423 / 1,085
第三章 舞踏会と武闘会
第三百六十九話 第三第四試合混合 バトルロイヤル リルの考え 衝突寸前の三戦士
しおりを挟む
「もう少しレヴィアタンの戦いを見れると思ったんだが、術者はまだ未覚醒のユニカ族だね。
でも楽しめたよ。後で彼女にも褒美をあげようかな」
そうつぶやくと、イネービュは再びパチリと指をはじき、舞台を戻していく。
試合を見ていたリルを見て、サラとカノンが困惑している。
「お兄ちゃん。戦いたくてうずうずしてるって顔だよ?」
「え? そう見えるかい? 僕は少し落ち着かなくてね。早くフェルドナージュ様の許へ
向かいたいけど、優勝すると神話級アーティファクトがもらえるんだろう? フェルドナージュ様
へ献上したら喜ばれるかなって」
「それで早めに試合を済ませたいのね……でも、本当はルインと戦いたいんじゃない?」
「リルさんはいつも、ルインさんを一番近くで見てきた男性だよね。
誰よりも長く」
「……そうだね。模倣で神格化みたいなのもやってはみたけど、うまくはできていない。
彼と戦い彼の話を聞いて、そして彼を感じれば僕も強くなる。
けれど彼は本当にいいやつだから、あの子を助けに動き出す。この後はきっと、別行動になる。
だから僕は……彼と戦わないといけないんだ」
「わかってるわ。妻としてお兄ちゃんの代わりにちゃんと務めてくるから!」
「あれ? サラはフェルドナージュ様のところへ行かないのかい?」
「だってルインについていかないと、あいつら絶対いやらしい事計画するわよ」
「サラ……」
「サラお義姉さま……」
「カノンちゃん、今なんて!? もう一回、もう一回お願い!」
「サラお義姉さま……?」
「はうっ! いい響きだわ……」
「君らあんまり年変わらないよね?」
「お兄ちゃんは黙ってなさい! じゃないとリルカーンって呼ぶわよ!」
「困った妹だなぁ……後で僕らも三対三対三をお願いしてみようか。時間が惜しい」
「そうね。あの神様楽しんでるから、許してくれるんじゃないの?」
「どうかな……僕はあの神を恐ろしく思うよ。次元が違いすぎる存在だ」
「二人とも、試合が動きそうよ。さっきまで協力していたけど三つ巴になってるわ」
三人が話終えると、ライラロを抱えたベルディス、ジェネスト、ルインが三角形をかたどる形で
お互いに向き合って何かを話している。
「ひとまずライラロさんを場外へ卸してあげましょう」
「うかつに動かせねえんだよ。あれを解いた後全身に激痛が走るらしい」
「困りましたね。かといって降りるわけにはいかないし」
「おい、セーレ! こっちきてライラロさん預かってくれ! なるべく優しくな」
「ヒヒン! 久しぶりの登場なのに扱いそれだけって酷いよね。酷いねー。もっと遊ばせてよ!
