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第三章 舞踏会と武闘会

第三百五十九話 サルバシオン!

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「ギギギギ!」
「コウテイ、アデリー。すぐ援護に回る! もう少し耐えてくれ!」

 シャーマンソレムを相手にてこずるわけにはいかない。こいつを倒さないとハイエンドリッチーすら
復活しそうだ。
 コウテイとアデリーはとんでもない術を華麗に回避しつつ挑発している。
 メルザとファナは後方で必死に応援している。今のところは他に襲ってくる気配はないが、油断できない。

 それに相手が神の遣いとやらである以上、ソードアイの目に頼りすぎるのもよくない。

「さて……試してみるか! 真化はまだ早い……黒海星、牝牛の渡渉ボスポラスの黒きアブ、海嘯!」 

 黒いうねりがアブ蛇となり、黒い水を纏いながらシャーマンソレムを襲う。
 あの時は対ゴーレムだったが、今度は効果覿面のようだ! 

「そこだ! リーサスレテク!」

 握っているコラーダが真っ赤に染まり、赤き閃光を放ちながら、アブ蛇がまとわりつくシャーマンソレム
を一気に貫いた。

 あの攻撃、回避はまず厳しい。閃光軌道を読む目や貫通を防ぐ何かがなければまず致命傷は避けられない
恐ろしい一撃だ。だが使用してしばらくはこの技を利用できない。
 その代わり……最も厄介なやつが誰かを見極めた時、即座に大ダメージ以上の効果を出せるのは大きい。

 属性を合わせようとはしたが……師匠、まだまだうまくいきません。修行が必要です。

 しかし……二体とも倒したのに封印できないな。これはきっと実体のある魔物じゃないからだろう。
 なかなかに強力な戦力になると思ったんだが……仕方ないか。

「げ、まじかよ……どんだけ強いんだ、リッチーってのは」

 すでに辺り一面黒焦げだったり氷ついていたりしている。
 ハイエンドって事はリッチーの中でも相当に凶悪だろう。
 しかも……あれは激昂しているのでは。ひたすらコウテイたちが挑発したからか。


「許サヌ。滅ビヨ。虫ケラガ!」
「ウェーイ!」
「ウェィ!」
「そうか、喋り方がそもそも挑発だったー!」

 コウテイとアデリーの術はどのみちそろそろ切れる。
 その前にどうにか一対一にもってこれてよかった。

「ホウ。ソレムヲ倒シタカ。ナカナカヤルナ人間」
「妖魔デス。ソウデモナイデス」
「フザケテイルノカ? 許サヌ。滅ビヨ! フレイムデス」
「うお、無詠唱魔術かよ! 妖赤海星の海嘯!」

 どうにか相性のいい術で回避する。しかし火が得意ってわけじゃないはずだ。
 恐らく全てを得意として攻撃してくる。おまけに……「赤閃! くそ、やっぱりか」
「ククク……我ハ滅ビヌ。不滅ナリ」
「師匠の言ってた通り。狙われたら不死を利用し地の果てまでもしつこく殺しに来る厄介なヤロウ……
だったな」
「ソノ通リ。コノ体ハ既ニ朽チ果テテオル。貴様モ同ジ体ニシテクレヨウ」
「いや、うちのメンバー骨枠埋まってるんでいいです」

 もうレウスさんもいるしせっちゃんもいるしセシルもいる。
 骨枠はこれ以上増えると困るんだよ! 色々とな! 

「試すのにちょうどいい相手でごじゃろ」
「そーいやそんな肩書の名前だったが、効果あるのか?」
「効果覿面でごじゃろ。麿をなめてもらっては困るでごじゃろ。どんな相手もなぎ倒してきた
唯一無二の神剣でごじゃろ」
「わかったよ! それじゃいくぞ!」
「何ヲシヨウト無駄ナコトダ。ククク、イイダロウ。ウケテヤル。カカッテコイ」
「え? いいの? それじゃ……絶対避けるなよ?」
「早クシロ。ソノ後ノ絶望ノ顔ヲ見ルノガ、楽シミダ」
「んじゃありがたく……」

【真化】

「ンン? コヤツ、姿ヲカエオッタ……ホウ」

【獣化】

「……? 本当ニ、人デハナイナ」

【神魔解放】

「グ……コレハ! マズイ!」
「もう遅ぇよ。サルバシオン救罪の剣 !」

 神速で放つ固有技の一つ。それはコラーダとティソーナがリンクして動き、相手に【求】の
文字を刻みながら切り刻み、ハイエンドリッチーは光に包まれて消滅させた。

「……本当に消滅させちゃったよ。不滅の不を取っ払った感じだ」
「当然でごじゃろ。初歩中の初歩の技でごじゃろ。コンビクシオン、エヘクシオン、 ペカドクルード。
全てを極めて初めてこなせる固有技があるでごじゃろ。修行を積むでごじゃろ」
「まだまだ先は長そうだなぁ……よしメルザ、ファナ。帰るか」
「ルイン! かっこよかったぜ! けどよ」
「あの大臣、殴りにいくんでしょ!」

 あー……大臣の事、忘れてたよ……。
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