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第六章 強くなる

第百七話 五人専用洞窟 五通路洞窟

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 これから俺とメルザ、ライラロ、ミリル、そしてニーメで
五人専用洞窟に入る予定だ。

 当然ニーメは戦闘目的じゃない。

 五人でないと入れないというのがネックだったが、これでどうにか入れるだろう。

 パモもルーも連れて行けるか当然試す。
 領域の最奥、元メルザの領域の泉へと向かった。

「ここで五人洞窟へ赴きたいと願いながら泉に入ればいいのね」
「ええ、そのはずです。ダメならそのまま戻ってくるでしょう」

 俺たちは泉へと入って洞窟へ赴く事を願った。

 しばらくして浮上すると、そこは広い空間と五つに道が分かれている洞窟だった。

「無事に来れたみたいだな。パモもルーも。
予測はしたが道が五本。
それぞれ別にいかなきゃいけないな」
「確かにそうね。このままだとニーメちゃんが危ないわね」
「ちゃんと考えてある。おいファナ。でてこれるか?」

 俺は前回の失敗を反省してファナのアクリル板を地面に置いた。
 メルザ、そんなに睨まないでおくれ。

 ファナは無事に表に出てきたようだ。完全に裏技だな、これは。

 ついでにレウスさんも出してみる。

「よう! 出てこれたな! ここどこだ? 俺の友達の家か?」

 あんたの友達はどこでも存在するのかよ! 

「ファナとレウスさんはニーメについて行ってください。
パモはメルザに。ルーはもちろんミリルに。
それと皆さん無理はせず、危なくなったら引き返してくださいね」

 ニーメとファナレウス組、ミリルとルー組、メルザとパモ組、ライラロ、ルイン
というあいうえお順にして五本の道を行く事にした。俺は一番右の道だ。

 心配なのはニーメのところだが、ファナがいれば心強い。ファナにはあのナイフも渡した。

 他のモンスターをつけてやりたいが、レウスさんや、そもそも変身してるだけのファナと違って
モンスターは俺の言う事を何でもきいてくれるわけじゃない。

 まぁレウスさんのようなモンスターも他にいるかもしれないが。

 現状でできることをしよう。


 洞窟の少し先、五本に枝分かれする前の場所に、立札と箱が五つ置いてある。
ここまでは一緒だな。

 立札にはそれぞれ一本の道へ。最後に合流し先へ進め
と書かれていた。

 箱はそれぞれの道の地図……といっても一本道に無数のマークが
点在しているだけだ。
 
 それと幻薬が入っている。
 俺は回復方法が別途あるので、俺の分はメルザに渡しておいた。

「じゃあそれぞれ気を付けて! 頑張っていこう!」

 おー! と全員気合を入れると、五本の道の奥へと進んでいった。



 ニーメとファナとレウスさんパート。

「この洞窟の壁、不思議な感じがするなぁ。なんの鉱物でできてるのかな?」
「これか? これはあれだ。トマさんだな。トマさんでできてるな」
「トマさん? トマさんて鉱石?」
「違うって、これ自体がトマさんだ」
「??」
「だめよニーメ。おじさんの戯言よ」
「やーべっぴんさん! べっぴんさんは厳しいな! 一本とられた!」
「何もとってないわよ。はぁ。ルイン、なんてもの押し付けるのよ」

 不安になりながらファナに合わせて進んでいく。すると……「おいべっぴんさん、あんた足不自由なんだろ? 俺使え! な? 俺浮く
から。速いよ? 俺は速いよー?」

 そういうとファナの言葉を待たずに、まるで憑依するように
レウスがファナについた。

「ちょっと何すんのよ! あれ? 噓、信じられない! 私浮いてる!?」
「へー! おじさんすごいんだね!」
「すごいだろ? これな? 楽だろ?」
「これなら素早く動けるわ、私も。ちょっと気持ち悪いけど、お宝のため……」
「うん、先を急ごう! 僕らが一番のりだ!」


