459 / 1,085
第四章 メルザの里帰り
第四百一話 壁から出てきた者
しおりを挟む
壁から出てきたそいつは……確かに忌み嫌われそうな恐ろしい外見だった。
右手は悪魔のソレ。左は翼のような形状。顔は白い仮面のようで鋭くとがり、目は二つ。
口からは牙も見える。これならキゾナ大陸では間違いなく喋っても狙われる。
言葉も片言だし。
「キメラ種か?」
「チガウ。オレハカベノミマゾク」
「壁の身魔族? 聞いたことが無いな。壁の中で生活しているのか?」
「ソウダ。コワガラナイニンゲン、ハジメテダ」
「俺は人間じゃない。妖魔だ。それで、俺を助けるって?」
「オマエノナカマ。アノママダトシヌ。ドン、ドグギアーテノドク」
「なんだって? 空気中に散布される毒かなにかか? メルザは多少の防毒アクセサリーが
あるが、もうボロボロだったな……そうすると俺もか?」
「オマエ、キットタイセイガアル。ナカマ、コタイサデ、ハツドウスル」
「そうか。メルザは一番体が弱い。だから発症しなかったのか。そうするとエレギーも」
「フダンはハキダシテイナイ。オキテルトキ、シゲキスルオトデハツドウスル」
「どうすればいい? 解毒薬は?」
「オレガツクレル。デモ、オレマチニイケナイ。コロサレル」
「ストックはないのか? ここで作れるか?」
「アルケド、オレガメノマエデチョウゴウシナイトダメニナル」
「参ったな。ここまで連れてくる時間、あるか……?」
「イソゲバマニアワナイカ? アノセイブツ、オマエノナカマダロウ」
「……なぁ。お前名前はあるか」
「ナマエ? ナマエッテナンダ?」
「お前そのものを表す言葉だよ」
「オレハカベノミマゾク」
「それは種族名だろう? お前自身を表す言葉は無いのかって聞いてるんだ」
「ソンナモノハナイ。ナカマガイタコロハミナ、イシソツウデキタ」
「……お前、一人なのか」
「ミンナ、ココカラデタ。ホトンド、コロサレタ」
「お前は外に出たくないのか」
「ドン、ドグギアーテ、シンダ。オレモソトヘデタイ。デモオレ、コワイ。イチバンオクビョウ」
「臆病ってのは悪い事じゃない。それだけ慎重ってことだ。お前さえよければ俺に取り込まれる気はないか」
「オマエノイチブニナル? ヨウマハソノヨウナチカラガアルトキイタコトガアル。シトヒキカエニ」
「死なないよ。俺が死ねばお前も死ぬが、それ以外は自由だ」
「ソウカ。オマエハナカマヲコロシタドン、ドグギアーテヲタオシテクレタ。コノママイキテイテモ
イズレコロサレテイタ。オマエトイケバオレハミツカラナイノカ?」
「ああ。隠れていられる。ただし、まだお前を信用しきったわけじゃない。俺はお前を消す事も出来る。
だがもし仲間を救ってくれたなら、お前に最大の敬意を払おう」
「……ワカッタ」
「名前がないと呼びづらいからな。名前、つけていいか?」
「アア。タノム」
「そうだな……ウォール……ラス。ウォーラスってのはどうだ? 壁とその下地になるラス。
響きもいいし」
「ウォーラス。ソレガオレ? ウォーラス。イイナ」
「それじゃ封印するぞ。中は快適らしいが、壁の身魔族にとって快適かはわからない。持ち込める物も
あるようだから、そのうち好きにやってくれ」
「? ヨクワカラナイガソウスル……」
俺はウォーラスを封印した。久しぶりだな。こうやって封印するのは。
壁の中だけで生きる魔族か……この世界にはそんなやつらもいるんだな。
……今は一刻も早く合流しないと。
「よし。いくぜウォーラス! 封印中でよく見てな! 神魔解放!」
「……オオ。ソトノセカイ。ソトノセカイニ!」
