上 下
346 / 1,085
第二章 神と人

第二百九十七話 神殿地下一階

しおりを挟む
 ブレディーにツッコミを入れながら、グリドラの背中に乗り着いた場所は、大き目の部屋だった。
 このままグリドラに乗って降りられそうだ。よかった。

 地面に着き辺りを見渡す。上空は真っ黒な闇だが、側面の壁は明るく白い。
 神殿の地下とは思えない、アルカーンの空間のような場所だが、扉などがちゃんとある。

「ありがとうグリドラ。戻って休んでくれ」
「荷運び、ご苦労。苦しゅうない。下がれ」
「なんでブレディーが偉そうに言うんだ……」
「お姫様抱っこ、まだ?」
「ここからはブレディーも封印に戻っててくれ! 危ないからな!」
「えー」
「えーじゃないの。試練なんだからモンスターとかと戦うんだろ」
「戦う。一杯。うじゃうじゃ。用意した。盛沢山。盛りすぎ?」
「……嫌な予感しかしないな」

 不安要素ブレディーを封印し、扉の方面へ歩く。変な紋様が刻まれている扉だ。
 扉を押して開けると細い通路になっており、両脇にはコラーダを取りに行った時のように
 道を進むと左右の明かりがともっていく。奥にもう守護者でもいるのか? 

 そう思って進むと、最初の部屋らしきものがみえてくる……と思ったが部屋っていうよりフィールドだ。
 巨大なジャングルフィールドのような場所が、目の前に広がっていた。
 上空は相変わらずの闇だが、目の前に広がる光景にびっくりした。

 そして、ブレディーが言っていた通り……ここから見る限りでも、数匹の飛行モンスターが見えるし
 木々は揺れている。最初の肩慣らしにはちょうどいいか……出来る事も増えたし。

「ツイン。ちょっと待って」
「ん? どうした? このまま進むとまずいか?」
「うん。ツイン、出来る事、整理、した?」
「いや……全くしてないな。早くティソーナ取りに行きたくて」
「ツイン、あわてんぼう? あわてん坊主? ツルツル?」
「なんだあわてん坊主って! 新しい単語を登録するな!」

 しかしブレディーの言う事も最もだ。激戦になるなら出来る事を確認しよう。
 ついでに使用できるようになったモンスター技も確認しておくか……使える技かどうかも
確かめないと。新たに使用出来るのは、キメラ、バジリスクウィングを除く魔吸鼠の術吸収と
ブルーリーベアーのアングリークロー……この二つは使える気がする。
 キメラとバジリスクウィングは馴染むのが遅い。
 この二匹は封印から出してみたが、パッとしない感じだ。対術相手で魔吸鼠を出しても、やられると
困るだろうし、ブルーリーベアーは対して強くはない。
 強いモンスター程出せるようになるまでの経験がかかるから、モンスター関連はもっと後だろう。
 今の戦力でもホー君やター君、グリドラやトウマなどは恐ろしい程強いと思う。
 次に妖術だが……黒星の一部が使用出来そうだ。白星? とかいう先生が使用しているのは無理だろう。
 更に他の星が使用出来るが、試してみるのがここだと怖い。対守護者の時にでも実践してみよう。

「ツイン。コラーダ、だいぶ、使える?」
「ん? ああ。悪い、考え事してた。そうだな、剣戒してもかなり消えなくなったぞ」
「そう。コラーダの使い方、知ってる?」
「えーと剣戒以外になんか、数本似たようなの出したりできるんだろ?」
「それ以外。コラーダ、固有、技」
「なんだって? 武器の固有技なんてあるのか? いくら振り回しても
そんな技使える気がまったくしないけど」
「それ、神剣。人、本来、知らない。妖魔でも、知らない」
「つまりイーファでも知らないってことか?」
「うん。知らない。神や、魔王、知ってる」
「……それって結構やばい技か? その辺ぶっ壊すような」
「? 知らない。ブレディー、使い方以外、わからない」
「ここから先の事考えると、覚えておいたほうがいいよな。お願いできるかい?」
「わかった。一旦手前の部屋、戻る。そこで、ブレディーの闇の幻魔、出す」
「……あいつか! まさかあれと」
「戦って。ツインなら、きっと、平気」
「まじかよ。あいつ、先生並みの強さだったぞ……」
「加減は、する、はず。多分。もしかしたら。するかも?」
「……入口で、まず難題だな」

 再びブレディーを封印から出して、一度手前の部屋へと戻った。
 十指の剣士。果たして俺にどうにかなる相手なのか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

前世で家族に恵まれなかった俺、今世では優しい家族に囲まれる 俺だけが使える氷魔法で異世界無双

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
家族や恋人もいなく、孤独に過ごしていた俺は、ある日自宅で倒れ、気がつくと異世界転生をしていた。 神からの定番の啓示などもなく、戸惑いながらも優しい家族の元で過ごせたのは良かったが……。 どうやら、食料事情がよくないらしい。 俺自身が美味しいものを食べたいし、大事な家族のために何とかしないと! そう思ったアレスは、あの手この手を使って行動を開始するのだった。 これは孤独だった者が家族のために奮闘したり、時に冒険に出たり、飯テロしたり、もふもふしたりと……ある意味で好き勝手に生きる物語。 しかし、それが意味するところは……。

【R18】ファンタジー陵辱エロゲ世界にTS転生してしまった狐娘の冒険譚

みやび
ファンタジー
エロゲの世界に転生してしまった狐娘ちゃんが犯されたり犯されたりする話。

クラスで一人だけ男子な僕のズボンが盗まれたので仕方無くチ○ポ丸出しで居たら何故か女子がたくさん集まって来た

pelonsan
恋愛
 ここは私立嵐爛学校(しりつらんらんがっこう)、略して乱交、もとい嵐校(らんこう) ━━。  僕の名前は 竿乃 玉之介(さおの たまのすけ)。  昨日この嵐校に転校してきた至極普通の二年生。  去年まで女子校だったらしくクラスメイトが女子ばかりで不安だったんだけど、皆優しく迎えてくれて ほっとしていた矢先の翌日…… ※表紙画像は自由使用可能なAI画像生成サイトで制作したものを加工しました。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

【R18】スライムにマッサージされて絶頂しまくる女の話

白木 白亜
ファンタジー
突如として異世界転移した日本の大学生、タツシ。 世界にとって致命的な抜け穴を見つけ、召喚士としてあっけなく魔王を倒してしまう。 その後、一緒に旅をしたスライムと共に、マッサージ店を開くことにした。卑猥な目的で。 裏があるとも知れず、王都一番の人気になるマッサージ店「スライム・リフレ」。スライムを巧みに操って体のツボを押し、角質を取り、リフレッシュもできる。 だがそこは三度の飯よりも少女が絶頂している瞬間を見るのが大好きなタツシが経営する店。 そんな店では、膣に媚薬100%の粘液を注入され、美少女たちが「気持ちよくなって」いる!!! 感想大歓迎です! ※1グロは一切ありません。登場人物が圧倒的な不幸になることも(たぶん)ありません。今日も王都は平和です。異種姦というよりは、スライムは主人公の補助ツールとして扱われます。そっち方面を期待していた方はすみません。

処理中です...