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第四章 メルザの里帰り
第四百二十一話 謎の傭兵団【ハルクマーセナリーズ】
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「にしても魔物の数が多いな。ジェネスト、平気か?」
「誰にいってるつもりですか? 私は人形ですよ。疲れなどしません」
「スタミナ無尽蔵は違う意味でメルザ級の化け物だな……」
「化け物ですか。そうですね……そうかもしれません」
「ああ悪い意味で言ったんじゃない。強いという意味で言ったんだ」
「別に落ち込んでいるわけではありません。むしろこの体だからこそ
ディーン様に信頼して頂いて、ティソーナを守っていたのですから」
俺が出会った中でも三本の指に入る強敵だったジェネスト。
未だに上手くコミュニケーションが取れている気がしないが……こいつに本当の意味で
報いてやるには、絶対にブレディーが必要だな。
「ストップだジェネスト! 前方の気配がおかしい。それにコウテイとアデリーが
そろそろ限界だ」
「わかりました。一度休憩できる場所を探しましょう」
「コウテイ、アデリー。お疲れ様。かなり深いところまで来れたよ」
「ウェーイ!」
「ウェィ!」
二匹とも手を振りながら帰るのではなく、やはりクリムゾンのようなポーズをとって
返っていく。あれにすっかりはまってしまったようだ。手を振るの、可愛かったんだけどな。
「ルイン。休めるところなら造るかべ。ちょっと待ってて欲しいかべ」
「ええ? 造るってどうやって?」
「ここの壁を動かすかべ。よいしょっかべ」
片方の悪魔のような腕を、土の壁に突き刺すウォーラス。すると柔らかくなった
粘土のように壁が押し広げられていき、どんどん広がっていく。
凄いけど凄い語尾が変だ。どうやって軌道修正しよう。
……人が二十人程入れるゆとりあるスペースがあっという間に構築されてしまった。
さらに入口を狭くして見つけにくくする。
「できたかべ。レウスさんに頼んで隠せそうな草を取ってきてもらったかべ」
「ここなら襲われてもすぐに対処できそうですね」
「いや、襲われないようにできる。だが外から認識されてしまうから
どうするか迷っていたんだ。ウォーラス。もう少しここを広げられるか? ……そう、それくらいでいい。
メルザ、神の空間を」
「ああ。久しぶりだな、これ使うの」
神の空間を使用すると、小スペースの部屋が展開される。
当然レミもシュイオン先生も呆れ顔だ。無理もない。
「便利な道具ですね……これは急患にも使えそうだ……」
「こんなのずるいですよー! 一度でも味わったらもうルインさんたち以外と行動できないです!」
「そう言われてもな……確かに便利だが、使用に制限がないわけじゃない。
幻想級のアーティファクトから先は制限がない。特に……俺たちの仲間のアルカーンさんにかかれば……」
「何か、凄い方がまだいらっしゃるんですね……お会いしたいような、したくないような……」
「うーん。リルの兄ちゃんは変わってるからなー。俺様もちょっと苦手かも」
「時計さえ渡しておけば平気な人だから。ここで小休憩して……む、足音が聞こえる。
静かに」
ザッザッと複数の足音が聞こえる。魔物の足音じゃない。人が歩く音だ。
違いは明白。魔物は靴を履いていないが、人は基本靴を履いている。
しかも歩く音からしてそれなりの重量がある。
こちらに気付いていない事だけは確かだ。
「にしてもよぉハルク。何かすげー依頼少なかったよな。普段はもっとちょろい依頼も
あるってのに、全部受注されてたし」
「文句言うなレシェ。依頼が増えすぎてたんだ。減ってよかったじゃないか。
どっかの傭兵団が大量に受けたって話だ。少しは魔物の数も減って、活動しやすくなるだろ」
