195 / 1,085
第二章 知令由学園 前編
第百六十九話 ワイバーンの襲来
しおりを挟む
俺はカノンが技を使用していた時の事を思い出していた。
前世で信号待ちの時に押すと流れる曲にそっくりだった。
今でこそ鳥の擬音に置き換わっているが、昔は殆どあれだった。
この世界に別の転生者がいて音を奏でていたのだろうか。
そもそもこの世界が何なのか、その全貌は古代樹の図書館にあるのではと
考えている。書物から得られる知識は偉大だ。俺も書物は大好きだった。
勿論全て正しい訳ではなく、誤った表記もある。
だがいつの時代も書き物から情報を読み取り、考えたりする。
書物こそ人間が持つ最大級の文化であり、他の生物が真似出来ない、優れた
根幹なのかも知れない。
……と難しい事を考えながらミドーに乗って進んでいる俺達。
カノンもだいぶ慣れたのか、ミドーの上で足を延ばして寛いでいる。
リルはアルカーンから貰ったジュミニを磨いていた。
余程気に入っているのだろう。
最初こそ冷たい印象を持ったが、何だかんだでお兄さんだな。
兄妹がいる事を羨ましくも思うが、俺もリルも今や兄弟みたいなものだ。
親に捨てられた俺だが、もう寂しくなんかない。例え血の繋がりが無く
ても。どれほど離れた場所にいようとも、互いを心配し思いやれる。
それが家族だと信じている。
―――しばらくミドーで進むと、ターゲットに反応があった。数は三。上空!
「リル、カノン! 敵だ。 上空三匹、相手は不明。
こちらを狙ってる!」
「何でそんな事分かるの? 全然見えないけど」
「ルインの能力だ。間違いない。来るね。僕は上空から行くよ。
フルフライト!」
「私も行くわ! クイン、ニーナ!」
「よし俺も! 赤星の……って飛べるわけねーだろ!」
俺だけおいてけぼりのパターン。
最近では皆さん、空を飛ぶのが流行のようです。
俺はかなりのモンスターを妖魔の能力として得たのだが、いまだに空を飛べるような
ものはない。
グリーンドラゴンで得たのはウイングフォール。滑空だ。
ムクバードは飛翔撃。組み合わせれば空中から地面への攻撃に適する。
しかし俺は空を舞い上がり自由に飛びたかった! これは前世にそのような
光景をそうそう見られないからだろうか。
イメージがつく物はある。だがそれに準ずるモンスターが今のところいない。
考えていると上空からリルの声が聞こえる。
「相手はワイバーンだ! こちらを狙ってる! かなりの大型だ!」
「下から攻撃する! 一匹こちらへ引き付けるから上空で少し時間を稼いでくれ!」
ワイバーン三匹の急襲。いきなりにしてはハードだ。
俺はアドレスを引き抜く。予想通りまとまって行動しているな。
「赤星の一矢・爆!」
俺は先生の元で遠隔攻撃の特訓をひたすらした。イメージをつけるのに
持ってこいだったのが、無駄三昧のビノータスの技。
身体でもろにくらった事もある技で、よく覚えており、使い勝手も
よさそうだったので必死に練習したら似たような技になった。
ベルローゼ先生には「やつを思い出すから変えろ」と言われたけど
どうやって変えるかは教えてもらえなかった。
今後応用出来ればなと思うが、リルを見習って今は模倣しておこう。
飛来した矢が一匹のワイバーンを掠める。
そいつはかすっただけで効くぜ!
瞬時にワイバーン付近で爆発が起こり、一匹が落下してきた。
俺はプログレスウェポンの封印箇所にワイバーンを指定。
道中にいい戦力アップに繋がる。
「土潜り」
ピーグシャークの土潜りで一気に近づく。
本来は攻撃回避や通りにくい所を通る技だが……
「砂中撃!」
「グロオオオオオオオオオオ!」
奇声と共にワイバーンの封印に成功した。
今の技は砂カバ……もといサンドバグの技だ。
あの時無事に封印出来ていた。
こいつの能力値はかなり高かったので助かる。死にかけたけど。
「リル、こっちは片付いたぞ! 一匹貰う! 赤星の一矢・爆!」
下からの矢が直撃してもう一匹のワイバーンが落下する……が、そのまま
空中で静止してブレスを吐いてくる。毒か?
