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第二章 知令由学園 前編

間話 見えない野望

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「結局王は見つからぬか」
「ええ、忽然と姿を消したままですな」
「そうか……今一歩のところで」
「しかしライデン殿。このままでは……」
「わかっている。何れ奴らも気づくであろう」
「何か対策でも?」
「うむ。用意してあるわ」
「ほう……それはどういったもので?」
「誰にも話す気はない。ジムロ、貴様でもだ」
「左様ですか。それは残念ですな。それよりシーブルー大陸より
先兵と物資が届いております故、確認しに行って参ります」
「ああ。ニンファの様子は?」
「王位継承としては十分な教育をしておりますが、まだまだ幼いかと」
「実権はジムロが握ればよい。私は王位に興味などない。力こそ全てだ」
「実に惜しいですな。ティソーナとコラーダ。あれさえあれば
ライデン殿も屈指の強さを得られたでしょうに」
「……どうかな。装備に頼っていては真の力は得られまい。
これよりドラディニア大陸へ赴き再度修練を積んでくる。後は任せた」


「ふぅ、ようやく行ったか。強さに固執するあまり状況が見えてない
男だ。哀れなものだな」
「ジムロ様よう、あんな奴消しちまえばいいんじゃねえのか?」
「そうもいかん。あれでも神話級を二つも持つ男。
その辺の猛者が束になってもそうは倒せまい。
それが故イーファ王をここから逃がす算段を立てたのだ」
「へーえ、あのじじい、そんなに強いのか。そうは見えねえがな」
「それより貴様、ちゃんと王は見張ってあるのだろうな」
「ああ。イプシオの野郎が円陣に向かいがてら様子を見る予定だぜ。
そもそもあんな場所かぎつけられるわけねえだろ。
絶壁の中な上、トラップだらけ。知らずに入れば呪いでお陀仏だぜ」
「抜かりはないようだな」
「あるわけねえよ。大陸一つ手に入れる交渉材料だぜ。
ぬかるわけねえだろ」
「全く貴様は言葉遣いが悪い。ふん、まぁいい。引き続きぬかるなよ」
「ああ、悪いな。敬語なんざ覚えた事がなくてよお。何せ俺の故郷は
ここトリノポートみてぇに綺麗なとこじゃねえ。何匹亜人をぶっ殺そうが
喜ばれるだけだぜ。
ここが手に入れば殺し放題だろ? 早くそうしてもらいてえもんだ」
「血に飢えた狂犬が。好きにしろ」
「へっへっへ。あんたはそう言ってくれる悪だから好きだぜぇ」
「ああ、そういえばカッツェルの町に送り込んでいた手先がへまをしたみたいでな。
こちらへ送り戻された。始末しておけ」
「おう、こいつぁ先の褒美かい。ありがてえ。行ってくる」

 殺し好きのクズが。まぁあれでも腕は立つ。
 今のところどうにかこの国がうまくいっているように見せかけられている。
 他国……特にシフティス大陸にはばれないように事を運ばねばな。

 別系エルフ族さえ手に入ればこのジムロの野望も叶うというもの。
 今から楽しみでならん。
 後はうまくライデンを利用して始末すればよい。
 このゲンドールを手中に収めるのは私だ。くっくっく。
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