右手は悪魔のソレ。左は翼のような形状。顔は白い仮面のようで鋭くとがり、目は二つ。
口からは牙も見える。これならキゾナ大陸では間違いなく喋っても狙われる。
言葉も片言だし。
「キメラ種か?」
「チガウ。オレハカベノミマゾク」
「壁の身魔族? 聞いたことが無いな。壁の中で生活しているのか?」
「ソウダ。コワガラナイニンゲン、ハジメテダ」
「俺は人間じゃない。妖魔だ。それで、俺を助けるって?」
「オマエノナカマ。アノママダトシヌ。ドン、ドグギアーテノドク」
「なんだって? 空気中に散布される毒かなにかか? メルザは多少の防毒アクセサリーが
あるが、もうボロボロだったな……そうすると俺もか?」
「オマエ、キットタイセイガアル。ナカマ、コタイサデ、ハツドウスル」
「そうか。メルザは一番体が弱い。だから発症しなかったのか。そうするとエレギーも」
「フダンはハキダシテイナイ。オキテルトキ、シゲキスルオトデハツドウスル」
「どうすればいい? 解毒薬は?」
「オレガツクレル。デモ、オレマチニイケナイ。コロサレル」
「ストックはないのか? ここで作れるか?」
「アルケド、オレガメノマエデチョウゴウシナイトダメニナル」
「参ったな。ここまで連れてくる時間、あるか……?」
「イソゲバマニアワナイカ? アノセイブツ、オマエノナカマダロウ」
「……なぁ。お前名前はあるか」
「ナマエ? ナマエッテナンダ?」
「お前そのものを表す言葉だよ」
「オレハカベノミマゾク」
「それは種族名だろう? お前自身を表す言葉は無いのかって聞いてるんだ」
「ソンナモノハナイ。ナカマガイタコロハミナ、イシソツウデキタ」
「……お前、一人なのか」
「ミンナ、ココカラデタ。ホトンド、コロサレタ」
「お前は外に出たくないのか」
「ドン、ドグギアーテ、シンダ。オレモソトヘデタイ。デモオレ、コワイ。イチバンオクビョウ」
「臆病ってのは悪い事じゃない。それだけ慎重ってことだ。お前さえよければ俺に取り込まれる気はないか」
「オマエノイチブニナル? ヨウマハソノヨウナチカラガアルトキイタコトガアル。シトヒキカエニ」
「死なないよ。俺が死ねばお前も死ぬが、それ以外は自由だ」
「ソウカ。オマエハナカマヲコロシタドン、ドグギアーテヲタオシテクレタ。コノママイキテイテモ
イズレコロサレテイタ。オマエトイケバオレハミツカラナイノカ?」
「ああ。隠れていられる。ただし、まだお前を信用しきったわけじゃない。俺はお前を消す事も出来る。
だがもし仲間を救ってくれたなら、お前に最大の敬意を払おう」
「……ワカッタ」
「名前がないと呼びづらいからな。名前、つけていいか?」
「アア。タノム」
「そうだな……ウォール……ラス。ウォーラスってのはどうだ? 壁とその下地になるラス。
響きもいいし」
「ウォーラス。ソレガオレ? ウォーラス。イイナ」
「それじゃ封印するぞ。中は快適らしいが、壁の身魔族にとって快適かはわからない。持ち込める物も
あるようだから、そのうち好きにやってくれ」
「? ヨクワカラナイガソウスル……」
俺はウォーラスを封印した。久しぶりだな。こうやって封印するのは。
壁の中だけで生きる魔族か……この世界にはそんなやつらもいるんだな。
……今は一刻も早く合流しないと。
「よし。いくぜウォーラス! 封印中でよく見てな! 神魔解放!」
「……オオ。ソトノセカイ。ソトノセカイニ!」
0
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。
異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる