるんじゃ。それだけであるならシュイオン、あんたの力でもどうにかなったろう」
「……はい。ただの石化であるならば、解除は可能でした」
「つまりただの鉱石じゃないと?」
「メルフィールさんの体は半分が鉄のようで、目が赤くなっておるのは見たか?」
「ああ、確認した」
「メルザの目と似た色だと思わなかったか?」
「っ! 確かに、色はそっくりだ。しかしそれがなんだって言うんだ?」
「あれは幻魔鉱石。この地上では取れぬような鉱石じゃ。そしてその状態へ戻すのに必要なのは幻魔鉱石
そのものじゃ」
「そうか、それで……つまり幻魔の住まう場所に行ければ、手に入ると?」
「わからん。じゃが、手に入らなければ、この娘……メルフィールさんは永久にこのままじゃ」
「なら、ジェネストにお願いしよう。きっと力になってくれるはずだ」
「私からお願いさせてください! お願いします!」
「わかった。ジェネストは人間嫌いがまだ強いが、先生なら心を許してくれるかもしれない。聞いてみてくれ」
「どうやら話を聞いて見なければわからぬようじゃな。じゃがお主の仲間であればきっと力になるじゃろう。
わしはここでほかの材料を用意して待っておる」
「ああ。マァヤ、いつもありがとう。感謝しているよ」
こうしてマァヤに挨拶をし、次なる目的地であるニーメとブネ、ハクレイの場所へと向かう。
ブネは相変わらず温泉にいるらしい。少し気が引けるが……今後の事も話さねばならない。
既に立派な看板が供えられていた。さすがは可愛がっているニーメの力作。力の入れ方が違う。
看板はマァヤの顔がうまく再現され、動くマァヤが何かを混ぜている姿がありありと映し出されている。
ニーメ、暫く見ない間に腕をあげたな……。
「立派な建物ですよね。ここへきて驚きましたよ」
「先生にも立派な診療所を提供できるよう、ムーラさんに頼んでおくつもりだよ。
スピアと先生双方の絵が入ったような看板がいいのかな」
「いえ、私より……そう、出来ればこのような絵だと嬉しいのですが。ははは、お恥ずかしい」
そう言うと先生は一枚の絵を俺に見せた。
メルフィールさんだろうか。美しい女性と先生が、笑いながら正面を向いている絵が、描かれていた。
デッサンするものの器量がかなり高い。いい絵を描くものが、この世界にもいたんだな。
「この絵を渡しておけばそのように手配してくれると思うけど、借りてもいいか?」
「ええ。私は何度も見ましたから。無ければ無いで、平気ですよ」
「いや、せっかくの絵だからさ。ロケットにでもして返すさ。さぁ行こう」
建物の中に入ると、薬品類というより、薬草類の匂いで溢れかえる。
マァヤはせっせと何か作っているようだったが、直ぐこちらへ気づいて話しかけてくる。
「おやルイン。帰って来たのは知っておったが、顔を出せずすまないねぇ」
「いいんだ。以前、年寄りに無理させるんじゃないよって言われてから、ちゃんと反省しているよ」
「そんなこと覚えてたのかい。記憶力がいいねぇ……ところで要件は聞いてるし、メルフィールさんの
状態も見させてもらったよ。今となってはとても珍しい病だから、直せなくても無理はないんじゃ」
「一体どんな病なんだ? 医学の知識があっても、人の体にそのような事態が発生するような現象、前世では聞いたこともない。石灰化とかならわかるんだが」
「ルインさん、気になっていたのですが、どうやって医学の知識を? あなたはどう見ても戦士のように
見えるのですが……」
「それを話せば長くなる。そっちは何れ……な。あの変化はどう見ても器質化などとは違う。
生命活動を維持しているのだって不思議な状態だ」
「ルインよ。魔族についての勉強が足りていないようじゃな。人の場合であればとっくに死んでいるが、あの娘に影響を及ぼしているものは魔核じゃ」
「確かブネにも以前核がどうのと言われたな……第二の心臓のようなものか?」
「そうじゃな。魔核は各器官に密接に結びついておる。この魔核の種類によって……例えば身体機能を
強化したり、風術等を特化したりできるわけじゃ」
「それを聞く限りではいい状態になる事ばかりに思えるが、メルフィールさんに影響してる魔核ってのは?」
「……鉱物吸収魔核じゃ」
「鉱物吸収魔核? つまり鉱物を取り込んで半身が石化したと?」
「単純な鉱石を取り込んだ魔核なら対処の方法は色々あるんじゃ。それだけであるならシュイオン、あんたの力でもどうにかなったろう」
「……はい。ただの石化であるならば、解除は可能でした」
「つまりただの鉱石じゃないと?」
「メルフィールさんの体は半分が鉄のようで、目が赤くなっておるのは見たか?」
「ああ、確認した」
「メルザの目と似た色だと思わなかったか?」
「っ! 確かに、色はそっくりだ。しかしそれがなんだって言うんだ?」
「あれは幻魔鉱石。この地上では取れぬような鉱石じゃ。そしてその状態へ戻すのに必要なのは幻魔鉱石
そのものじゃ」
「そうか、それで……つまり幻魔の住まう場所に行ければ、手に入ると?」
「わからん。じゃが、手に入らなければ、この娘……メルフィールさんは永久にこのままじゃ」
「なら、ジェネストにお願いしよう。きっと力になってくれるはずだ」
「私からお願いさせてください! お願いします!」
「わかった。ジェネストは人間嫌いがまだ強いが、先生なら心を許してくれるかもしれない。聞いてみてくれ」
「どうやら話を聞いて見なければわからぬようじゃな。じゃがお主の仲間であればきっと力になるじゃろう。
わしはここでほかの材料を用意して待っておる」
「ああ。マァヤ、いつもありがとう。感謝しているよ」
こうしてマァヤに挨拶をし、次なる目的地であるニーメとブネ、ハクレイの場所へと向かう。
ブネは相変わらず温泉にいるらしい。少し気が引けるが……今後の事も話さねばならない。
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