いや、麻痺だ! 左腕が少し痺れる。くそっ。
俺は右手のカトラスで薙ぎ払いする。
切り付けられたワイバーンの動きが遅くなり、見やすくなった。
「赤眼……そこか!」
喉部分を狙いカットラスで一閃してもう一匹のワイバーンを仕留めた。
特訓で判明したソードアイと、恐らく赤星の力が関係するのだろう。
対象の弱点部位を調べる能力を得た。
ターゲットと組み合わせると、ちょっと気持ち悪くはなるのだが、相手の
弱点部位を調べる能力は重宝する。
上空を見ると、リルも無事プログレスウェポンに封印出来たようだ。
三人で大型のワイバーン三匹を苦なく倒せるほど成長したが、まだまだ
ベルローゼ先生の足元にも及ばない俺達。
一体どれほど雲の上の存在なんだろうな。
前世で信号待ちの時に押すと流れる曲にそっくりだった。
今でこそ鳥の擬音に置き換わっているが、昔は殆どあれだった。
この世界に別の転生者がいて音を奏でていたのだろうか。
そもそもこの世界が何なのか、その全貌は古代樹の図書館にあるのではと
考えている。書物から得られる知識は偉大だ。俺も書物は大好きだった。
勿論全て正しい訳ではなく、誤った表記もある。
だがいつの時代も書き物から情報を読み取り、考えたりする。
書物こそ人間が持つ最大級の文化であり、他の生物が真似出来ない、優れた
根幹なのかも知れない。
……と難しい事を考えながらミドーに乗って進んでいる俺達。
カノンもだいぶ慣れたのか、ミドーの上で足を延ばして寛いでいる。
リルはアルカーンから貰ったジュミニを磨いていた。
余程気に入っているのだろう。
最初こそ冷たい印象を持ったが、何だかんだでお兄さんだな。
兄妹がいる事を羨ましくも思うが、俺もリルも今や兄弟みたいなものだ。
親に捨てられた俺だが、もう寂しくなんかない。例え血の繋がりが無く
ても。どれほど離れた場所にいようとも、互いを心配し思いやれる。
それが家族だと信じている。
―――しばらくミドーで進むと、ターゲットに反応があった。数は三。上空!
「リル、カノン! 敵だ。 上空三匹、相手は不明。
こちらを狙ってる!」
「何でそんな事分かるの? 全然見えないけど」
「ルインの能力だ。間違いない。来るね。僕は上空から行くよ。
フルフライト!」
「私も行くわ! クイン、ニーナ!」
「よし俺も! 赤星の……って飛べるわけねーだろ!」
俺だけおいてけぼりのパターン。
最近では皆さん、空を飛ぶのが流行のようです。
俺はかなりのモンスターを妖魔の能力として得たのだが、いまだに空を飛べるような
ものはない。
グリーンドラゴンで得たのはウイングフォール。滑空だ。
ムクバードは飛翔撃。組み合わせれば空中から地面への攻撃に適する。
しかし俺は空を舞い上がり自由に飛びたかった! これは前世にそのような
光景をそうそう見られないからだろうか。
イメージがつく物はある。だがそれに準ずるモンスターが今のところいない。
考えていると上空からリルの声が聞こえる。
「相手はワイバーンだ! こちらを狙ってる! かなりの大型だ!」
「下から攻撃する! 一匹こちらへ引き付けるから上空で少し時間を稼いでくれ!」
ワイバーン三匹の急襲。いきなりにしてはハードだ。
俺はアドレスを引き抜く。予想通りまとまって行動しているな。
「赤星の一矢・爆!」
俺は先生の元で遠隔攻撃の特訓をひたすらした。イメージをつけるのに
持ってこいだったのが、無駄三昧のビノータスの技。
身体でもろにくらった事もある技で、よく覚えており、使い勝手も
よさそうだったので必死に練習したら似たような技になった。
ベルローゼ先生には「やつを思い出すから変えろ」と言われたけど
どうやって変えるかは教えてもらえなかった。
今後応用出来ればなと思うが、リルを見習って今は模倣しておこう。
飛来した矢が一匹のワイバーンを掠める。
そいつはかすっただけで効くぜ!
瞬時にワイバーン付近で爆発が起こり、一匹が落下してきた。
俺はプログレスウェポンの封印箇所にワイバーンを指定。
道中にいい戦力アップに繋がる。
「土潜り」
ピーグシャークの土潜りで一気に近づく。
本来は攻撃回避や通りにくい所を通る技だが……
「砂中撃!」
「グロオオオオオオオオオオ!」
奇声と共にワイバーンの封印に成功した。
今の技は砂カバ……もといサンドバグの技だ。
あの時無事に封印出来ていた。
こいつの能力値はかなり高かったので助かる。死にかけたけど。
「リル、こっちは片付いたぞ! 一匹貰う! 赤星の一矢・爆!」
下からの矢が直撃してもう一匹のワイバーンが落下する……が、そのまま
空中で静止してブレスを吐いてくる。毒か?
いや、麻痺だ! 左腕が少し痺れる。くそっ。
俺は右手のカトラスで薙ぎ払いする。
切り付けられたワイバーンの動きが遅くなり、見やすくなった。
「赤眼……そこか!」
喉部分を狙いカットラスで一閃してもう一匹のワイバーンを仕留めた。
特訓で判明したソードアイと、恐らく赤星の力が関係するのだろう。
対象の弱点部位を調べる能力を得た。
ターゲットと組み合わせると、ちょっと気持ち悪くはなるのだが、相手の
弱点部位を調べる能力は重宝する。
上空を見ると、リルも無事プログレスウェポンに封印出来たようだ。
三人で大型のワイバーン三匹を苦なく倒せるほど成長したが、まだまだ
ベルローゼ先生の足元にも及ばない俺達。
一体どれほど雲の上の存在なんだろうな。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。
豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜
自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成!
理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」
これが翔の望んだ力だった。
スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!?
ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる