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第二章 知令由学園 前編

第百七十八話 青銀色のスライム

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 しばらく道なりに進むと、少し開けた場所に出た。
 レウスさんがいない今、地上を歩く事になるので罠などがあれば回避出来ず踏んでしまう。

 一歩一歩慎重に一定の速度で進まねばならない。。


 この道はどう見ても人工的に造られたものだと確信するものが、先の道にあった。
 左手側の岩と岩の間にスイッチのようなものがあったのだ。

 押すかどうか悩む。先を急ぐべきか、それとも……そうだ。

「泥槍」

 俺はマッドサハギンの泥槍の先端でスイッチを押した。
 トラップは……発動していないように思える。
 何が起きたんだろう? 俺が辺りを見回すと、先ほどまで岩だった右手側が
無音で下り階段になっている。

 ただの人工物じゃなさそうだが、念のため調べよう。
 明かりが付く階段を降りて行くと、また広い部屋に出る。
 そこには……檻に入った青銀色のスライムがいた。
 
 こんな色のスライムは初めて見る。不思議だ。
 これも封印すれば少し戦力に繋がるか? 珍しいし。

 ただスライムって敵対行動をあんまり取らないから気が引けるんだよな。

「待て。あのスライムはおかしい。意思を持ち行動しているようだ」
「スライムと通じ合えるのか? 会話も?」
「わらには可能だ。少し話を聞く。待っていろ」
「ああ、頼む。階段の方を警戒しておくから」

 こんな隠し階段の下にスライム一匹檻の中なんて怪しすぎるしな。
 希少で捕らえられているとか? だったら何のために。
 この大陸がトリノポートと比べて危険地域というのはわかるが、明らかにおかしい。

「わかった。こいつは王だ」
「スライムキングだっていうのか?」
「違う、トリノポートの王、イーファ・ウルトリノという人物のようだ」
「人物だと? どう見てもスライムだぞ。俺とは何も意思疎通出来ない」
「ライデンという者に姿を変えられて、封印されその後常闇のカイナという集団に
攫われたらしい。ライデンも探しているはずとの事だ」
「情報が複雑過ぎる。どうにか会話できる術はないか……」
「可能だ。我が意思を通せる。しばし待て」

 リルもそういえば念通っていうのやってたなよな。あれは模倣技か? 

「話を聞き状況がひっ迫していると判明した。ルインよ。青銀スライムを封印するのだ。
見回りが来る可能性もある」
「っ! そもそも常闇のカイナに連れられたっていってたな。
迷ってる暇はないか!」

 俺は牢に近づき鍵を見る。破壊するしかないか。

「妖赤星の突」
 
 鍵穴にカットラスをねじこみ破壊したその瞬間だった。
 地面からそいつらが現れた! トラップだ! くそ、あるかもとは思ったが
どうにもならない。

「念動力、小石つぶて」
「ミミック戦で封印が十分馴染んだな……麻痺撃!」

 俺は道中で襲われたワイバーンの麻痺撃を放つ。
 ゾンビみたいなやつが痺れて動けなくなるすきに、カットラスでしとめる。
 封印も忘れない。

 ミミックに比べれば大したことはないやつだ。といってもドーグルの小石が
複数をはじいてくれるおかげで一匹ずつ確実に仕留められるのだが。

「赤星の針!」
「……」
 こいつらも無言だな。騒ぎ立てられるよりはいいか。
 全てのゾンビもどきを仕留め終え、改めて檻に触れる。

「ルインよ……いや何でもない」
「どうしたんだ? またトラップがありそうか?」
「その檻にも強い呪いがかかっていた。まるで効いていない。
ちみは何者なんだ」
「またちみって……まぁいいや、俺には呪いが効かないのか? それなら助かるんだが」
「呪いが効かない者など特殊モンスターか神に近しい存在以外聞いた事はない」
「ふーん……よくわからないが今は急ごう。王様、失礼するよ」

 俺は封印場所を指定して青銀スライム王を封印した。

「モンスタートラップが終わった後、油断したところに二重トラップの呪いね。
念入り過ぎてドン引きする」
「同感だ。この場所でさえ滅多に人など踏み入らぬ場所というに」
「全くだ。ハーヴァルさん達がいくら探しても見つからないわけだ。とにかくばれないうちに先を急ごう」

 俺は階段を上り、もう一度スイッチを押してみた。
 階段が元の岩に戻るのを確認して先を急ぎながら
王様との意思疎通を
開始した。

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