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第六章 強くなる

第百九話 五人洞窟 その三

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 のっしのっしと歩いてくるメルザらしきもの。
 いやあれはメルザではない! マルザだ! 
 俺たちは全員フリーズして動けない。

「あ、あのーメルザさん。何がありましたの? その……随分と
変わられましたけれど」
「おー、うまいものーたくさーんあったーぞー」
「うまい物って、そんなの食べただけじゃそうはならないだろう……」
「そうね。よっぽど食べたところでそうはならないと思うわ……」
「あら。でもこのバカ弟子もちょっと愛嬌があって可愛いわね」

 確かにそうだが、できればいつものメルザがいいな……なんせこのままだと
マルザに改名しないといけない。
あ、着ているワンピースが悲鳴を上げているのが俺には聞こえる! 

「な、なぁマル……じゃなかったメルザ。それだと服がきついだろ? やっぱり
元の体系の方が……なぁ?」
「なーにー? ルインはー、瘦せてーなーいとー、だめかー?」
「いや、そうじゃなくてキャラがだな……ええい、走れー! メルザ! 喰った分
走れー!」

 俺はメルザを走らせようとしたが、ノッシノッシと歩いていてしばらくして
横になってしまった。

 暫くするとメルザは眠ってしまう。

 お団子キャラ三鉄則みたいな行動じゃないか。

「これもトラップで発動したものなんじゃないでしょうか? 
そうすれば時間が経つと戻ると思いますわ」
「そうかもな。少しここで休憩しよう。メルザも寝ちゃったし」
「そ、そうね。よ、よーしこの後も頑張るわよ!」
「ライラロさんはまだ何もしてないでしょう!」

 しゅるしゅると小さくなるライラロさん。
 トラブルメーカーは少し反省してなさい! 

「そういえばお宝はどうだった? 俺のトコは紫電の宝箱っていう
レア箱があったけど」
「こちらはいくつかありましたわ。ルーが欲しがったものだけ
ルーに身に着けましたが、それ以外は皆さんでわけましょうね」
「こっちで見つけたのはほとんど落っこちてったよ!」
「私の方は何もなかったわね。あ、厄介な気配がしたんだけど
ミミックだったからスルーした箱だけはあったわ。それ以外はスイッチだけね」

 そのルートにファナ達がいたら……いやレウスさんが近づいて
友達挨拶していたか。

 レウスさんをちらりと見ると、それに気づいてサムズアップしている。

「メルザのところは……あの感じだと何もなしか」
「ぱみゅ……」
「ああ、そう気を落とすなって。多分紫電が二個
赤雷が一、通常宝箱が一ってとこだろう。十分だ。

 そんなにアイテムがあっても、パモがいないと持ちきれないし。

 しかし待っててもマルザ……いやメルザは起きない。
時間もないし先に行くか。

「済まないけどファナ、俺の封印へ戻ってくれ。
レウスさんはメルザを運べるか?」
「まかせとけ。重そうだけどな。平気だ。な?」

ファナはワーム化して俺の蛇籠手に入る。

「おーいメルザ、起きて進むぞー」
「うーん、アップルパイ……」
「あ、フェルドナージュ様だ」

 メルザが慌てて飛び起きて平伏する。

 こないだの謁見で余程恥ずかしかったのか、それとも
フェルドナージュ様への
憧れなのか。

 フェルドナージュ様の言葉を出すと、びくっとして面白い。

「あ、あぇ……失礼しました?」
「おーい先に進むぞメルザ」

 メルザは目をごしごしさせて自分の身体をまじまじとみる。
「俺様、こんなにでかかったっけー?」

 気付いてないのか。いや自分の身体って存外気付かないものか。

「さて、最奥はどうなってるかな」
「油断は禁物ですわね」
「まぁ私がいるから大丈夫よ」
「俺様、戦えるかなぁ……」

 五人戦闘であれば結構な数の敵か、かなり強力な個体がいてもおかしくない。

 慎重にいくとしよう。
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