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第六章 強くなる

第百十話 五人洞窟 その四 最深部

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「うわあああああああああ」

 メルザが少し浮遊したまま逃げ惑う。

 ジャキンッ、ジャキンッと地面の渦から刃物のようなものが出てくる。
「地底を移動して攻撃してくるモンスターは初めてだな、戦いずらい」
「こら、バカ弟子! そんな戦い方でどうするのよ! もう!」
「しょうがないだろ、身体がうまくうごかないんだよー」
「自業自得……ですわね、メルザさんたら」
「僕、遠くから見てることしかできなくてごめんね」

 ニーメが悔しそうにしている。
「いや、ニーメにターゲットがいくようなら俺が師匠にどやされる。
こいつは俺たちに任せて隠れててくれ!」

 そう言うと俺は、地面に向けて消化液を放つがあたらない。

 その敵は地中から攻撃してくるアリジゴクのような奴だった。
 しかも四匹はいる巨大なやつだ。まだ一匹も倒せていない。

「ライラロさん、何かいい作戦ありませんか?」
「私あれ苦手なのよ。地中の敵じゃなおさらね」
「ここは私が! はっ!」

 そういうとミリルが穴から出てきた奴に槍を突き刺す。

 そしてそのまま再び飛翔する。すげえ! 

「さすがは竜騎士さんだ。俺も負けてられないな。
初試しになるがやってみるか。いけぇ、アイアンクラッシャー!」

 俺は鉄球デュラハン後輩の技を繰り出す。
 剣デュラハン先輩はいまいち使い道はないが、こちらは中距離だ。
 
 ドゴォとヒットしたが、ミリルの槍とは違い一撃では絶命に至らない。くそっ。

 剣展開しても地中に潜られたら意味がない。

「燃斗!」

あ、やっとメルザが復活した。おや、少し瘦せたような?

そうこうしている間にミリルが二匹目を仕留める。
すげぇ! 竜騎士の闘い方が美し格好いい! 

 俺も負けじと右手に持つブロードソードを正確に投げつけて、ようやく一匹たおした。

 格闘だとアリジゴクにも近づけない。こういった対策も
いるってことだよな。

「燃刃斗」

 あ、メルザが完全復活した。あれ、元に戻ってるな。
 
 こいつら倒したら戻るのか。やっぱりトラップみたいなものだな……。

「……俺様はもう、食べ過ぎないようにするよ。こりごりだ」
「ぱみゅ……」

 反省したのならいい教訓になっただろう。
 そして今回はミリルの大活躍で終わった。
 ミリルにはぜひ旅への同行を願い出よう。
 封印は出来なかったが仕方ない。

 五人洞窟、武器が手に入らないのに中々大変な洞窟だった。

 いや、大変になったのはライラロさんのせいもあるんだが。

 最後の奥の場所に赤雷の宝箱が二つ置いてあった。
 紫電が最奥にないのは外れ感はあるが、道中に二個あったのが大きいな。悲惨な罠だったが。

 ついでに一番奥にそれぞれの道の名前が書いてあった。

 左から順番に通常の道、お宝の道、貪欲の道、罠発動の道、試練の道らしい。

 俺の試練、ライラロさんの罠発動で全部水に流れたよ? 

 戻ったらお宝を分配して装備確認をしてベレッタへ出発の準備を整えよう。
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