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第三章 舞踏会と武闘会

間話 思い出すシーザー師匠との特訓

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 俺は戦いながら、以前デイスペルに向かう前、師匠に鍛えられていた頃を思い出していた。

「おい、いいか小僧。よく聴け。少し休憩がてら講義だ」
「ぜぇ……ぜぇ。ぜぃ。」
「今日は属性の話だ。こいつは知ってるか?」
「ぜぇ……火、水、風、土、雷、氷、光、闇、空……ぜぇ……ぜぇ……などでしたか」
「ああ。秘術に分類されるものを加えるとわかりづれぇ。ここではあえて六属性に絞るぞ。
火、水、風、土、雷、氷。これをさらに、今のお前に分かりやすいよう幻術ベースで話を進める」
「ふぅ。やっと呼吸が整ってきた。はい、メルザや装備品で使えるやつですね」
「そうだ。この属性ってのが厄介なのはわかるか?」
「多量の疲労を要するってことですか?」
「それもあるがそうじゃねえ。強度の話だな。例えばだが、同じ火でも色々あるのはわかるか?」
「火傷を負う火と燃え尽きる火の差ってことですか? 温度の違いの」
「範囲と温度。それに……」
「勢い?」
「そうだ。燃斗を飛ばしたとしよう。同じ温度の燃斗が相手に飛んでいった時に、その飛んでいく勢い……
つまり速度によって何が変わるかわかるか?」
「うーん。短い距離ならあまり変わらないけど、遠い距離なら風の影響を受けて火力があがる?」
「火があたる効果範囲が変わるんだよ。それこそ火の勢いが増すとしたらとてもじゃないが燃斗で
届くような距離じゃねえ」
「そうか。燃え広がるんですね。けど師匠、俺燃斗使えないんですけど」
「今は属性の話をしてんだ。黙ってきいときな。何れ必ず役に立つ」

 うーん。確かに使えるようになれば便利なんだけどなぁ。
 使えるようになるのか? 俺。

「んでよ。厄介なのがこっからだ。全ての属性はそういった条件で効果が変わる。
つまり何がいいてぇかというとだ」

 師匠が自分の斧を大木に振り下ろす。
 大木があっという間に真っ二つ。これを食らえば俺も一撃でご臨終間違いなしだ。

「今のは通常の斧撃。斬撃の斧番ってところだ。斬撃についてはわかってるよな?」
「えーと。真空破や衝撃破で、その武器に本来宿る破力を引き出したもの……でしたっけ」
「そうだ。これに属性がのると……こうだ」
 
 再び斧を同じ形で振り下ろす……遠く離れた木が真っ二つに割れた……はぁ? 

「……あんな遠くまで届くんですか?」
「あの程度の斧撃じゃ本来あそこは割れねぇよ。今のは幻術の風斗を乗せたんだ」
「つまり属性に技を足し合わせたんですか。そうすると燃える斬撃や凍る斬撃を放てる……と?」
「そうそう放てるもんじゃねえ。おめぇがいっぱしの剣士になったうえ、その属性の才能に目覚めたうえで
名剣でも手に入れられたらの話だな。はっはっは!」
「そんな遠い未来、わかりませんて……まだ泉から三夜の町を往復するだけでへばるんですよ……」
「なぁに、小僧の才能ならきっと出来るようになる。おれぁそう信じてるから教えてんだよ」
「師匠……」
「ほれ、わかったら次の走り込み、いくぞ!」
「師匠、その前に一つ……前に聞いた武器の固有技なんですけど、それにも属性って乗るんですか?」
「固有技ってのはそうそう見れるもんじゃねえからな。試した事はねぇが、その固有技で斬撃を放てる
くれぇの力量があれば、いけるんじゃねえか?」
「おお。そうすると雷をぶっ放したりできるのか! かっこいい!」
「いや、おめぇにはあんまり雷の才能はねぇ気がするんだよなぁ……氷や水の方が相性がいいだろう……」
「え? 何か言いました?」
「いや、なんでもねぇよ! んじゃそろそろ往復開始するぞ!」
「はい! 腹が減りました!」
「往復走り込みしてる最中ついでに狩りだな」
「えぇー、倒れる前に食べもの見つけないと!」

 こうして俺は再び走り込みに戻ったのだった。
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