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第三章 舞踏会と武闘会

第三百五十八話 新技 エスパーダケマル、エスパーダコンヘラル

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「さて、初手が取れるのは大きい。いくぞ、ティソーナ、コラーダ!」
「てぃーちゃんと呼ぶでごじゃろ」
「やっぱその前に護衛作るから待ってくれ」
「何でごじゃろ!」
「妖赤雪造形術、赤雪鬼、妖黒雪造形術、黒雪鬼」
『ピーノ!』
「か、かわいい! 何これ。ルインの新しい術? 欲しい、これ欲しいわ!」
「ピ、ピーノ?」
「こいつらはこう見えても頼りになるんだ。二人とも、メルザとファナを守ってやってくれ」
『ピーノ!』
「むしろ私がこの子たちを守るわ!」
「ははは……んじゃ、いくぞティソーナ!」

 左手に神話級ティソーナ、右手に神話級コラーダを持ち、構える。
 久方振りの二刀。レピュトの手甲は神魔解放状態でないと使えない。あれをうまく使いこなすのは
もっと後の話だろう。今俺に出来る精一杯で挑んでみるつもりだ。

 当然最後に残すのはハイエンドリッチー。俺の狙いは……
「まずは切り伏せる! 赤海星……コラーダの巨爆烈牙剣!」

 一気に間合いをつめつつまとめて当たるように斬撃を放つ。
 しかしでかサソリ以外は回避されたうえ、でかサソリも一撃で仕留められない。

 固さを見誤ったか? いや、信じられない程固いってことか。それにあの小さい方。動きがとんでも
なく早い。リッチーも動き出した。メルザたちに攻撃がいかないよう十分ひきつけないと。
 幸い洞窟は広い。
 思いっきり挑発といきますかね。
 今のでどう対応していくか分かった気がする。順番はやはり……

「一気にいく! 妖雪造形術、アデリー、コウテイ! アデリー、素早いやつの相手を頼む。コウテイ、大変だがリッチーを翻弄しててくれ。すぐそちらへまわる!」
「ウェィ!」
「ウェーイ!」

 二匹は素早い動きでパタパタと駆け出しそれぞれの対象へ動いていく。
 一匹のでかさそりだけが俺の方へ向かってくる! 尻尾にはおそらく猛毒。まずはあれを切り離そうか。

「氷塊のツララ! よし、こっちだ! ようやく使えるようになった火、ここで試させてもらうぞ! 
……妖赤星……エスパーダケマル燃えるコラーダの剣!」

 右手のコラーダで斜め切りを行うと、赤いすい星のごとき燃える斬撃が、でかサソリの
固い尻尾を切り裂いた。
 さらに尻尾から本体へと炎が燃え移る。

「まだだ! ……妖赤星……エスパーダコンヘラル凍るティソーナの剣!」
「ギシイイイイイーーーー!」

 巨大な凍る斬撃が、てかサソリの固い甲殻を氷結させ、砕いた。
 どうやら炎より氷の攻撃がよく通るようで、でかサソリ……アンビルスコーピオを倒した。
 このくらいの強さ相手だと、属性のないダメージが非常に通り辛いようだ。
 対人ならまだしも対モンスターは強度がまるで違う。
 今後も属性に意識を向けないといけないが、その手の知識が足りない。
 
「さ、寒いでごじゃろ! 氷属性は苦手でごじゃろ! 教えた技じゃないでごじゃろ!」
「お前、熱さとか冷たさとか感じるのか!? そっちはとっておきなんだよ」
「当然でごじゃろ! 麿をなんだと思ってるでごじゃろ!」
「剣だろ?」
「そうでごじゃろ! 大切に扱うでごじゃろー!」
「わかった、わかったって。気を付けて凍らせるから。次いくぞ! といってもあの早いやつは
もう決まってる」

 アデリーを必死に追いかけまわしているシャーマンソレム。だがピタリと動きを止め、手を上に
掲げて踊り出した。何をするつもりだ? 
 
 アデリーも首を傾げてみているが、その仕草がなんとも可愛い。見とれて……る場合じゃなかった! 

 なんと倒したはずのアンビルスコーピオが起き上がり動き出した! 
 ……まさかあれは、死霊術か? 

「くそ、倒す順番はあいつが先だったか。だが……あの速さでも確実に当てる手段はある! 
アデリー、コウテイの方へまわってくれ! 妖赤星の矢・速! こっちだ!」

 シャーマンソレムの気を引くと、起き上がったアンビルスコーピオもこちらへ向かってきた。
 こういう敵もいることに十分気をつけていこう。


「さて……耐えられるかな」
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