 ミリルとルーパート。

「こんな場所があるだなんて、お二人の領域ってすごいのね」
「るぴぃー、るいー!」
「ルーも大きくなりましたし、あなたの修行の場所としては
申し分ないわね! 
このルートは私たちでよかったわね。足場があまりよくないわ、行きましょ、ルー」
「ルイー!」

 そう言うとミリルは竜騎士の跳躍を生かしてすいすいと先へ進む。

 結構な段差があるが、ミリルが上ると赤色の宝箱があった。
「あら、早速一つ発見ですわ。罠に注意しろと言われましたが。
どうやら大丈夫そうですね。中で見つけたのは
そのチームで分配
していいとのこと。いらないものは持ち寄ってあとでわけあう。ですわね。
中身はどうかしら?」
「るぴぃー、るいるいー!」
「え、これ付けたいのね? まぁ綺麗ね。つけてあげるわね」

 ミリル達は箱の中身を全て取り、先へと進んだ。




 メルザとパモパート。

「あー、さっきのアップルパイっていうの美味かったなーパモ」
「ぱみゅー! ぱみゅ、ぱみゅ!」
「もっといっぱい欲しかったな。あれすぐなくなっちまうしよ」
「ぱ、ぱみゅー……」
「え、そんなに食べると太るって? 太ったほうがいいんじゃないのか?」
「ぱ、ぱみゅー! ぱみゅ!」
「太るとルインに嫌われるかも? なんでだ? まぁだいじょぶだ、喰ったら
いっぱい動くからよ」

 メルザとパモは食べ物の話に花をさかせていた。
 
 しばらく進むとモンスターがいた。しかし……

「あれ、美味そうだな。喰えるよな。あれ」
「ぱ、ぱみゅ……」
「え、パモは喰わないのか? 俺様が全部喰っちまうぞ?」

 メルザ達はモンスターと戦闘に突入しようとしている。



 ライラロパート。

「ふーん、初めて入ったけど、アサギの洞窟に似てるわね。
この程度のダンジョンでいい宝箱が手に入るなら
相当貴重だけどね」

 ライラロはカツカツと音をたてつつ堂々と進んでいく。

 道中にある罠は踏んでしまったが作動しないので
気にせず全部踏んでいった。

 壊れていたのだろう。

「この奥にちょっと厄介なやつがいるわね」

そういいライラロは戦闘体制に入った。




 ルインパート。

「よしっ、頼むぞ三号!」

 俺はそう言いながら三号を繰り出す。

 三号はプルプルしながらついてくる。

 おっと早速二匹モンスターがいるな。
 半漁人一匹とオークの強そうなやつだ。
 おれがこっちの道でよかったな。
 封印する場所を指定しておこう。

「早速試すかね。剣展開!」

 小さい剣が六本、オークめがけて襲来する。こちらに気づいた半魚人は俺に向かってくる。

 オークは小さい剣を煩わしそうに防いでいる。

 やはり飛び道具があるだけで全然違う。しかも遠隔自動とは。
 威力はなくても阻害できれば十分だ。

 向かってきた半魚人は槍をもって攻撃してきた。
 俺は上空に跳躍して消化液を上からかける。

「ギロオオオオオ」
 消化液で溶けた奴はうしろに後ずさりしている。
 着地して、ブロードソードから切り替えた刺突剣で貫いた。封印成功。

 次の封印箇所を指定している間にオークは剣を全てはじき落したようだ。

 こちらへ向かってくる。が……蛇籠手を変化させてオークを丸のみさせた。

 力だけのオークなど、こいつを引き裂けはしないだろう。

 やつは暴れていたが、斬撃などでなければそれを解くのは難しい。
 なんせフェルドナージュ様お手製だ。チートアイテムにも程がある。

 あっさりと封印して先へ進んだ。
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