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第四章 戦いの果てに見出すもの

第二百四十四話 急襲 三夜の町

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「落ち着いてくださいブルザさん。どうしたんですか?」
「すまない、三夜の町へ仕入れに行ってたんだが、町から火の手があがってて! 
ニーメ君から借りてた風斗車に乗っていったんだが慌てて引き返してきたんだ」
「なんだって!? くそ、こんなタイミングで……イーファ、サラ、ベルディア、ファナ。
行けるか?」
「俺様も行く!」
「だめだ、明日はもう出発だろ? 向かうのは俺と行動を共にする予定の者だけだ」
「けどよ、心配だぞ」
「少しは私たちも信頼してほしいわね、メルザ」
「そうよ主ちゃん。私たち以外にもまだいるのよ? ドーグルとかレウスっておじさんとか」
「パモちゃんもいるっしょ。まじ可愛天使」
「うん……わかった! けど無茶はしねーでほしいんだ。みんな」
『任せて!』
「シュウさん、それにベルドも。どちらも危険な旅になるだろう。気を付けて行って来てくれ」
「待って! 僕も、僕も行くよルイン! おいてかないで!」
「イビン、お前……わかった。最悪避難民を誘導してもらう。ミドーもいるし
大丈夫だろう。ついて来い!」
「うん!」
「僕もカノンも行けないのは悔しいけど、君は絶対ついてくるなっていうから
言わないよ。気を付けてね。君の言う通り、主は必ず守るから」
「ああ、頼んだぞリル、カノン!」

 俺はイビンを連れて夜のジャンカの森へ向かう。
 この時間に外へ出る事自体稀だ。

「イビン、ミドーの使い方は慣れたか?」
「うん、大丈夫! ミドー、お願い!」
「シュルー」
「コウテイを出すの妖力が惜しい。俺ものせてくれ」
「うん! 急ごう!」

 ミドーは素早く移動して三夜の町を目指す。
 カットラスを抜いてルーニーで上空から見る事にしよう。

「変幻ルーニー!」
「ホロロロー」
「頼む、三夜の町の状態が知りたいんだ、行け!」

 空高く舞い上がるルーニー。夜だが火の手が上がっているなら見えるかもしれない。
 ルーンギアのルーンマークを押すと左目の視野がルーニーへ切り替わる。
 同じくらいの速度で目指しているのでこのままでも視界が途切れることはないだろう。

 ――――

 しばらくして視界に燃え上がる三夜の町が映った。火の手が上がり始めてどのくらいたったのだろう。

「あの町に知人がいてな。そう簡単に死ぬような者ではないが救い出したいのだ。
急げるか?」
「イーファ、場所はわかるか? 三夜の町は三つのエリアに分かれてるだろ?」
「真なる夜のエリアだ。シャドーダイン族のブレアリアとドルドロス。
力ある種族だが平穏を好み、真なる夜の一角に結界を張り巡らせて住んでいる」
「そういえばスケルトン、モール、シャドーダイン、グレッグ、スキアーなんかが
住んでるって前にせっちゃんから聞いたな」
「あの町はほぼ亜人しか住んでおらん。酷い惨状になってなければよいが」
「そうならないために向かってるんだ……イビン! 話が通じる逃げてる亜人がいたら
とりあえずルーンの町へ入る許可を出す。その後おかしな行動をとる種族じゃなければ
永住してもらっても構わない。その判別をお前に任せたい。
お前は誰よりも正義感が強く、臆病だが優しい男だ。
任せてもいいか?」
「う、うん。散々いじめられたから、いい人かどうかの判別は着くと思うよ。
町の入口にいればいいの?」
「そうだ。町中に入ったら避難を出来る限り呼びかけてみる! ここからはコウテイで行く! 
後で落ち合おう! 妖雪造形の術 コウテイ! アデリー!」
「ウェーイ!」
「ウェィ」
「コウテイは俺を乗せて走ってくれ。アデリーは子供がいたら救助を!」
「ウェーイ!」
「ウェィウェィ」

 ミドーから飛び降りコウテイに乗る。アネさんには感謝してもしたりない。
 これほど頼もしい妖術を覚えられるとは。

「気を付けてね、ルイーン!」

 遠目に聞こえるイビンの声に、拳を上げて応える。
 コウテイとアデリーの爆速により一気に三夜の町に近づく……あれは! 


「燃斗」
「氷斗」
「くそ、負けてたまるか!」

 入口で兵士数人と常闇のカイナが戦ってるのが見えた! 

「赤星の矢・速! ……赤星の矢・爆!」
「なんだ? 新手か?」
「よそ見するな! そいつらは弱くない! ルーニー、戻れ!」

 赤星で矢を放ちつつ、上空のルーニーを一旦戻す。
 こちらを敵と見定めて近づく奴一匹に向けて集中して攻撃する。

「赤海星……海水の弾丸」

 無数の水玉が射出されるイメージを持ち解き放った。
 正面から迫って来た常闇のカイナの一人が動かなくなる。

「新しい武器試すっしょ。練気散弾!」

 ベルディアがさっそうと踊り出て、気弾を放つ。
 ……雷をまとった気弾へと変化している! 

「あーあ、私の出番ないじゃん。つまらないの」
「まだ奥に沢山いるだろ。ベルディア、戻れ!」
「わかったっしょ。こいつじゃ相手にならないし」
「た、助かった。うん? あんたは以前見かけたことがあるような」
「ああ。だいぶ前に地図買っただろ。兵士さん」
「あの時のガキと一緒にいた兄ちゃんか! 見違えたぜ。助かった。
急に襲われたんだ。幻魔神殿の方からだ! もし助けられるなら
町民を助けてくれ!」
「ああ。もう少ししたら俺の仲間が蛇に乗ってやってくる。一緒に
安全な場所まで誘導する役目を引き受けてくれないか?」
「わかった! 蛇に乗った青年だな。助かる!」

 こっちは兵士とイビンに任せて奥に進む。幻魔神殿からか……やはりろくな
思い出がない。確かここにはバウザーさんがいたが、彼も一枚かんでいるのか? 
 もっと幻魔神殿について調べておけば……いや、結果は変わらないか。

「イーファ、真なる夜は奥だ。あそこじゃ真っ暗で道がわからないんだが
イーファには見えるのか?」
「ああ。ブレアリアとドルドロスは私が説得して連れてこよう。出来れば
ファナも一緒に頼めるか? 変身できる者がいた方が都合がいい。それとドーグルとレウスも
一緒に来てくれ」
「わかったわ。ベルディアとサラに任せるのは不安だけどね」
「俺も行っていいのか? 友達の家だ! 久しぶりだ!」
「そっちは任せた。ルーンの町に呼んでいいものは全員連れて来てくれ! 
幻魔神殿前で落ち合おう! 急ぐぞ!」

 イーファたちと別行動を開始する。今いる仲間はサラとベルディアとパモのみ。
 パモはとてもじゃないが出すわけにはいかない。
 ほぼ全員前衛だけのパーティだ。気を引き締めて行かないと。
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