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第三章 舞踏会と武闘会
第三百五十話 第二試合 オクトとエンネア
しおりを挟む「ルーの道を開く! 狙いはわかってるな!」
「ああもちろんだ。土式、怨嗟爆塵の術!」
「 燃……刃斗! 風……刃斗!」
「すげぇ……」
「ああ、すげー! すげーよ! 俺様だって上位幻術使うの大変だったのに、連発してるぞ!」
ベルドは燃刃斗と風刃斗を、後追いで放った! ブレンドしているわけではないが、燃刃斗に
風刃斗が追いつく。
シュウの忍術は土術だろうか。辺り一面の視界を悪くし、幻影竜が見えづらくなるうえ、土埃に
紛れていくつもの人型幻影が出ている。視覚に頼ればこれはかなり分かり辛い。
その土埃を燃刃斗が一直線に切り裂く形をとり、トパージオへと直撃した!
トパージオはちょうどルーへとブレスを吐こうとしていた直前だったため、そのブレスが上空へ
まき散らされ、トパージオは消滅した。
自らのブレスダメージと合わさって、甚大なダメージを負ったのだろう。
タイミング悪く……いや、ベルドの事だ。狙ってやったに違いない。
「こっちだ、赤い竜! 水柱、水気泡射出影の陣!」
シュウを中心に水の柱が立ち上ると同時に、柱に足がはえたかのように水柱が動き回る。
幻影竜ルービックは狙いを定めかねている。恐らくあの柱は……攻撃すれば回避し、別の
場所を攻撃すれば突進してくるような術……か?
シュウは忍術を極力使わないようにしていたが、それは忍術こそネタがばれると戦いやすくなるから
だろう。
相応のリスクや必要な物があるに違いない。
だが今は全力で使用している。そうしないと勝てない相手だからだ。
「おい、ルイン見て見ろ! ルーのやつがなんかするぞ!」
「ほう。確かにそうした方がよいだろうな。なにせ幻影竜より危険なのは……」
「ブネ……オクトとエンネアも直接戦えるのか?」
「当然だろう。あれらの中でもっとも神格が高いのがあの二名。このブネよりは弱いがな」
自信満々そうに言ってるが無表情のままだ。
直接対峙していないからわからないが……手を出さないのは人の子の実力をイネービュに
みせるため……か。
「る、ぴいいーーーーーー!」
「幼き竜よ。撃ってくるがよい」
「われらがその実力、計ってやろう」
オクト、エンネアが、ルーが放とうとしているブレスを真正面から受け止める形を取る。
冗談だろ……いくらルーが幼いとはいえ、十分な火力があるドラゴンのブレスだぞ?
「いけー! ルー!」
「くらわせろ!」
ルーが全力のブレスを吐き出した! あれだけためて放ったブレス……しかもあの距離なら
回避不可だ!
「な……あんなの、ありかよ」
「そもそも考えてみろ。あの二名、操る術はどれも竜属性だということに」
「相性が……悪すぎたのか」
「そういうことだ。といっても、竜と相性がいい相手などおるまいが」
「しいて言うなら属性事の苦手な術や技なんかだろ?」
「いいや。竜には確かに得意な属性があるが、決して苦手というわけではない。
火竜であれば水がきくなどとは思わぬ事だ。火竜でも水を飲み、水のブレスを吐く個体もいる」
「まじかよ……じゃあどうやって戦えってんだ」
「幻影竜であれば通常の武器でもそれなりの威力であればダメージは通る。だが、本物の竜に
通常の武器で斬りかかっても、なんら効果はない。それが可能なのは……」
「アーティファクト……か」
「そうだ。アーティファクトでさえあれば、そのものの力量次第で本物の竜にも攻撃は通る。
だが、オクトとエンネアは本物の竜よりはるかに強いと知れ。今は神格化をしておらぬが、それでも
手前におるエプタより遥かに強い。エプタとしては気に入らないだろうがな」
ルーのブレスをどちらも片手を前に出し防ぎきってしまった。俺はかなりショックを受けた。
幻影竜のブレスだけで死ぬほどきつかったってのに。
それに前試合のやつらより、かなり強く感じる。
これが上位の神格者か……。
「幼き竜よ。まだまだ成長するその身に祝福を」
「我らの力を知り、その身に更なる躍進を」
オクト、エンネアが再び手を前に突き出し……「竜の系譜」
「ル、ルピイイーーーー!」
「ルー! くそ、俺が助けに……」
「だめだ! そっちは……」
オクト、エンネアから放たれた鎖のようなものがルーへと巻き付いていく。
急ぎ助けに向かおうとしたシュウが、ルービックの直線上へと出てしまい、それを見透かしていた
かのように、ルービックのブレスをまともにくらってしまった。
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