上 下
217 / 1,085
第二章 知令由学園 前編

第百九十話 サラ対ベルディア

しおりを挟む
「久しぶりだね、何年ぶりだろうか。君はあまり顔つきが変わらないね」
「胸触られたこと忘れてないっしょ。エッチ」
「……どういうことかしら?」
「あら、本当にファナだけ取り残されてるわね」
「お、俺様だってそんなとこ触らせてないぞ!」
「あー、ちょっと待て! 冤罪をばらまくのはやめろ! 食堂だぞここ!」

 周りの人の視線がいたい。さっさと食事を済ませてしまおう。

 かき込むように食事を済ませると、あまり人がいない方へ場所を移したい旨を
ベルドに伝えて移動する。

「それで、君たちはここで何を?」
「古代樹の図書館に用事があってね。色々調べたいんだ」
「そうか。僕らはここで修行を積んでいる。君もあれから相当修練を積んだんだろう? 
食事も済んだし腹ごなしに一つ手合わせしてくれないか?」
「やるっしょ。今度は負けないし。強くなったよあたし」
「そういえば弟のボルド……だっけか? あいつはいないのか?」
「兄弟全員いるよ。ビスタ達も。君とは面識がなかったね。
ただベルディアと僕は兄弟でも少し上をいっているからね。
基本は二人で行動しているのさ」
「もう行くっしょ。訓練場はこっち」
「まだやるとは言ってないんだが……」
「逃げるの? 強くなったあたしらが怖いっしょ。きっと」
「そうじゃなくてだなー……ああわかった。それじゃメルザ達は先に宿へ
戻っててくれ」
「僕も見ていくよ。ルインの戦いが近くで見れるなら見たいし」
「私もちゃんと監視してないと」
「俺様もうちょっと食事してたいなー」
「あらメルザさん、一緒に甘いものでも食べましょう」
「甘い物とやらに興味がある。私も同行しよう」
「では私も」
「お姉ちゃん、僕ちょっと疲れたから宿まで連れてって」
「しょうがないわね。変な事しないか見張ってなさいよサラ!」

 バラバラに分かれる我が旅団。個性的な行動が素晴らしい。
 結局リルとサラがついてくる事になった。

 装備は付けていいらしいのでフル装備だが、この状態で人間相手に戦っていいものかどうか……少し
気が引けるがまぁいいか。

 訓練場は知令由学園の東側にあり、何人かの学園生らしき人物がいる。
 あんまり派手にやると噂されそうだが……いいのか? 

「最初に妹がやりたいらしいんだが、そっちの二人も戦えるのかい?」
「ええ、もちろん。そんな女には負けないわよ」
「へえ。言うっしょ。むかつくわ、あんた」
「あら、ちょっと胸を触られたくらいでルインに色目使って。いけすかない女ね」
「ああ、これはまずいね」
「そうだね」
「ですよね……」

 男三人でほとばしる稲妻を飛ばしあう二人を見る。
 全員深いため息をはいた。

「じゃあサラ対ベルディアで」
「上等よ、かかってきなさい。ボコボコにしてあげるわ」
「冗談きついっしょ。あたしが負けるわけないし」

「配置について。はじめ!」

 お互い猛ダッシュで正面から行く。どう見ても血の気がありすぎだ。
 サラは至近距離で上空へふわりと飛翔してけり技を出す。

「ぐっ、飛びやがったっしょ。あんた何」
「ふん。この程度で驚くんじゃないわよ! えい!」

 けりを防いだ手に邪術糸を出す……が上体を大きく斜めにそらしながら放つ
斜め回転蹴りで振り払った。サラの糸を振り払うとは相当やる。

「ちっ。少し甘くみてたわ」
「練気散弾、くらうっしょ」

 うお、気弾のようなものを飛ばした。攻撃されると思っていない距離で不意を突かれたサラが
食らって吹っ飛ぶ。

「すきありっしょ。あんた弱」
「っんじゃないわよ! 妖陽炎!」

 あたったと思えた追撃が空を切る。なぜサラやリルが至近距離を好んで戦うか。
この術があるからだろう。俺も何度も命拾いした使いやすい術だ。

「なんで? どうやって避けたっしょ。意味不」
「邪術激糸縛」
「そこまでだよ、サラ。殺してはいけない」
「熱くなりすぎだ、ベルディア」

 兄二人が止めに入った。二人はふーふーと息を切らして目が血走っている。
 俺もなにかしないとと思い両者の中央に割って入った。

「落ち着けって。勝負は引き分けだろ」
『いやよ!』
 止める二人に手で割って入っていたのに前にでてきた。

 ……おまえら、絶対わざと狙ってやっただろ! 

『エッチ!』

 俺は兄二人に生暖かい目で見られながら妹二人にはめられた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【R18】ファンタジー陵辱エロゲ世界にTS転生してしまった狐娘の冒険譚

みやび
ファンタジー
エロゲの世界に転生してしまった狐娘ちゃんが犯されたり犯されたりする話。

クラスで一人だけ男子な僕のズボンが盗まれたので仕方無くチ○ポ丸出しで居たら何故か女子がたくさん集まって来た

pelonsan
恋愛
 ここは私立嵐爛学校(しりつらんらんがっこう)、略して乱交、もとい嵐校(らんこう) ━━。  僕の名前は 竿乃 玉之介(さおの たまのすけ)。  昨日この嵐校に転校してきた至極普通の二年生。  去年まで女子校だったらしくクラスメイトが女子ばかりで不安だったんだけど、皆優しく迎えてくれて ほっとしていた矢先の翌日…… ※表紙画像は自由使用可能なAI画像生成サイトで制作したものを加工しました。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

【R18】スライムにマッサージされて絶頂しまくる女の話

白木 白亜
ファンタジー
突如として異世界転移した日本の大学生、タツシ。 世界にとって致命的な抜け穴を見つけ、召喚士としてあっけなく魔王を倒してしまう。 その後、一緒に旅をしたスライムと共に、マッサージ店を開くことにした。卑猥な目的で。 裏があるとも知れず、王都一番の人気になるマッサージ店「スライム・リフレ」。スライムを巧みに操って体のツボを押し、角質を取り、リフレッシュもできる。 だがそこは三度の飯よりも少女が絶頂している瞬間を見るのが大好きなタツシが経営する店。 そんな店では、膣に媚薬100%の粘液を注入され、美少女たちが「気持ちよくなって」いる!!! 感想大歓迎です! ※1グロは一切ありません。登場人物が圧倒的な不幸になることも(たぶん)ありません。今日も王都は平和です。異種姦というよりは、スライムは主人公の補助ツールとして扱われます。そっち方面を期待していた方はすみません。

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

処理中です...