上 下
456 / 1,085
第四章 メルザの里帰り

第三百九十八話 発熱

しおりを挟む
 グルグルと回転したせいでだいぶ気持ち悪かったが、ようやく落ち着いてきた。
 エレギー。なんて恐ろしい技を……しかも兄弟合体ってなんだ。
 あれをジーキとソウゴは受け入れてやっているのか。なんて仲のいい兄弟なんだろう。

 できれば俺は御免こうむりたい。

「だいじょぶか? 二人とも」
「ああ、どうにか……これなら新魔解放して一気に行った方がましだったか。
なぁエレギー。これから後どれくらいで着くんだ?」
「まだまだかかるぞ弟よ! ここは海底を抜ける洞窟だ。ドラディニア大陸、三つの入り口へと
道が分かれるのだが、わての向かう予定である町に、本当に向かってよいのか?」
「構わないよ。そこからはセーレで移動できればどうにでもなる。ドラディニア大陸ってドラゴンが
沢山飛んでるよな? だからあいつが飛んでもそうは目立たないだろ」
「あの飛んでいた馬の事か!? あれは目立つぞ! だが問題なかろう。わても欲しいくらいだ!」
「それはそうと、目的地の名前は?」
「ふうむ、弟はどうやらドラディニア大陸に詳しくないようだ。これから目指す町を含めて教えてやろう!」

 エレギーの話によると、洞窟を抜けた方面によってまるで違う場所に出るらしい。
 これから向かうのは中央出口。バルバロッサの町があるらしい。
 街中の建物が全て赤で統一されてるとか。社会性の強い国なのだろう。
 東にはアレドリア湖というのがあり、その付近に出るらしい。
 西に出ると大きな穴が開いており、鉱石などが取れる地域のようだ。
 
「そのバルバロッサって国は、俺らのような者でも入れるのか?」
「入国税を払えば当然入れるぞ! 弟よ、金は持っているな?」
「うぐっ……あまり多くはないが、金貨数枚ならある」
「十分たりるであろう。あの国の物価は比較的高めだが質はいい物が多く売っている。
着いたら色々と案内してやろう!」
「そいつは楽しみだな。あれ……メルザ。どうした?」
「はぁ……はぁ。何でもねぇ、だいじょぶだ……よ」

 明らかに様子がおかしい。まさか……おでこに手をあてると酷い熱だ。

「ばか野郎、なんで黙ってた。妖雪造形術 コウテイ!」
「ウェーイ!」
「メルザを頼む。バルバロッサまでどのくらいだ?」
「ここからでは引き返しても進んでも同じくらい時間がかかるかもしれん。ましてや引き返せば
モンスター共に襲われるだろう。ここは煤んdな方がいいぞ、弟よ!」
「ジェネスト! レウスさん! すまない、協力してくれ。レウスさんはエレギーを。
ジェネスト、メルザを……」
「それはあなたの役目でしょう。道は私が切り開きます。さぁ、行きますよ!」
「俺に任せろ。こいつももう友達だ。な?」
「なんと! 浮いたぞ。このわてが! これならもうしびれる事もあるまい!」
「メルザ、しっかりしろ。直ぐ休めるとこに連れてくからな!」
「はぁ……ごめんよ、ルイン……」

「エレギー、その状態で俺につかまれ! 神魔解放! 獣化……」
「いきます! 幻神魔解放」

 先頭を凄まじい速度で駆け抜けるジェネスト。後をコウテイが追いかけ、その背後を俺が守る形で
洞窟の奥へと進んでいく。メルザが倒れたため、明かりはない。
 しかしどちらも既に神魔解放状態。信じられないような速度でキンキドゥ洞窟を進んでいく。

「なんという奴らだ。わては驚いたぞ! 弟よ!」
「喋るなって。舌噛むぞ! しっかしエレギー、少し瘦せようぜ……浮かせてるのに重たそうだぞ
レウスさんが」
「ルインが引っ張ってなきゃとっくに落としてるぞ? な?」
「すまない弟よ! もう少し進んだら恐らく……大きな広間にでるはずだ! 気をつけろ、そこは……」
「ん? 何だって? よく聞こえないぞ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜

自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成! 理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」 これが翔の望んだ力だった。 スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!? ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

進化転生 転生したら召喚獣ウルフィでした ~召喚獣が召喚の力を執行する~

紫電のチュウニー
ファンタジー
【サブ連載、土曜日二本更新中】 シロと二人、パン屋を営みながらゆったりと過ごしていた白井 杏珠。 シロのふわふわを感じながら寝ていたら、謎の進化する白い生物 ウルフィに転生してしまう。 その世界でルビニーラという召喚術士に突如契約され、従魔となる。 彼は召喚獣なのに奇妙な召喚術を使える異能者だった。   ウルフィを手にした彼女の夢は、召喚士としての頂点である紫電の召喚士。 成長と冒険の旅が始まろうとしていた。 オリジナル世界観で描くローファンタジーなストーリー をお楽しみ頂ければ幸いです。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

処理中です...