「でもおかしいのよね。どこの団が受けたか非公開になってたじゃない。あんなのおかしいわよ」
「お前もそう思うかノーコ。聞いた話じゃ死流七支のいる団が復活したって話だぜ」
「まじ? 超アツイ情報じゃない、それ。ライデンの懸賞金手に入れたら一生遊んで暮らせるわよ?」
「そいつらが本当に死流七支を抱えてるかってのも怪しい情報だろ。だいたいなんで自分らより
名前が知られていないやつの下につくんだ? そんな傭兵いるわけないだろ」
「確かにー。でも本当にいたら捕まえて、尋問すればいいんじゃない?」
「傭兵団同士のいざこざはご法度だろう。どんな能力者かもわからない。危険だ」
「だからー。私の術でね。それにさぁ。外に連れ出しちゃえばわからないわよ」
「一攫千金を得る可能性がある団か。確かにあの金額は魅力だが……」
「おいおい、お前まで何言ってんだレシェ。俺たちは泣く子も黙る【ハルクマーセナリーズ】だぜ。
そんな汚い真似できるわけないだろ」
「だがよぉ……実入りが悪いんだよ、実入りが……ちっ。あんなところにラプトーンがいやがる。少し離れるぞ!」
……それから暫くして、声が聞こえなくなった。
「……言ったか。随分とよろしくない話をしていたな」
「あいつら何だったんだ? 傭兵団なのか?」
「ハルクマーセナリーズです。この辺りで活動する小規模の傭兵団ですね。今のは団長と
副団長たちです。私も見た事は無いですけど、受付で団名などは覚えてますから!」
「俺たちを狙ってる……って認識でいいのかな」
「……殺りますか?」
「いや殺らないって! 物騒だから構えるな。しかしウォーラスのお陰で本当に
助かったよ。感謝する」
「少しでも役に立ててうれしいかべ。よかったかべ」
しばらく休んだ俺は、ゴマキチを造り付近を探らせた。一番見つかりにくいのがゴマキチだからだ。
ルーニーがいれば上空から気付かれずにあいつらの位置を特定できるんだが。
しばらくして戻って来たゴマキチの様子からみて、平気そうだったのでメルザたちを
ここに残し、単独で偵察に向かう事にした。
「誰にいってるつもりですか? 私は人形ですよ。疲れなどしません」
「スタミナ無尽蔵は違う意味でメルザ級の化け物だな……」
「化け物ですか。そうですね……そうかもしれません」
「ああ悪い意味で言ったんじゃない。強いという意味で言ったんだ」
「別に落ち込んでいるわけではありません。むしろこの体だからこそ
ディーン様に信頼して頂いて、ティソーナを守っていたのですから」
俺が出会った中でも三本の指に入る強敵だったジェネスト。
未だに上手くコミュニケーションが取れている気がしないが……こいつに本当の意味で
報いてやるには、絶対にブレディーが必要だな。
「ストップだジェネスト! 前方の気配がおかしい。それにコウテイとアデリーが
そろそろ限界だ」
「わかりました。一度休憩できる場所を探しましょう」
「コウテイ、アデリー。お疲れ様。かなり深いところまで来れたよ」
「ウェーイ!」
「ウェィ!」
二匹とも手を振りながら帰るのではなく、やはりクリムゾンのようなポーズをとって
返っていく。あれにすっかりはまってしまったようだ。手を振るの、可愛かったんだけどな。
「ルイン。休めるところなら造るかべ。ちょっと待ってて欲しいかべ」
「ええ? 造るってどうやって?」
「ここの壁を動かすかべ。よいしょっかべ」
片方の悪魔のような腕を、土の壁に突き刺すウォーラス。すると柔らかくなった
粘土のように壁が押し広げられていき、どんどん広がっていく。
凄いけど凄い語尾が変だ。どうやって軌道修正しよう。
……人が二十人程入れるゆとりあるスペースがあっという間に構築されてしまった。
さらに入口を狭くして見つけにくくする。
「できたかべ。レウスさんに頼んで隠せそうな草を取ってきてもらったかべ」
「ここなら襲われてもすぐに対処できそうですね」