ヒヒン!」
「はいはい、地上に戻ったらいっぱい構ってやるから! 今はとにかくライラロさんを頼むよ」
「ヒヒン! しょうがないな。君のいう事だし聞いてあげるよ」
「おいおいルイン。なんだその言葉は。おめぇこいつと喋れるのか?」
「そうか、師匠にはよくわからないんですよね。多分俺が封印したジェネストならわかるだろ?」
「ええ。奇怪な喋り方をする珍獣ですね」
「ヒヒン! この人苦手! 嫌い!」
「光栄ですね」
どうにもトゲトゲしい奴が少しばかり増えてしまったようだ。まぁ仲は後で取り持つとして……これで
ようやく始められるな。
「それじゃ、始めようか。三人とも」
「ああ、やっとか。小僧……いや、ルインとやりあうのは久しぶりだな」
「私にもう負けはありません、覚悟しなさい。ディーン様は私のものです」
「おっかないねぇ。相手にとって不足無し。最初から全開でいくぞ! 剣戒、驚、懼。封剣!」
【真化】【神魔解放】【獣化】【レピュトの手甲】
「ならば私も」
【幻神魔解放】
「はぁ。よってたかって変身たぁよ。そんじゃ俺も久々に全開でいくかね」
「えっ?」
【野生化!】
でも楽しめたよ。後で彼女にも褒美をあげようかな」
そうつぶやくと、イネービュは再びパチリと指をはじき、舞台を戻していく。
試合を見ていたリルを見て、サラとカノンが困惑している。
「お兄ちゃん。戦いたくてうずうずしてるって顔だよ?」
「え? そう見えるかい? 僕は少し落ち着かなくてね。早くフェルドナージュ様の許へ
向かいたいけど、優勝すると神話級アーティファクトがもらえるんだろう? フェルドナージュ様
へ献上したら喜ばれるかなって」
「それで早めに試合を済ませたいのね……でも、本当はルインと戦いたいんじゃない?」
「リルさんはいつも、ルインさんを一番近くで見てきた男性だよね。
誰よりも長く」
「……そうだね。模倣で神格化みたいなのもやってはみたけど、うまくはできていない。
彼と戦い彼の話を聞いて、そして彼を感じれば僕も強くなる。
けれど彼は本当にいいやつだから、あの子を助けに動き出す。この後はきっと、別行動になる。
だから僕は……彼と戦わないといけないんだ」
「わかってるわ。妻としてお兄ちゃんの代わりにちゃんと務めてくるから!」
「あれ? サラはフェルドナージュ様のところへ行かないのかい?」
「だってルインについていかないと、あいつら絶対いやらしい事計画するわよ」
「サラ……」
「サラお義姉さま……」
「カノンちゃん、今なんて!? もう一回、もう一回お願い!」
「サラお義姉さま……?」
「はうっ! いい響きだわ……」
「君らあんまり年変わらないよね?」
「お兄ちゃんは黙ってなさい! じゃないとリルカーンって呼ぶわよ!」
「困った妹だなぁ……後で僕らも三対三対三をお願いしてみようか。時間が惜しい」
「そうね。あの神様楽しんでるから、許してくれるんじゃないの?」
「どうかな……僕はあの神を恐ろしく思うよ。次元が違いすぎる存在だ」
「二人とも、試合が動きそうよ。さっきまで協力していたけど三つ巴になってるわ」
三人が話終えると、ライラロを抱えたベルディス、ジェネスト、ルインが三角形をかたどる形で
お互いに向き合って何かを話している。
「ひとまずライラロさんを場外へ卸してあげましょう」
「うかつに動かせねえんだよ。あれを解いた後全身に激痛が走るらしい」
「困りましたね。かといって降りるわけにはいかないし」
「おい、セーレ! こっちきてライラロさん預かってくれ! なるべく優しくな」
「ヒヒン! 久しぶりの登場なのに扱いそれだけって酷いよね。酷いねー。もっと遊ばせてよ!
ヒヒン!」
「はいはい、地上に戻ったらいっぱい構ってやるから! 今はとにかくライラロさんを頼むよ」
「ヒヒン! しょうがないな。君のいう事だし聞いてあげるよ」
「おいおいルイン。なんだその言葉は。おめぇこいつと喋れるのか?」
「そうか、師匠にはよくわからないんですよね。多分俺が封印したジェネストならわかるだろ?」
「ええ。奇怪な喋り方をする珍獣ですね」
「ヒヒン! この人苦手! 嫌い!」
「光栄ですね」
どうにもトゲトゲしい奴が少しばかり増えてしまったようだ。まぁ仲は後で取り持つとして……これで
ようやく始められるな。
「それじゃ、始めようか。三人とも」
「ああ、やっとか。小僧……いや、ルインとやりあうのは久しぶりだな」
「私にもう負けはありません、覚悟しなさい。ディーン様は私のものです」
「おっかないねぇ。相手にとって不足無し。最初から全開でいくぞ! 剣戒、驚、懼。封剣!」
【真化】【神魔解放】【獣化】【レピュトの手甲】
「ならば私も」
【幻神魔解放】
「はぁ。よってたかって変身たぁよ。そんじゃ俺も久々に全開でいくかね」
「えっ?」
【野生化!】
0
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる