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第二章 知令由学園 前編

第百六十八話 プログレスウェポンとカノンの能力

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 俺たち三人は支度を終えて鈴鈴の町を出た。
 カノンの変装はばっちりで、近づかなければばれる事はないだろう。
 今は変身を解いて俺たちの後ろを歩いている。
 
 俺たちは歩きながらプログレスウェポンの話をしていた。

「それじゃお互い見せあおうか。俺はジュミニの能力を見るの初めてだな」
「とは言ってもまだグリーンドラゴンとムクバードだけだけどね。
君と違って僕のは取り外せないから、消したら身体能力がだいぶ下がるし。
全くずるいよ、君の能力は」
「リルの模倣だって相当だろう。俺が使用したプラネットフューリーを模倣で近しい技に
しちゃうなんて」
「そりゃあ僕だって君に勝てる所の十や二十は欲しいしね。
それに模倣は万能じゃない。模倣ストックは五個までしか持てないのさ」
 
 十や二十って多すぎません? それはいいとして。
「んじゃ俺のはこんな感じだ。数は多いがボスクラスじゃないとあまり能力反映されないな」

 俺はアドレスの蛇目を押す。
 すると蛇の赤目からアドレスの状態が映し出される。

アドレス(アルカーンシールド青銀蛇ガントレットカットラス)

STR 1+253
DEX 1+111
VIT 1+298
SPD 1+94
CHR 100+59
YP 100+192

 以前よりかなり強くなった。
 俺の画面を見るとリルが少し気まずい表情をしている。
 あれ? 二匹しか封印していないって言ったよな。

「僕のも見せるね。時計部分をこうすると……」
 時計板から上空に映し出される。……俺もその方がいいんですけど。
蛇目から出るの、怖いんですけど。

ジュミニ(格闘剣)

STR 100+107
DEX 150+26
VIT 100+110
SPD 200+25
CHR 150+35
YP 150+70

 地力が違いすぎた。そうでした。俺のプログレスウェポンはそもそもが時計。
 リルの物はアルカーンの新作だ。
 かなり前からプレゼント用に作っていたのだろう。
 差があって当然か。

 特筆すべきはそのスピードだろう。
 道理でグリーンドラゴン相手にまともに戦えていたわけだ。
 俺たちがプログレスウェポンの話で盛り上がっていると、カノンが気になるのか
こちらへ寄ってきた。

「戦力の話かしら。私も少し話をしないといけないわね」
「君は僕が守るから、隠れていてくれて構わないよ」

 おいちょっと待て! どこぞのプリンスみたいな事言い出すなよ! 

「そうもいかないわ。いざという時には自分の身を守らないと」

 リルが一発ノックアウトされた。やるじゃないか。

「遊魔ってのはどんな事ができるんだい? 俺の知る限りだと
そこら中から手を
生やしたり、身体を乗っ取ったりするサラの憑依術に近い事が出来る? のか?」

「そんな事できないわ! 憑依とは違うけど、二つの霊体になって攻撃できるの。
見ててね」

 そういうと彼女は一瞬紫の塊になり二つに分離した!? 
 こいつは驚いた。空を舞う紫色の一角一目の浮遊体が二つ。

「角の大きい方がクイン。小さい方がニーナよ。そもそも一つの生命体だから
会話は同じよ。ここからが最大の特徴。角が長い方を攻撃してみて」

 リルがやらないので俺がやる。
 デュラハン後輩のアイアンクラッシャーをお見舞いした……が攻撃がすり抜ける。

「どういうことだ? すり抜けたぞ?」
「私の意志で片方を囮に出来るの。今の私の本体は角の短い方よ」

 分離に透過か。能力の一端だけでも珍しいな。
「攻撃としてはどんな事ができるんだ?」

 ……と聞こうとしたらいつの間にか何かを蹴っている。
 あれは蹴鞠か? しかも手にはお手玉のような物まである。
 ただどちらも物質じゃないな。魔法のようなものか。
 クインとニーナで蹴り合い投げ合う。どっちから来るか読めない! 

「通りゃんせ、通りゃんせ。
ここはどこの、細道じゃ。
天神さまの、細道じゃ。
ちっと通して下しゃんせ!」

 恐ろしい速度で蹴鞠とお手玉が俺に飛来する。
 数が多い! シールドで躱しながら飛翔して玉に向けて技を放つ
「赤星の斧!」

 俺の放った斧状の赤星は玉にあたり爆発した。相当な威力だ。

 爆発に巻き込まれればただじゃすまない。
 俺が盾で躱した時はわざと爆発させなかったのだろう。

「やるわね。加減したとはいえ私の爆霊通り道を避けきるなんて。
あなたの力も見れた。これなら戦えそうでしょ?」
「ああ、十分だ。恐ろしい能力を持っている。リルもいいだろ?」

 リルは彼女に見とれていた。こりゃ駄目だ。

「この辺りまで来ればミドーを出しても大丈夫だろ。乗り物出すから待っててくれ」

 俺が青銀蛇リングからミドーを出すと、彼女は悲鳴を上げる。

「キャー! 蛇!? こわーい!」

 リルにとびついて助けを求める。リルの顔は真っ赤だった。
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