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第五章 求むるは何を欲するものなり

第九十五話 メルザパート 急いで向かいたい

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「それじゃファナ、ニーメ、カカシ。行ってくる」
「気を付けてね。パモちゃん、メルザを守ってあげてね」
「親分、その乗り物の使い方間違えないでね! 危ないから!」
「僕も忘れてない? あのおにーさんを助けにいかないと」
「ココット!」
「ん? いいぞ連れてってやる。ココット、お前もいくのか?」
「ここっ!」
「んじゃ全部まとめて荷物に入っててくれよ。
どっちも軽いしよ。大丈夫だ」
「ありがとうメルザお姉ちゃん 
「ここっと!」

 メルザはニーメに言われた通り乗り物ごと泉に入る。

 そのまま風斗を下に放つと簡単に浮上した。


 あっという間に泉を出ると、三夜の町まで風斗車を走らせる。

「こりゃいいや。あっという間に三夜の町まで着くな。
俺様は体力ないから助かるぜ」
「ぱみゅぱみゅー!」

 しばらく走ると三夜の町に着いた。

「パモ。乗り物しまえるか?」
「ぱみゅー!」

 パモは風斗車を吸い込み体内にしまった。やはりパモはとっても便利だ。

「まずはせっちゃんとこだな。行こーぜ!」

 そう言うとメルザは待ちきれないとばかりに走る。

「あらぁ久しぶりね。元気にしてたかしら?」
「ああ。せっちゃん、ミリルはどこだ?」
「ルーちゃん連れてでかけたわよ。
レジンの快鉄屋に行くっていってたわ!」
「ありがとせっちゃん。俺様行ってくる!」

 そう言うとメルザはあっという間にセサミの宿屋を出て
シーザーの
店、レジンの快鉄屋へと赴いた。

「ミリル、いるかー?」
「でね、ベルディスぅ。私へのご褒美を早く頂戴? 
まだなーんにも貰ってないわよぉ? ね?」
「やめろ! さっきやっただろうが。
その袋に入ってるものをもってさっさとでてけ!」
「あらぁ、誰が物でいいなんて言ったのかしらぁ? 
私はご褒美をもらうとしか言ってないわよ? それが何かなんてベルディスに
決める権利はないのよぉ?」

「あー、シーザー師匠。ミリル知らねーか? ここにいるって聞いてよ」

 渡りに船とばかりにシーザーが立ち上がる。

「お、おういいところにきた。案内してやるからついてきな」
「あー、ちょっとベルディスぅ。バカ弟子、なんで邪魔するのよ! もう!」
「邪魔してないぞ。ミリル探しにきただけだ」

 シーザーは急いでくるように合図をする。メルザは慌てて後を追った。

 遠くから「べーるーでぃすーー」と聞こえてくる。

「ミリルは今、ガンツの店に買い物に出たところだ。
俺も同行する。ついてこい」
「なぁ、ライラロ師匠はいいのか?」
「ああ、忙しいからな。あいつもふざけてるだけだ」

 そう言いながら歩いていると道途中でミリルと会った。

「あら、よかったわメルザ。外に出れたのね。私心配して。
甘い物買って持って行こうとしてたのよ」

 そう言ってメルザに駆け寄り抱きしめる。

「るぴぃー」
「ああ、だいじょぶだ。ルーも元気そうだな。
俺様ミリルに話したいことがあるんだ。
あとライラロ師匠から話も聞きてーしよ。一度戻って」
「話なら俺がしてやる。ルインの事だろう?
俺のほうがよく知っている。
お前ら静かなる裂け目ってとこまでいくぞ。
そこなら誰にも聞かれずに話せる」

 そう言うとシーザーは二人を連れて賑わい祭りの夜を抜け真なる夜エリアに来る。

「俺はウェアウルフだからここでもよく見える。来い」

そう言うとシーザーは二人を後ろから押しながら
静かなる裂け目までたどり着いた。

 ここも酷く懐かしい。ゴサクが連れ去られてここまで
きたのを思い出していた。

「いいか、驚くだろうがよく聞け。俺にとっての唯一の弟子の話だ。
不肖な弟子だがやつは死んだという噂がほとんどだった。
だがマリーンが見ていた。宿屋の女将だ。覚えてるか?」
「確か闘技大会近くの泊まったとこだ。生きてたんだ」
「ただの宿屋の女将なんざ興味なかったんだろうよ。隠れながら見ていたらしい。一部詩集をな。
お前らを逃がした後奴は後ろから胴体を切り離されたらしい。その直後、切り離した
奴も深手を負い倒れた。そいつが倒れた直後だ。全員ルインから目を離したその一瞬で、ルインは何者かに地中に引きずり込まれたらしい」
「本当か!? じゃあルインは生きてるのか?」
「胴体を切り離されたっていったろうが。生きてるかどうかは
わからねえ。死んだ人間を地中に引っ張ってどうにかするってのは
ネクロマンサー辺りじゃよく聞く話だ。だがそのあと
何もでてくる気配はねえ。
つまり治療するためにさらった可能性が高ぇってことだ」

 メルザの目に希望の光が輝く。ミリルも表情が少し和らいだ。

「だがどこにいるか、理由はなんなのかがわからねえ。
それと常闇のカイナの狙いはあいつだ。
きっと血眼で探してるに違いねぇ。理由は知らねえがな。
町についても決してルインの名前を出すな。
二人とももしデイスペルに行くなら、この三夜の町から顔を隠していけ。いいな」

 二人が頷く。今一度会えるならたとえどんな形でもいい。

 まずはルインが消えたその場所を、メルザ達は目指すのだった。
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