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第五章 求むるは何を欲するものなり
第九十九話 精神的苦痛との闘い
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俺は真っ黒だった。
「邪魔だなどけよ」
「やだ、可哀そうよ。目が不自由な人じゃないの?」
「は? 知るかよ。人込みの中歩くなよな」
「あ、それは言えてるかも」
「いてーなどこ見て歩いてんだよコラ」
「すみません。よく見えて無くて」
「ちっ、次から気を付けろよコラ。ったくくそが」
「君ね。見えてないからってまともに仕事もできないの?」
「すみません。一生懸命やってるつもりなんですが」
「それはわかるけどね。うちも国からの支援があるから雇ってるけどそれが無ければいらないんだよ。わかる?」
「お客様はちょっとうちの店では。お引き取りください」
「あの、予約したんですけど」
「すみませんね。こちらでキャンセルしときますから」
「何あれ、可哀そうー変なのー」
「こらこら、指さしちゃいけませんよ。そういう方もいるのよ」
「大変そうー」
やめてくれ。やめてくれ。やめろ! やめろ! 苦しい。
心が壊れる。そんな目でみるな。
俺がお前らと何が違うっていうんだ。
俺は人間じゃないか。お前らと同じ血が流れる。人間じゃないか。
目が不自由なのがそんなにいけないことか?
身体が不自由な人は人間じゃないっていうのか?
哀れみをかけてイライラをぶつけて、それでストレスが発散されるのか?
人に迷惑をかけないようにしたい。
だが社会はそんなことゆるさないだろ。
例え外に出たくなくても出ないといけないだろう。別に光を与えてくれなんて言わない。
けど闇を与えてこないでくれよ。
俺は静かに生きていたいんだ。静かに暮らしたかったんだ。ただそれだけだ。
けど、けど! それじゃダメなのがわかった。いや、俺は知ってたんだ。
ずっと。ずっと。なのに俺は……目を背けていた。
「なぁあんた。そっちは危ないよ。気を付けていってな」
「目悪いのに頑張って働くよね。仕事熱心だし。本当助かるよ。
部長? あんなの気にすんなって。誰にでもああだからな。あれ」
「ぶつかっちゃってごめんなさい! お怪我はないですか? 私急いでいて。
あの、これ落としてしまったものです。
ちゃんと全部拾いましたから、次から気を付けます!」
「何階まで行かれますか? 押しますよ、ボタン。
着いたら段差があるので気を付けてくだあいね」
自己中心的な人もいる。けれど、多くの優しい人がいた。
子供がいて注意できなかったのは俺もだ。こんな社会と決めつけて。
けれどもし、あの世界にメルザがいたらどうだった?
「危ないからよ。これは家に帰ってからあそぼーぜ、な?」
「俺様が手を引いてやるよ。だから安心しろよな」
そう言って真奈美を注意してくれたんじゃないか?
そう言って俺の手を引いて歩いてくれたんじゃないか?
そうした人が他にもいたのかも知れない。
けれど俺自身がその手を振りほどいてきたんじゃないのか?
心の見る目で人の感じ方は大きく変わる。
だけど俺にこれ以上精神的な攻撃をしても無駄だ。
「誰かの呪縛を解き放ってやればその者が苦しんていた場所へそこから行けるよ……か」
俺はこの闇の中で何度も何度も何度も車に引かれていた。
そして障がい者に対する世間の苦痛や苦しみをループで味わった。
これはきっと真奈美が見ていた光景。
真奈美はぬいぐるみになった今でも毎夜こんな者を見せられて
いたのだろう。
お兄ちゃんごめんなさい。僕悪いことしたから罰を受けてるの。帰りたい、帰りたいよ。
本当にすまなかった。厄介ごとに巻き込まれたが真奈美もパモもファナも
ニーメもカカシもココットもそして我が主も。
俺がまとめて救い上げて笑いながら暮らせる場所をつくってやる。
俺はまだ暗闇にいた。だがそこは真っ暗な精神的苦痛の場ではなく、俺がファナと真奈美を救った隠し部屋の地下牢だった。真奈美が最も精神的苦痛をイメージする原因の場所か。
戻ってきた。俺は慎重にゆっくりと祭壇へ上がる。
誰かいるな……スカルマージか!? いや、こいつは。
「まさかこんなところで君と会うとはね、充実青年。
ずいぶんと探したよ。運命を感じるね。
けど残念だがすぐお別れしなきゃ。君の首を持ってね」
「やるわけねーだろ。うっとおしい司会者が」
そこには闘技大会で司会をしていた、キャットマイルドが剣を構えて立っていた。
「邪魔だなどけよ」
「やだ、可哀そうよ。目が不自由な人じゃないの?」
「は? 知るかよ。人込みの中歩くなよな」
「あ、それは言えてるかも」
「いてーなどこ見て歩いてんだよコラ」
「すみません。よく見えて無くて」
「ちっ、次から気を付けろよコラ。ったくくそが」
「君ね。見えてないからってまともに仕事もできないの?」
「すみません。一生懸命やってるつもりなんですが」
「それはわかるけどね。うちも国からの支援があるから雇ってるけどそれが無ければいらないんだよ。わかる?」
「お客様はちょっとうちの店では。お引き取りください」
「あの、予約したんですけど」
「すみませんね。こちらでキャンセルしときますから」
「何あれ、可哀そうー変なのー」
「こらこら、指さしちゃいけませんよ。そういう方もいるのよ」
「大変そうー」
やめてくれ。やめてくれ。やめろ! やめろ! 苦しい。
心が壊れる。そんな目でみるな。
俺がお前らと何が違うっていうんだ。
俺は人間じゃないか。お前らと同じ血が流れる。人間じゃないか。
目が不自由なのがそんなにいけないことか?