「いや、襲われないようにできる。だが外から認識されてしまうから
どうするか迷っていたんだ。ウォーラス。もう少しここを広げられるか? ……そう、それくらいでいい。
メルザ、神の空間を」
「ああ。久しぶりだな、これ使うの」
神の空間を使用すると、小スペースの部屋が展開される。
当然レミもシュイオン先生も呆れ顔だ。無理もない。
「便利な道具ですね……これは急患にも使えそうだ……」
「こんなのずるいですよー! 一度でも味わったらもうルインさんたち以外と行動できないです!」
「そう言われてもな……確かに便利だが、使用に制限がないわけじゃない。
幻想級のアーティファクトから先は制限がない。特に……俺たちの仲間のアルカーンさんにかかれば……」
「何か、凄い方がまだいらっしゃるんですね……お会いしたいような、したくないような……」
「うーん。リルの兄ちゃんは変わってるからなー。俺様もちょっと苦手かも」
「時計さえ渡しておけば平気な人だから。ここで小休憩して……む、足音が聞こえる。
静かに」
ザッザッと複数の足音が聞こえる。魔物の足音じゃない。人が歩く音だ。
違いは明白。魔物は靴を履いていないが、人は基本靴を履いている。
しかも歩く音からしてそれなりの重量がある。
こちらに気付いていない事だけは確かだ。
「にしてもよぉハルク。何かすげー依頼少なかったよな。普段はもっとちょろい依頼も
あるってのに、全部受注されてたし」
「文句言うなレシェ。依頼が増えすぎてたんだ。減ってよかったじゃないか。
どっかの傭兵団が大量に受けたって話だ。少しは魔物の数も減って、活動しやすくなるだろ」
「でもおかしいのよね。どこの団が受けたか非公開になってたじゃない。あんなのおかしいわよ」
「お前もそう思うかノーコ。聞いた話じゃ死流七支のいる団が復活したって話だぜ」
「まじ? 超アツイ情報じゃない、それ。ライデンの懸賞金手に入れたら一生遊んで暮らせるわよ?」
「そいつらが本当に死流七支を抱えてるかってのも怪しい情報だろ。だいたいなんで自分らより
名前が知られていないやつの下につくんだ? そんな傭兵いるわけないだろ」
「確かにー。でも本当にいたら捕まえて、尋問すればいいんじゃない?」
「傭兵団同士のいざこざはご法度だろう。どんな能力者かもわからない。危険だ」
「だからー。私の術でね。それにさぁ。外に連れ出しちゃえばわからないわよ」
「一攫千金を得る可能性がある団か。確かにあの金額は魅力だが……」
「おいおい、お前まで何言ってんだレシェ。俺たちは泣く子も黙る【ハルクマーセナリーズ】だぜ。
そんな汚い真似できるわけないだろ」
「だがよぉ……実入りが悪いんだよ、実入りが……ちっ。あんなところにラプトーンがいやがる。少し離れるぞ!」
……それから暫くして、声が聞こえなくなった。
「……言ったか。随分とよろしくない話をしていたな」
「あいつら何だったんだ? 傭兵団なのか?」
「ハルクマーセナリーズです。この辺りで活動する小規模の傭兵団ですね。今のは団長と
副団長たちです。私も見た事は無いですけど、受付で団名などは覚えてますから!」
「俺たちを狙ってる……って認識でいいのかな」
「……殺りますか?」
「いや殺らないって! 物騒だから構えるな。しかしウォーラスのお陰で本当に
助かったよ。感謝する」
「少しでも役に立ててうれしいかべ。よかったかべ」
しばらく休んだ俺は、ゴマキチを造り付近を探らせた。一番見つかりにくいのがゴマキチだからだ。
ルーニーがいれば上空から気付かれずにあいつらの位置を特定できるんだが。
しばらくして戻って来たゴマキチの様子からみて、平気そうだったのでメルザたちを
ここに残し、単独で偵察に向かう事にした。
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