身体が不自由な人は人間じゃないっていうのか?
哀れみをかけてイライラをぶつけて、それでストレスが発散されるのか?
人に迷惑をかけないようにしたい。
だが社会はそんなことゆるさないだろ。
例え外に出たくなくても出ないといけないだろう。別に光を与えてくれなんて言わない。
けど闇を与えてこないでくれよ。
俺は静かに生きていたいんだ。静かに暮らしたかったんだ。ただそれだけだ。
けど、けど! それじゃダメなのがわかった。いや、俺は知ってたんだ。
ずっと。ずっと。なのに俺は……目を背けていた。
「なぁあんた。そっちは危ないよ。気を付けていってな」
「目悪いのに頑張って働くよね。仕事熱心だし。本当助かるよ。
部長? あんなの気にすんなって。誰にでもああだからな。あれ」
「ぶつかっちゃってごめんなさい! お怪我はないですか? 私急いでいて。
あの、これ落としてしまったものです。
ちゃんと全部拾いましたから、次から気を付けます!」
「何階まで行かれますか? 押しますよ、ボタン。
着いたら段差があるので気を付けてくだあいね」
自己中心的な人もいる。けれど、多くの優しい人がいた。
子供がいて注意できなかったのは俺もだ。こんな社会と決めつけて。
けれどもし、あの世界にメルザがいたらどうだった?
「危ないからよ。これは家に帰ってからあそぼーぜ、な?」
「俺様が手を引いてやるよ。だから安心しろよな」
そう言って真奈美を注意してくれたんじゃないか?
そう言って俺の手を引いて歩いてくれたんじゃないか?
そうした人が他にもいたのかも知れない。
けれど俺自身がその手を振りほどいてきたんじゃないのか?
心の見る目で人の感じ方は大きく変わる。
だけど俺にこれ以上精神的な攻撃をしても無駄だ。
「誰かの呪縛を解き放ってやればその者が苦しんていた場所へそこから行けるよ……か」
俺はこの闇の中で何度も何度も何度も車に引かれていた。
そして障がい者に対する世間の苦痛や苦しみをループで味わった。
これはきっと真奈美が見ていた光景。
真奈美はぬいぐるみになった今でも毎夜こんな者を見せられて
いたのだろう。
お兄ちゃんごめんなさい。僕悪いことしたから罰を受けてるの。帰りたい、帰りたいよ。
本当にすまなかった。厄介ごとに巻き込まれたが真奈美もパモもファナも
ニーメもカカシもココットもそして我が主も。
俺がまとめて救い上げて笑いながら暮らせる場所をつくってやる。
俺はまだ暗闇にいた。だがそこは真っ暗な精神的苦痛の場ではなく、俺がファナと真奈美を救った隠し部屋の地下牢だった。真奈美が最も精神的苦痛をイメージする原因の場所か。
戻ってきた。俺は慎重にゆっくりと祭壇へ上がる。
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「まさかこんなところで君と会うとはね、充実青年。
ずいぶんと探したよ。運命を感じるね。
けど残念だがすぐお別れしなきゃ。君の首を持ってね」
「やるわけねーだろ。うっとおしい司会者が」
そこには闘技大会で司会をしていた、キャットマイルドが剣を構えて立っていた。
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